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しおりを挟む「ああ、いたいた。ラファエル!」
呼び掛けに視線を地上へと降ろした。
陽の光が眩しいのだろう、片手を軽く目に翳しながらこちらを見上げる男前の姿があった。
「……カイル」
「降りて来いよ!もうじき式がはじまるぞ」
ちらりと腕時計に目をやった。
確かにずいぶんと時間が過ぎていたようだ。
本を片手に身を起こす。
そして軽い動作で跳べば、たゆんだ枝がさわさわと揺れる。
ひらひらと舞い散る幾つかの葉と共に地上へと降り立った。
「わざわざ探しに?」
「どーせまたどっかで一人黄昏てんだろうと思ってな」
一人で黄昏てる……。
そんなイメージなのか、俺。
ニカッと笑う目の前の男は、ムカつくぐらいに男前だった。
服の上からでもわかるしっかりと鍛え上げられた体躯。
足、長すぎだろ。そう文句を言いたいぐらいの長身に男らしい顔立ち。
ダークグリーンの髪と、髪色より明るい緑のキリッとした瞳。
見るからにモテ男なコイツは当然のようにゲームキャラ。
大剣を振るいながら体術も使えるわりと使用頻度高めのキャラだった。
やっぱさ、男の子としては剣で恰好良く闘うの憧れんだわ。
一番お気に入りだったのはクラウ・ソラスの隊長。
剣に魔法に体術とオールマイティー感つよつよの一押しキャラ。
あとはパワーとスピードのバランスがいいカイルに、大規模魔法で広範囲攻撃可な侯爵子息、飛び道具とスピードが武器のクラウ・ソラスメンバーなんかが俺の鉄板。
一応他のキャラも一通りはやったけどな。
パワー重視系はあんま得意じゃないんだよな。
バッタバタと敵を倒したいからある程度スピード欲しいし、逆に女の子とかは威力がね。
キャラデザ的には好きなキャラでも使いやすいのってやっぱ偏るんだよなぁ。
「ほら、とっとと行こうぜ」
頭の後ろで腕を組んで歩き出すカイルに続く。
カイルはクラスメイトだ。
なにやら友達認定されてるようでこうしてちょくちょく声を掛けてくる。
イケメンで人気者、カーストトップなカイルが何故に俺なんかに構うのかはよくわからんが、普通にいい奴だと思う。
これで性格悪ければ
「イケメン爆ぜろ!!」というところだが……。
性格込みでイケメンか。……チッ。
そして俺は落ち着いた物腰の大人しい奴だ。
なんせ一人で黄昏てる奴だしな。
現在17歳。
この歳になれば大人びた奴もいて差はあまり歴然とはしないが、前世の記憶持ちという事情故に同じ歳の連中より精神年齢が上だった俺のスタンスは常に一歩引き気味だ。
幸いにも「スカした奴」扱いでハブられることもなく、周囲と適度な距離を保ちつつ関係は至って良好。
物腰や言葉遣いは内面よりもだいぶ丁寧だ。
貴族社会だし、下手に地を晒すと目上の相手にもうっかりミスりそうなんで。
ならいっそ常にお貴族様っぽくしといた方が楽だよな、という考えによるものだがまぁまぁ好評なのでこのままいこう。
他愛ない話をぽつりぽつりと挟みながら式場へと向かう。
今日は入学式。
カイル同様俺の鉄板キャラだった侯爵子息、それから王子に婚約者のご令嬢にその他数人。ゲームの主要キャラだったキラキラ軍団のご入学の日だ。
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