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20話 音楽室
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僕らは歴史資料としての品々を借り受けるために、いつも通う学校とは別の小学校に足を運んでいた。
「なあ、今回借りるのって何なんだろうな」と、コウキ君がわくわくしていた。
「向こうに伝えてあると先生は言っていたけど、どんなものかまでは検討もつかないんだよな」と、佐々木君が頭を捻った。
「元々三人だったし、比較的軽いものじゃないか。例えばみのとかさ」
「みのか。一度着てみたかったんだよな」
ヒロキ君の予想に、コウキ君は期待し始めていた。
「勝手に着るのはまずいだろう」
「みのって痛みそうだもんね。僕の予想としては、無難なところで洗濯板な気がするよ」
「洗濯板か。ありそうだな。その場合、次の授業は洗濯で決まりだな」
「この寒い時期に、洗濯とか勘弁してくれ」
「げっ、ドッジならいいけど洗濯は夏にしてくれよ」
ヒロキ君が愚痴を漏らすと、コウキ君まで便乗し始めた。
「いや、お前別のクラスだろ」
「そういえば、そうだった」
「もしかしたら他のクラスでも使いまわすのかもしれないよ」
「頼むからみの、みのにしてくれー」
コウキ君が懇願する中、僕らは目的の小学校の職員室へと入っていった。
「失礼します。僕ら歴史資料用の品を借りに来た者ですけど」
「ええ、聞いていますよ。って、聞いていた人数より一人多いですね。もしかして、保管室に興味があって、ついて来た子もいるのかしら」
この学校の先生のいう通り、担任に指名されたのは、僕、佐々木君、ヒロキ君の三人だったけど、保管室を見てみたいということでコウキ君もついてきていた。
「あっ、それ、俺です。見ていってもいいですか?」
「もちろんいいですよ」
この学校の先生に案内されて、僕らは保管室に向かい目的を済ませた。
「マル、写真も終わっただろ?」
「うん、バッチリ撮れたよ」
僕は、担任に渡されていたデジカメを佐々木君に掲げてみせた。
「じゃあ、帰るか」
桶を持った佐々木君が帰ることを促した。
「だな。みのも着れたしもう思い残すこともないしな」
愉悦の表情でコウキ君が賛同した。だけど、ヒロキ君は真逆の表情で持っているものを見つめながらぽつりと漏らす。
「やっぱ、洗濯かよ」
僕らが保管室から出ると、先生は「気を付けて帰るんですよ」と言った後に、思い出したように付け加える。
「そうそう、もし音楽室から音が聞こえてきても、邪魔せずにそっとしておいてあげてくださいね」
「え? それってどういう……」
コウキ君が尋ねてみたけど、先生は何も答えずに去っていった。
「音楽室か。ちょっと見てみるか?」と、ヒロキ君が僕らに尋ねる。
「ああ。マルとコウキはどうする?」
「皆が行くなら僕も行くよ」
「なら、俺も行くわ」
僕らは戻る途中にあった音楽室の前へと立ち寄ると、窓から中の様子を窺うことにことにした。
「誰もいなそうだな」
「そうだね」
「ゆ、幽霊とかもいない感じか?」
「お、開いているみたいだぞ」
佐々木君が扉を開けて中へと入っていった。僕らも後を追うように中へと入る。
「グランドピアノがあるだけで、特にはこれといって変わりはないんだな」
佐々木君が黒塗りのグランドピアノを観察する一方で、ヒロキ君は壁にかけられている肖像画たちを眺めていた。
「いや、肖像画も俺らの学校とは違うみたいだな。見たことないものまであるし」
「う、動いたりしないよな?」
「地震がない限りは動くことはないと思うよ。(少なくとも今はね……)」
「さて、何もなさそうだし、そろそろ俺らの学校に戻るか」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、その後はドッジな」
「やらん」
「やらないから」
「やらないよ」
僕ら三人は、コウキ君の突拍子もない意見を即座に否定した。
「じゃあ、明日の昼にやろうぜ」
コウキ君はそう言いながら音楽室の外へと出ていく。
「どんだけドッジ好きなんだよ」
「考えとく」
ヒロキくんが出た後に、続けて佐々木君が両手を頭の後ろに置きながら出ていく。
(えっ、両手!? 桶はどうしたの?)
僕は慌てて音楽室を見渡すと、桶はグランドピアノの足元に置かれたままになっていた。
(あった。佐々木君も案外抜けてるところあるんだね)
桶を拾うために前かがみになっていると、視界に何者かの足が見える。その位置は丁度グランドピアノの椅子がある付近だった。
桶を拾い上げると、足の主である女の子と目が合ってしまった。僕と同い年くらいの女の子は、目が合った瞬間に何故か会釈をした。そして、ピアノの椅子へ腰を下すと、鍵盤に手を置いた。
美しい音色が奏でられていく。優雅でどこか悲しいそんな旋律。
僕は聞き入られずにはいられなくなってしまい、その場に立ち尽くしてしまった。だが、そんな状況に水を差すモノが蠢き始めてしまった。そう、絵画に扮したヘンタイさんである。
「はぁはぁ、ボクとデュオしてくれないかな。その前にまずは着替えないといけないね」
ヘンタイさんがどこから取り出したのかわからないけど、コンサートで着るような服を女の子の前に突き出した。
(もしかして、今からそれに着替えさせるの?)
僕の鼓動が脈打つと同時に、音楽室の入り口から声が聞こえたので振り向く。
「マルここにいたのか。って、なんだ!? 音楽の……先生?」
三人が動揺しながらも中へと入ってきた。僕が女の子に視線を戻すと、既に着替えは完了していて、一人と一体はお辞儀をしているところだった。そして、少女が腰を下すと、先ほどと同様の曲が奏でられていく。
だけど、前の曲とは違うものになっていた。ヘンタイさんとの連弾によって、曲がまた違った顔を見せていたのだ。
儚く悲しげ。だけど、力強くもあり陽気でもあった。例えるなら、そう、人生そのものを表しているかのようなそんな感じだった。
女の子の嬉しそうな笑顔に、僕は自然とカメラを構えていた。そして、幸せの一ページが切り取られる。それは本来ならありえなかったはずの一ページ。ヘンタイさんがもたらした奇跡の一ページ。
僕は聞き入りながらも、次々にカメラのシャッターを切っていった。
気づけば曲は終わり、僕ら四人は拍手をしていた。女の子とヘンタイさんが最後の会釈をする。そして、ヘンタイさんは何かを察したように窓から外へと飛び込んでいった。
「えっ!? ここ三階なんだけど」
ヒロキ君たちは、慌てて窓の外の様子を窺いに行った。僕はというと女の子に釘付けになっていた。今まで色んな幽霊を見てきたけど、純粋に見つめてしまうのはこれが初めてかもしれない。
光の粒子になっていく女の子が満面の笑みを向けてくる。そして――。
「聴いてくれてありがとう……」
彼女はそう言い残して消えていった。
「こちらこそありがとう」
僕はカメラに残っている彼女の姿を見ながら呟いた。すると、後ろから声が聞こえてくる。
「聴こえてくる音がいつもと違うと思ったけど、あなたたちのお陰だったのね。ちょっとカメラを見せてもらっていいかしら?」
「ええ、どうぞ」
僕が先生にカメラを渡すと、先生は撮ったばかりの写真を次々に眺めていった。
「そう、彼女は満足したのね。……ありがとう」
どうやら、僕の撮った写真の女の子は先生にも見えるらしい。先生は涙ながらにお礼を呟いていた。
僕はこの瞬間に空気の読めない疑問が頭の中に過ってしまった。先生は、もしかしてヘンタイさんには目を向けないようにしているのではないかという疑問だ。
音楽家のようなカツラを被り奇跡を起こしたヒト。だけど、先生の脳内にはいないヒト。徐々に確信へと変わっていく、先生が呟いていた言葉。それは――。
先生は僕らにだけお礼を言ったのだから。「聴いてくれてありがとう」と。
「なあ、今回借りるのって何なんだろうな」と、コウキ君がわくわくしていた。
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「ええ、聞いていますよ。って、聞いていた人数より一人多いですね。もしかして、保管室に興味があって、ついて来た子もいるのかしら」
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「うん、バッチリ撮れたよ」
僕は、担任に渡されていたデジカメを佐々木君に掲げてみせた。
「じゃあ、帰るか」
桶を持った佐々木君が帰ることを促した。
「だな。みのも着れたしもう思い残すこともないしな」
愉悦の表情でコウキ君が賛同した。だけど、ヒロキ君は真逆の表情で持っているものを見つめながらぽつりと漏らす。
「やっぱ、洗濯かよ」
僕らが保管室から出ると、先生は「気を付けて帰るんですよ」と言った後に、思い出したように付け加える。
「そうそう、もし音楽室から音が聞こえてきても、邪魔せずにそっとしておいてあげてくださいね」
「え? それってどういう……」
コウキ君が尋ねてみたけど、先生は何も答えずに去っていった。
「音楽室か。ちょっと見てみるか?」と、ヒロキ君が僕らに尋ねる。
「ああ。マルとコウキはどうする?」
「皆が行くなら僕も行くよ」
「なら、俺も行くわ」
僕らは戻る途中にあった音楽室の前へと立ち寄ると、窓から中の様子を窺うことにことにした。
「誰もいなそうだな」
「そうだね」
「ゆ、幽霊とかもいない感じか?」
「お、開いているみたいだぞ」
佐々木君が扉を開けて中へと入っていった。僕らも後を追うように中へと入る。
「グランドピアノがあるだけで、特にはこれといって変わりはないんだな」
佐々木君が黒塗りのグランドピアノを観察する一方で、ヒロキ君は壁にかけられている肖像画たちを眺めていた。
「いや、肖像画も俺らの学校とは違うみたいだな。見たことないものまであるし」
「う、動いたりしないよな?」
「地震がない限りは動くことはないと思うよ。(少なくとも今はね……)」
「さて、何もなさそうだし、そろそろ俺らの学校に戻るか」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、その後はドッジな」
「やらん」
「やらないから」
「やらないよ」
僕ら三人は、コウキ君の突拍子もない意見を即座に否定した。
「じゃあ、明日の昼にやろうぜ」
コウキ君はそう言いながら音楽室の外へと出ていく。
「どんだけドッジ好きなんだよ」
「考えとく」
ヒロキくんが出た後に、続けて佐々木君が両手を頭の後ろに置きながら出ていく。
(えっ、両手!? 桶はどうしたの?)
僕は慌てて音楽室を見渡すと、桶はグランドピアノの足元に置かれたままになっていた。
(あった。佐々木君も案外抜けてるところあるんだね)
桶を拾うために前かがみになっていると、視界に何者かの足が見える。その位置は丁度グランドピアノの椅子がある付近だった。
桶を拾い上げると、足の主である女の子と目が合ってしまった。僕と同い年くらいの女の子は、目が合った瞬間に何故か会釈をした。そして、ピアノの椅子へ腰を下すと、鍵盤に手を置いた。
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「はぁはぁ、ボクとデュオしてくれないかな。その前にまずは着替えないといけないね」
ヘンタイさんがどこから取り出したのかわからないけど、コンサートで着るような服を女の子の前に突き出した。
(もしかして、今からそれに着替えさせるの?)
僕の鼓動が脈打つと同時に、音楽室の入り口から声が聞こえたので振り向く。
「マルここにいたのか。って、なんだ!? 音楽の……先生?」
三人が動揺しながらも中へと入ってきた。僕が女の子に視線を戻すと、既に着替えは完了していて、一人と一体はお辞儀をしているところだった。そして、少女が腰を下すと、先ほどと同様の曲が奏でられていく。
だけど、前の曲とは違うものになっていた。ヘンタイさんとの連弾によって、曲がまた違った顔を見せていたのだ。
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工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
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むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
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