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しおりを挟む見慣れた、見慣れ過ぎた風景が憂鬱で仕方がない。
通い慣れた道のり、馬車は無情にも確実に学園へと道を辿る。
連休明けって憂鬱だよねー。
それだけじゃなく、切実に学園に行きたくない理由がある。
俺、めっちゃ名前呼び捨てにしてたじゃん!!
しかも偉そうに指揮とってたしね!!!
その事実を思いだして蒼白になったのは広場で治療班に治療をしてもらい、ようやく一息つけた頃。
失血とは別の意味で血の気を失くした俺は、テンパってるのを隠し冷静ぶって殿下たちに謝罪だけは告げ、「気にしてない」との言質を得た。
だから怒られることはないと思うんだけどね……王族&高位貴族になにやってんだ俺。
今更ながらに血の気が引くわ……。
せめてもの救いは王子の呼び名が王子だったことか。
ゲームでもファンの間の通称が「王子」だったからな。ラインハルト呼びしてなくてマジ良かった!
馬車を降りて校門をくぐると……。
ねぇ、なんか見られてない?気のせい??
そして教室に辿り着き、全然気の所為なんかじゃなかったことを知った。
「あ、あのっ……もうお怪我は平気なんですか?」
入口で声をかけてきたのはあまり話したことのない女子だ。
そして周りの子らも「大丈夫?」だの「無理しないでくださいね」だの心配の声をかけてくれる。
「これ、休んでた間のノートです。その……良かったら、どうぞ」
「ありがとうございます。とても助かります」
大人しそうな女子が差し出してくれたノートを有り難く受け取って笑顔で礼を告げれば、なんかやたらとみんながノートを差し出してくれた。
このクラスの女子、めっちゃ優しくない?とか感動してると、男子たちまで加わってきてあの日のことを根ほり葉ほり聞かれる。
なんでみんな知ってんの?と首を傾げれば、なんとルシウスでの映像がドドーンとリアル中継されていたらしい。
なんてこったいっ!!
俺が殿下らにめっちゃ命令してたの全校生徒に見られてんの?!
だがまぁ「凄かったな!」とか「めっちゃ強いじゃん!」みたいな称賛ばっかで「身の程を弁えろ」的な批判がないのが救いだ。
イジメ反対!!
そして俺、未だに教室入れてないんですけど……。
入口で囲まれてるからね。
ちょっ、他所のクラスから注目浴びてるから取り敢えず中に入ろう?
モブは目立たない生き物なんだよ!
その後なんとか席につけたものの、登校してきたカイルが寄ってくるなり興奮気味に話だして、いつの間にかまたクラスメイトにも囲まれてたりした。
こんなにクラスメイトに話しかけられたのはじめてじゃね?
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