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その後
いまはもはやただの趣味 7
しおりを挟む「兄上ー包子です」
机の上の書類を雑にどけられ、置かれたホカホカと湯気を立てるそれはなるほど包子だ。
やりかけの仕事に周瑜が眉を顰めるものの、陵王は「いーじゃん。俺も後で手伝うし」と気にも止めずに返しては宦官に茶を所望した。
宦官も慣れたもので苦笑いを浮かべつつ言葉に従い部屋を出る。
「睡蓮作ですよ。周瑜にもやろう」
えっへんと自慢げにいい、茶がくるまえに陵王はガブリと齧り付いた。
睡蓮は梅鈴の姉でやはり古くから二人の面倒を見てきている女官だ。料理が上手で彼女の作る点心は絶品。
「「…………」」
あむあむと包子を頬張る陵王を見て黒曜と周瑜は無言で視線を見合わせた。
奇しくも二人とも同じことを思ったし、互いが同じことを思ったこともわかったからだ。
男装の麗人。
二人の頭に浮かんだのはそんな感想だった。
今日の陵王は珍しくも普通の恰好だ。
多少……いや、かなり華美な感はあるものの男性用の服装。
だいだい普段は三回に二回は女装姿、しかも最近は半数ほどが後宮の胡蝶としての姿なので確立としては五分の一にも満たない貴重な男の恰好。
だが若々しく美しいその姿は本来の姿であるはずなのに……どうしても男装の麗人に見えてしまう。
男装が流行っているだけになおさらそうとしか見えない。
そのことに兄と幼馴染は無言でお互いを見合った。
「兄上も周瑜もどうかした?」
「いや……」
「いえ……」
首を傾げる陵王に言葉少なに首を振り、茶もきたところで二人も包子に手を伸ばした。
腹も満たし、雑談を交わしつつ仕事に戻れば陵王も加わったこともあり仕事はあっという間に進んだ。
「ところで陵王様、後宮の方はいかがですか?」
周瑜の問いに陵王の眉がへにょりと下がる。
「それがさー、病弱設定押し進めたら医者呼ばれそうになるし。も~マジ参ったっ!」
「参った、じゃありませんよ。全く」
「そろそろ本当にどうにかしないとまずいしな」
「げっ、やっぱり?」
「ああ、高官たちが噂の美姫を一目見たがっている」
「うーわー!」
どうしよう!と陵王が天を仰ぐ。
「いっそ急死したことにでもする?」
「それこそ大騒ぎになるだろう」
皇族兄弟の会話を聞きつつ、表情を引き締めた周瑜は最後の一枚の書類を片付け黒曜へと向き直る。
このままでは埒があかない。
覚悟を決めて周瑜はキリリと口を開いた。
「陛下、私に高位の妃嬪様方との面談を許可していただけますか?」
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