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しおりを挟む「そもそも話が脱線しまくり。ギルバートの留学が長引くって話だったよな」
こくりと頷く。
マグカップの中身はいつの間にか空になっていた。副会長がコップにジュースを半分注いでくれた。グレープフルーツ。
「そもそもなんで留学してるんですか?」
「箔付けと人脈作り」
「だからコイツとの会話でわからないとこがあると当然のように俺を見るな。俺はコイツの通訳じゃねーんだよ。……あ~、ほら、なんだかんだでセレナードはモテんだよ。この顔だし、家柄もいいし。本性知られてねぇから」
最後の一言がすごく納得いかない。
僕は性格もいいぞ?
「周りを納得させんならそれなりのもんが必要ってわけ。ギルバートは元々優秀だけど、あいつはセレナードのことに関しちゃ手ぇ抜かねぇしな。外野にグチグチ言わせる気もねぇってことだろ」
「なるほど。先輩の隣に立つための留学なんですね」
「王子と友人になったって言ってた。外交関係にあるからタヌキども黙らせるのにちょうどいいって」
義兄さまたちによると、お城にはタヌキがいっぱいいるらしい。
エリオットのお家でもあるお城には僕も何度も行ってるけどタヌキは見たことない。子猫ならあるけど。
いつか見てみたいけどエリオットも義兄さまも「見なくていい」って言ってた。
お城のタヌキは子猫と違ってあまり可愛くないのかもしれない。
そもそもなんで義兄さまのお友達になった王子はタヌキを黙らせられるんだ??
飼ってるんだろうか?
お城にはタヌキが住み着くものなのかも…………そこまで考えて僕は、はっ!とエリオットを見た。
まさかエリオットも飼ってるのか?
僕に内緒で??
ガーン!と顔が歪んだ。
「……友達だと思ってたのに」
「急にどうした?」
なんてひどいやつなんだ。
「どうしたんです?」
頭を撫でてくれる副会長に告げ口してやる。
「エリオットが僕にペットを見せてくれない」
「は?なに言ってんだ?ペットとか飼ってねぇし」
……勘違いだった。
エリオットのお家のはのらタヌキなのか。
「もし飼ったら見たい」
「あぁ?たぶん飼わねーぞ。面倒くせぇし。ペット飼いたいなら自分で飼え。おじさんならお前が頼めばペットどころか動物園だって作ってくれんだろ」
エリオットの発言にみんなの表情がひきつった。
「公爵さまってそんな感じなんですか?」
「ああ」
やたら重々しく弟子へと頷くエリオット。
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