【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!

黒木  鳴

文字の大きさ
上 下
102 / 145

102

しおりを挟む


屈伸をし、軽く肩を回す。
プラプラと腕を振る隣では、カイルが手をボッキボキと鳴らしていた。

「よろしくー指揮官!!」

「頼んだぜ!指揮官!!」

気のいい声をかけてくるのはクラスメイトや隣のクラスの顔見知り。

「その呼び名はやめてくれないかい?」

「ええーなんで?いいじゃん別に」

指揮官呼びを咎めるも周りの奴らは笑うばかりで取り合ってくれそうもない。

「で、どーするよ指揮官?」

周囲のノリに乗るようにカイルまでがその呼び方をして好戦的な顔を向けてきた。


本日の3、4限は校庭での模擬戦だ。

実技の授業は男女別なので代わりに2クラス合同で行う。
男子である俺たちは教官の「じゃ、今日はチーム対抗の模擬戦でもするか!」という思い付きにより模擬戦開催が急遽決定。

と、言っても半ばお遊びなのでメンバーは自由。

4、5人でチームを作ることになってすぐさま声をかけてきたのはカイルで、クラスメイトと隣のクラスの顔見知りも加わってメンバーはすぐに決まった。

そして何故か立候補もしてないのに指揮官にも決定したらしい……。

メンバーが自由なのでチームごとに実力差がハンパない。
ってことでトーナメント式などでなく、対戦相手も自由というなんともフリーダムな状態だ。

「絶っ対ぇに負けねぇ!!覚悟しやがれ!カイル!!」

指を突きつけて宣言してきたのはカイルがよく手合わせしている隣のクラスの生徒で、カイルも威勢よくそれに返している。

……正直、俺はもっと地味目な奴らと組んで、地味目な奴らと対戦したかった。

今からでも “チェンジ!” を言い渡したいが、それが出来る感じでもない。
だって目立つ奴ら同士の対戦に周囲の盛り上がりがハンパない。

「おおっ!やれやれー!」

「どっちが勝つかジュース賭ける?」

「おっいいね。カイルに賭けるやつー!」

授業中に堂々と賭けしてんじゃねぇよ。

教官も止めろよ。
なんであんたまで「どっちに賭けるか」なんて参加する気満々なんだよ。

そしてただっぴろい校庭の反対側で魔法の実技訓練してた女生徒たちまで、完全に授業中断して観戦&応援体制に入ってるし。
キャアキャアした声援が飛び交う。

試合前の作戦会議。
適当に輪になって話し合い。

「どういう作戦でいくんだ?」

覗き込むように話しかけてきたのは隣のクラスのアダム。
美形の雰囲気は醸し出しているのに長い前髪で目元を隠したコイツも結構強い。スピード特化。

あとの二人は俺と同じく “そこそこ” って感じだろうか。

なので主力はカイルとアダム。

「折角だから完膚なきまでに打ち負かせてやろうぜ」

楽しそうだなカイル。
根っからの戦闘民族だけあって活き活きしてやがる。

……っていうか俺の指示待ちなのコレ?

校外学習の所為せいで変な称号つけられたけど、別に戦闘に詳しいわけでもなんでもないんですけど。
ゲームキャラ以外の戦闘スタイルとかよくわかんねぇし。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

金の野獣と薔薇の番

むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ 止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。 彼は事故により7歳より以前の記憶がない。 高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。 オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。 ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。 彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。 その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。 来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。 皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……? 4/20 本編開始。 『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。 (『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。) ※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。 【至高のオメガとガラスの靴】  ↓ 【金の野獣と薔薇の番】←今ココ  ↓ 【魔法使いと眠れるオメガ】

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。

イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。 力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。 だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。 イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる? 頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい? 俺、男と結婚するのか?

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした

和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。 そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。 * 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵 * 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい

拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。 途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。 他サイトにも投稿しています。

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

処理中です...