麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴

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「たぶん告白は何度もされてんだよ。で、ギルバートは昔からコイツに特別な感情抱いてたけど、コイツ自身はよくわかってなかったんだろ。でもギルバートのことは好きだから「好きだ」って言われて「僕も」とか返してたんだろ、どうせ」

「それっ!!」

僕の状況をうまく言葉で説明してくれたエリオットを指す。

さすがは幼なじみだ。

「えっとつまり、告白は何度も成立してたけどお互い想いの質が違って……」

「いつから感情に変化したのかはよくわからない、ってことですか……?」

庶務姉妹の代わる代わるしゃべりにこくりと頷く。

でも……。

「たぶん僕も義兄さまのこと好きだった」

いつからかはわからないけど。

「だってチューされてもイヤじゃなかった。仲よくてもエリオットとはしない」

「俺だってしねーよ」

「がはっ!!」

また書記令嬢が両手で口を覆って突っ伏した。

「保健室、行った方がいいぞ?」

「いえっ、大丈夫です。まだ死ねません!」

いや、命に関わるぐらいヤバいなら保健室というか病院行け?

そして書記はなぜそんな呆れた冷たい目で書記令嬢を見てるんだ?
後輩に対する優しさがないぞ。
少しは僕を見習うといい。

「プロポーズ」

荒い息で書記令嬢が身を起こした。

「プロポーズされたときのことを聞かせていただけませんか?」

「その前に病院」

「大丈夫です!いたって問題ありませんし、お話を聞かせて頂いたらきっすごく元気になります!お布施としてお菓子をお持ちしますので!ぜひとも!!」

「お布施……」

……ってなんだ?

「「私たちも持ってくるんで!お願いします!」」

よくわからないが、女の子たちはプロポーズの話が聞きたくて仕方がなく、そのお礼としてお布施たるお菓子が僕に献上されるらしい。

「シュークリームとショートケーキがいい」

「「「おまかせを!」」」

「明日のお昼はお菓子祭り」

「ダメですよ。ちゃんとごはんも食べなさい」

「ケーキがごはん」

「ケーキはごはんじゃありません。あなたたち、お菓子を持ってくるなら別々の日になさい」

後半の言葉は後輩たちに向けられ、はーい!と良い子の返事をする彼女たち。

なんてことっ!
僕のせっかくの楽しみがっ…………。

唇を尖らせてじっと副会長を見るも「どちらかにしなさい。楽しみが2日にわかれると思えばいいでしょう?」と諭されてしまった。

「じゃあ明日は私がショートケーキをお持ちしますわ。イチゴがたっぷりで美味しいお店を知ってるんです」

「なら私たちは明後日シュークリームを」

「なので早く聞かせてください!」


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