麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴

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赤や黄色に色づいた葉がひらひらと舞う。
美しいが僅かにくすんだその色は秋が終わろうとしているのを物語る。

窓に手をついて僕は物思いに耽りながらその様を見つめていた。

「セレナード。なにか温かいものでも飲みませんか?」

副会長の声に振り向けば肩にお昼寝用のブランケットをかけられた。
お花を咥えたひよこ柄。

寒いでしょう?と聞かれた途端、ふるりと体が震えた。
窓についてた手をはなし、ブランケットを胸の前で合わせる。

「……ココア」

「わかりました。マシュマロは?」

「いる。いっぱい」

ココアにマシュマロはマイブーム。

マグカップを両手で持ち、ふーふー息を吹きかけてココアを飲む。

甘くておいしい。
だけど頑張って一口を多めに吸い込んでも、あといっぽでマシュマロが逃げてしまう。こしゃくな。

カップを置き、スプーンを手にした。

僕から逃げられると思うなよ、マシュマロたちめ。

溶けかけのマシュマロたちはふわふわで口の中でするりと消える。
3回その動作を繰り返すと…………。

「副会長。マシュマロがなくなった」

「いや、なくなったんじゃなくって食ったんだろ」

マシュマロの入れものを引き寄せた副会長がさらに2つ浮かべてくれた。
ふとそのままのマシュマロも食べたくなって、あーんと口を開ければそこにも1つ。

ココアに入れたマシュマロより弾力があって、これはこれでおいしい。
もう一回あーん。

「小鳥か」

もぐもぐしてからココアを飲む。

うむ、さっきより熱くなくていい感じ。
僕は猫舌だ。

ところでエリオットと書記はツッコミをいれずにはいられない病かなにかだろうか?

食べたからなくなった。
なにもおかしくはないし、僕は小鳥ではなく人間だ。
書記は目が悪いのだろうか?

いや、もしかしたら……

「やっぱり脳みそまで筋肉に……」

「誰が脳筋だっ!!」

うっかり声に出してしまい怒鳴られた。

誰が、とは言ってないのにしっかり反応するあたり自覚があるんじゃないか。

「そもそも先輩、今日はお昼寝しないんですか?」

「しない。眠くない」

「はっ?!どっか具合でもっ?!」

「……」

弟子だけでなく慌てる後輩たちをじとっと見た。
なぜお昼寝をしないだけで体調の心配をされるんだ。

普段の行いだろ、と鼻で笑うツッコミ属性たちにイラッとした。

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