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しおりを挟むでもそんな凶暴なたぬきたちを放置してて平気なんだろうか?
「噛まれた人たちがいるのに駆除しなくて平気なの?」
「まとめて駆除してやりたいんだけどね……役立たずの奴らはともかく、いろいろ難しいんだ」
疲れた顔でそう語る義兄さまを見てふと気づいた。
ずずいと顔を近づけてじっと見て、それから置時計を見る。夕ごはんまではまだ時間があった。
「セレナード?」
ぐいぐいと腕を引っ張って立たせれば、不思議そうにしながらも素直に従ってくれる義兄さまをベッドに連れていく。
「眠くなっちゃったのかい?夕飯のときに起こして……わっ!」
「義兄さまも」
トンって押して義兄さまごとベッドへダイブ。
スプリングが効いた広めのベッドと義兄さまが僕を受け止めてくれた。
驚いて目をぱちぱちさせる義兄さまの腕のなかでクスクスと笑う。
「びっくり?」
ドッキリ大成功だ。
「ギルもいっしょに寝よう?ごはんになったら誰か起こしにきてくれるよ」
そういって僕は寝っ転がりながら義兄さまに手を伸ばした。
「疲れてる」
頭のうえにある義兄さまの顔、うっすらとクマのある目の下を撫でる。
柔らかな笑顔で隠されているけど端正な顔には微かに疲労がにじみ出ていた。きっと忙しくて満足に寝ていなかったんだろう。
「お疲れさま、ギル」
頭を撫でてからころんと寝返りをうって精いっぱい手を伸ばす。
なんとかベッドヘッド近くまでがんばって、メナードさををつかんでまたころり。
元どおり義兄さまの胸元におさまった。
「貸してあげる」
顔の前につきだされたメナードさんをじっと見た義兄さまがおもむろに手をのばす。
メナードさんをつかみ……………ポイっとベッドに投げ出した。
「メナードさんっ?!」
足元近くにポイっとされたメナードさんに思わず叫ぶ。
哀れなメナードさんを救出しようとするも、身を起こしかけた僕の体をぎゅっと抱きしめた腕に阻まれる。
「ギル……?」
戸惑いながら名前を呼べば、すりっ、と髪に頬擦りされた。
甘い瞳が間近から僕を覗き込む。
「抱きまくらならセレナードがいい」
甘えるようにねだられて目を丸くする。
その間にもぎゅっと僕を抱き込んだギルはすり寄るようにして目蓋を閉じた。
ひどく穏やかで無防備な表情だった。
柔らかな拘束から手を伸ばし、僕よりうえにある頭を抱きしめる。
「だからって、ポイしちゃダメ」
メナードさんはなにも悪くないのにかわいそう。
「そうだね。彼にはあとで謝っとこう」
目を閉じたまま笑った義兄さまはさらに僕をぎゅっと抱き寄せた。
温かな体温と馴染んだ香りにたちまち眠気が襲ってきて、僕らは微睡みへと落ちていった。
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