麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴

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それからさらに3日。

僕は退屈していた。

しばらく……事件が解決を見せるまで父さまや義兄さまは忙しいし、僕と母さまもお城で過ごすらしい。
事件の被害者でもある僕の警護は重々しく、お部屋から出ちゃいけない。

「ひ~ま~」

暇すぎて溶けそう。

使用人たちがやたらとハイクオリティな一発芸とか披露して楽しませてくれるけど、3日目ともなるとさすがに飽きてきた。

最初は「学校休んでだらだらしていいなんて……それなんて天国?やっふー!!」状態だったけど飽きた。

つ~ま~ん~な~い~!

広いベッドのうえをゴロゴロしているとノックがなった。
使用人がドアに向かい、僕へと入室許可をとってくるのをろくに聞きもしないで、いいよと返事を出す。

厳戒体制のこの部屋に来るのは僕の家族かエリオットの家族ぐらいだ。
話し相手なら大歓迎ーと寝たままイナバウアー状態で入り口に目をやれば、予想外の人物と目があった。

「……副会長?」

……と、書記令嬢。

「なんて格好をしてるんですか」

目を丸くしたあとで呆れた声でそう言うのは、やっぱりどうみても副会長だった。

退屈していた僕は二人を大歓迎した。

二人はエリオットたちの意向でお見舞いが許可されたらしい。
自分たちは忙しいし、僕が暇をもて余してるからだろう。

今朝もこっそり脱け出そうとしたらドアを開けるより前に捕まったうえ怒られたし。

それに二人はあのお茶会に出席していたから僕が倒れたのを目の当たりにしているし、書記令嬢なんて同じく薬盛られた仲間だ。

なんと、誘拐のターゲットは僕だけじゃなかったんだ!

「具合はもう大丈夫なんですか?」

「へいき。けど暇すぎて溶けそう。寝るのはもう飽きた」

素直に答えれば、心配そうに眉を下げてた副会長の表情が緩んだ。

「セレナードからそんな言葉がでるなんておどろきですね」

僕もそんな言葉を口にする日がくるなんて思わなかった。

人生、なにがあるかわからない。

「これはお見舞いです。みんなも心配していますよ」

そう言って差し出されたのは生徒会のみんなからのお見舞い。
中身はフルーツゼリーだそうだ。

さっそく食べよう!

使用人にパスしてお茶の支度をお願いした。

ソファに座ったところで綺麗に包装を剥がれた箱の中身を見せられた。

たくさん種類がある、どれにしよう?

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