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第1章
第13話 救出
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「なんとか撃退しましたね」
巨大鳥を撃退した後しばらくは皆そのまま様子を窺っていたが、さっきのヤツも他の鳥も襲ってくる気配がないので、ようやく落ち着いて言葉を交わす。
「ああ、コータくん、ミーコ、サーヤもお疲れさん。よくやったな」
「うん。もう握力がヤバイよ。やっぱりこんな木の棒じゃ、戦うとかキツイね」
「いやー、優介さんが森に入れとか首狙えとか指示してくれたおかげで、なんとかなったっすよ。やっぱ先輩に聞いてた通り、頼りになるっすね!」
「はぁ? 春樹が!?」
俺が頼りになるって? …ナイナイナイ! 春樹がそんなこと言うかよ。
「はい。言ってたっすよ! いつだったか、飲み会の時に優介さんの話になって『アイツは冷静に判断できるし、周りのことをよく見てる。それに、他人のために動けるやつだから、いざという時は俺なんかよりよっぽど頼りになる』って」
「…アイツの言うことを真に受けるなよ、痛い目みるぞ。それに今回はたまたまだ」
春樹が俺を褒めるなんてなんの罠だよ。しかも俺と面識のない後輩相手に…。ドッキリか? 何企んでたんだアイツ。
「えー、でもここまでだってずっと引っ張ってきてくれてたし、実際自分も頼りになるって思ったっすよ!」
「あまりハードル上げんでくれ、コータくん」
「あ、そうだ! 言おうと思ってたんすけど、『くん』付けないで呼び捨てでお願いします! その方が落ち着くっすから」
「そうか? じゃあコー「あ、見て見て! 道にさっきの鳥の羽が落ちてるよ! キレイだね~」」
言い終わらないうちにミーコがかぶせて言う。まぁいいけど。
「ほんとだ、怖い鳥だったけど、やっぱキレイっすね」
コータが1枚拾い上げて言う。たしかに綺麗だな。見ると、柔らかそうな羽毛の他に尾の上部分の立派な飾り羽が、数枚道の方に落ちており、森の方にも頭にあった大きな飾り羽が1枚落ちていた。地球の鳥の常識で言うならば、頭の飾り羽が大きく立派になるのは、繁殖期のオスの特長だ。もしかしたらそれで気が立っていたせいで襲ってきたのかもな。
「あの鳥凶暴でしたけど、モンスターなんでしょうか?この羽、お金になりませんかね?」
「そうだ、漫画なんかじゃモンスターとか珍しい動物の素材なんかは売れたりするっすよね!おお、なんか異世界の冒険者っぽい!」
さすがサーヤ、現実的でしっかりしてるな。
「食料や宿のためにも金は必要だな。売れるかどうかわからんが持って行くか」
俺たちはなるべく汚れなどのない羽を拾い集めて丁寧にナップサックに入れ、鳥を刺激しないように警戒しながら静かに道を下っていった。
ーーーーーーーーーー
その後は特に襲われることもなく、鳥達のいる盆地に面した崖沿いの道を下っていった。道は途中から崖沿いを外れて草原の中に続いており、草原に入ると巨大鳥の姿も見えなくなったため、やっと緊張状態から開放されて一息つく。
「うわあああぁぁぁ!!」
幾分のんびりした気持ちで歩き出したところで、突如叫び声が響き渡った。
「今の、子どもの声っすよね!?」
「うん、この道の先から聞こえたよね!」
「「優介さん!」」
皆が俺を見てくる。早く行こうと言わんばかりに訴える目だ。
「ああ、行こう!」
そう言うと、3人とも大きく頷いて走り出した。
あんなデカイ鳥に襲われたばかりだというのに、子どもの叫び声を知らぬフリができるヤツは、この中にはいないようだ。とはいえ、年長者としてコイツらの命にも責任がある。もしヤバそうな相手なら、子どもは見捨ててでも引かせよう。走りながら、そう密かに決意した。
道を曲がるとすぐに状況は把握できた。5mほど先のところで、10歳くらいの男の子とウサギのような生き物が1匹、相対していたのだ。
「これは、まさか獣人ってヤツか? それに…モンスター!?」
「うわ! デカイうさぎ! ホーンラビットっぽいっすね!!」
「わ! 大っきい牙! あれ? ウサギって牙あるんだっけ?」
「優介さん、早く助けないと!」
そう、男の子には犬のような耳と尻尾があった。少し震えながらも短剣を構えている。そして、相対するウサギは中型犬ほどのサイズで額に1本の角が生えており、牙を剥き出しにして男の子に襲いかかろうとしているのだ。
ウサギにしては規格外の大きさだが1匹だけ、これならなんとかなるか? さっき巨大鳥と対峙したおかげか、みんな怖気づいている様子はない。とりあえず男の子に声をかける。
「君! 大丈夫か? 怪我はないか?」
言ってしまってから言葉が通じるのかと疑問に思ったが、問題なく通じるようだ。
「う、うん。大丈夫だよ」
「よし、じゃあ、ソイツから目を離さないで、そのままゆっくり下がるんだ」
男の子は素直に従って、俺たちのところまで後ろ向きのまま下がった。ウサギも一定の距離を保ったままこちらに来たため5対1になるが、怯んだ様子もなく牙を剥いて威嚇してくる。
「あのウサギ、5対1でもヤル気みたいっすね」
「だな。尻尾巻いて逃げてくれれば良かったんだけどな」
「ユウ兄? ウサギさんは尻尾巻けないよ?」
そこはクスっと笑うとこだろ。普通に突っ込むなよ。真面目か!
「とにかく、こうなったら闘うしかありませんね」
「ああ。牙と角に気をつけろ。正面は俺が受け持つ。皆はなるべくサイドから攻撃して、攻撃したらすぐに離れろ」
「はい!」「わかった!」
「優介さん、自分が正面行くっすよ!」
「いや、防御に徹すれば俺でもなんとかなるだろう。コータの方が攻撃力がありそうだから攻撃に回ってくれ。最初の一撃は隙を作れると思うから、イケそうならこれでやってくれ」
持っていたナイフをコータに渡して、俺は片手に棒を持ち、もう一方の手で砂を掴む。コータは無言で頷いた。
3人がウサギを囲むようにバラけたのを確認して声をかける。
「砂を投げたら一斉にかかるぞ! 3.2.1..Go!」
カウントダウンし、砂を投げつける。うまく顔に命中したおかげで一瞬ウサギが怯んだ。その隙に一斉に攻撃を加える。俺が頭を、ミーコとサーヤが背中をそれぞれ棒で殴りつけた直後に、コータがナイフで首のあたりを切りつけた。
ウサギは若干よろけたが、ナイフによる出血も少なく、あまりダメージはないように見える。すぐに体勢を立て直して再び威嚇してきた。
「すいません! コイツ結構硬くて、ナイフが刺さらなかったっす!」
コータがナイフを棒に持ち替えながら言う。
「そうか。次に機会があったら腹側を刺してみてくれ」
「了解っす!」
ウサギはこちらの隙を窺っているようだが、ジリジリと間を詰めてきている。そして、俺との間が1mほどになったところでフッと身をかがめた。
――ジャンプしてくる!
そう感じた瞬間、背負っていたリュックを手に持って待ち構えた。案の定飛びかかってきたので、身体を横に倒しながらリュックを振り回して顔にヒットさせる。角に突き破られないよう、低い位置から斜め上に振り上げたが、俺の力ではウサギを吹っ飛ばすには至らず、ほぼ当たった場所のままで落下した。しかし、顔面に打撃を食らったウサギの一瞬の隙を見逃さず、俺以外の3人がまた一斉に殴りつける。
「優介さん! 大丈夫ですか!?」
サーヤはウサギの後ろ側、俺の対角にいたため、様子がわからなかったのだろう。攻撃をしながらも無事を確認してくる。
「大丈夫だ。
っ! コータっ!」
短く答えながら俺も体勢を整え、攻撃を入れたコータに噛み付こうとしたウサギの口に、持っていた棒を突き入れた。喉奥まで押し込んだので、さすがに噛み砕くこともできず、ウサギは苦しそうに呻きながら頭を激しく振り回そうとする。
2、3度は振り回されないよう棒を握って耐えていたが、結局すぐにウサギの勢いに負けて棒ごと吹っ飛ばされてしまった。急いで身体を起こそうとするが、飛ばされた痛みでうまく動けない。ウサギは尻の方を高く上げて前傾姿勢になり、右後ろ足で砂を掻くようにして今にも突進しようとしている。先ほどの恨みを晴らしたいのか狙いは俺のようだ。
「「優介さん!!」」「ユウ兄!!」
―まずい! これは避けきれないか!?
皆の叫び声とともにそう思った直後―
「やぁぁぁっ!」
ドスっ!
「ぎゃふうぅぅぅっ!!」「「「はぅぅっ!」」」
サーヤが気合のこもった掛け声とともに棒を抱えてウサギに突進した後、断末魔のような叫び声とともにウサギが倒れた。尻からは先ほどまでサーヤが持っていた棒が生えている。その機を逃さず皆で袋叩きにし、トドメはコータがナイフで胸のあたりを刺した。
「サーヤ、ありがとう、助かった」
「いえ、無事でよかったです!」
にこやかにそう答えるサーヤに、やっぱりサーヤは敵に回さないように注意しようと心に誓った。
と、そこに例の獣人らしき男の子が近付いてきた。
「ありがとうございましたっ!」
深々と頭を下げて言う。うん、近くで見ても耳も尻尾も本物に見えるな。耳はピクピクっと動いてるし。うーん、あのモフモフに触ってみたい。
「いや、たまたま近くにいたからな。無事でよかったよ」
とりあえずモフモフを触りたい欲求は抑えて、この世界で初めて出会った人(?)なんだから、できるだけ情報を得なければ。子どもが一人でいるんだから、村とか町も近くにあるだろう。今日の寝床に希望が湧いたな。
巨大鳥を撃退した後しばらくは皆そのまま様子を窺っていたが、さっきのヤツも他の鳥も襲ってくる気配がないので、ようやく落ち着いて言葉を交わす。
「ああ、コータくん、ミーコ、サーヤもお疲れさん。よくやったな」
「うん。もう握力がヤバイよ。やっぱりこんな木の棒じゃ、戦うとかキツイね」
「いやー、優介さんが森に入れとか首狙えとか指示してくれたおかげで、なんとかなったっすよ。やっぱ先輩に聞いてた通り、頼りになるっすね!」
「はぁ? 春樹が!?」
俺が頼りになるって? …ナイナイナイ! 春樹がそんなこと言うかよ。
「はい。言ってたっすよ! いつだったか、飲み会の時に優介さんの話になって『アイツは冷静に判断できるし、周りのことをよく見てる。それに、他人のために動けるやつだから、いざという時は俺なんかよりよっぽど頼りになる』って」
「…アイツの言うことを真に受けるなよ、痛い目みるぞ。それに今回はたまたまだ」
春樹が俺を褒めるなんてなんの罠だよ。しかも俺と面識のない後輩相手に…。ドッキリか? 何企んでたんだアイツ。
「えー、でもここまでだってずっと引っ張ってきてくれてたし、実際自分も頼りになるって思ったっすよ!」
「あまりハードル上げんでくれ、コータくん」
「あ、そうだ! 言おうと思ってたんすけど、『くん』付けないで呼び捨てでお願いします! その方が落ち着くっすから」
「そうか? じゃあコー「あ、見て見て! 道にさっきの鳥の羽が落ちてるよ! キレイだね~」」
言い終わらないうちにミーコがかぶせて言う。まぁいいけど。
「ほんとだ、怖い鳥だったけど、やっぱキレイっすね」
コータが1枚拾い上げて言う。たしかに綺麗だな。見ると、柔らかそうな羽毛の他に尾の上部分の立派な飾り羽が、数枚道の方に落ちており、森の方にも頭にあった大きな飾り羽が1枚落ちていた。地球の鳥の常識で言うならば、頭の飾り羽が大きく立派になるのは、繁殖期のオスの特長だ。もしかしたらそれで気が立っていたせいで襲ってきたのかもな。
「あの鳥凶暴でしたけど、モンスターなんでしょうか?この羽、お金になりませんかね?」
「そうだ、漫画なんかじゃモンスターとか珍しい動物の素材なんかは売れたりするっすよね!おお、なんか異世界の冒険者っぽい!」
さすがサーヤ、現実的でしっかりしてるな。
「食料や宿のためにも金は必要だな。売れるかどうかわからんが持って行くか」
俺たちはなるべく汚れなどのない羽を拾い集めて丁寧にナップサックに入れ、鳥を刺激しないように警戒しながら静かに道を下っていった。
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その後は特に襲われることもなく、鳥達のいる盆地に面した崖沿いの道を下っていった。道は途中から崖沿いを外れて草原の中に続いており、草原に入ると巨大鳥の姿も見えなくなったため、やっと緊張状態から開放されて一息つく。
「うわあああぁぁぁ!!」
幾分のんびりした気持ちで歩き出したところで、突如叫び声が響き渡った。
「今の、子どもの声っすよね!?」
「うん、この道の先から聞こえたよね!」
「「優介さん!」」
皆が俺を見てくる。早く行こうと言わんばかりに訴える目だ。
「ああ、行こう!」
そう言うと、3人とも大きく頷いて走り出した。
あんなデカイ鳥に襲われたばかりだというのに、子どもの叫び声を知らぬフリができるヤツは、この中にはいないようだ。とはいえ、年長者としてコイツらの命にも責任がある。もしヤバそうな相手なら、子どもは見捨ててでも引かせよう。走りながら、そう密かに決意した。
道を曲がるとすぐに状況は把握できた。5mほど先のところで、10歳くらいの男の子とウサギのような生き物が1匹、相対していたのだ。
「これは、まさか獣人ってヤツか? それに…モンスター!?」
「うわ! デカイうさぎ! ホーンラビットっぽいっすね!!」
「わ! 大っきい牙! あれ? ウサギって牙あるんだっけ?」
「優介さん、早く助けないと!」
そう、男の子には犬のような耳と尻尾があった。少し震えながらも短剣を構えている。そして、相対するウサギは中型犬ほどのサイズで額に1本の角が生えており、牙を剥き出しにして男の子に襲いかかろうとしているのだ。
ウサギにしては規格外の大きさだが1匹だけ、これならなんとかなるか? さっき巨大鳥と対峙したおかげか、みんな怖気づいている様子はない。とりあえず男の子に声をかける。
「君! 大丈夫か? 怪我はないか?」
言ってしまってから言葉が通じるのかと疑問に思ったが、問題なく通じるようだ。
「う、うん。大丈夫だよ」
「よし、じゃあ、ソイツから目を離さないで、そのままゆっくり下がるんだ」
男の子は素直に従って、俺たちのところまで後ろ向きのまま下がった。ウサギも一定の距離を保ったままこちらに来たため5対1になるが、怯んだ様子もなく牙を剥いて威嚇してくる。
「あのウサギ、5対1でもヤル気みたいっすね」
「だな。尻尾巻いて逃げてくれれば良かったんだけどな」
「ユウ兄? ウサギさんは尻尾巻けないよ?」
そこはクスっと笑うとこだろ。普通に突っ込むなよ。真面目か!
「とにかく、こうなったら闘うしかありませんね」
「ああ。牙と角に気をつけろ。正面は俺が受け持つ。皆はなるべくサイドから攻撃して、攻撃したらすぐに離れろ」
「はい!」「わかった!」
「優介さん、自分が正面行くっすよ!」
「いや、防御に徹すれば俺でもなんとかなるだろう。コータの方が攻撃力がありそうだから攻撃に回ってくれ。最初の一撃は隙を作れると思うから、イケそうならこれでやってくれ」
持っていたナイフをコータに渡して、俺は片手に棒を持ち、もう一方の手で砂を掴む。コータは無言で頷いた。
3人がウサギを囲むようにバラけたのを確認して声をかける。
「砂を投げたら一斉にかかるぞ! 3.2.1..Go!」
カウントダウンし、砂を投げつける。うまく顔に命中したおかげで一瞬ウサギが怯んだ。その隙に一斉に攻撃を加える。俺が頭を、ミーコとサーヤが背中をそれぞれ棒で殴りつけた直後に、コータがナイフで首のあたりを切りつけた。
ウサギは若干よろけたが、ナイフによる出血も少なく、あまりダメージはないように見える。すぐに体勢を立て直して再び威嚇してきた。
「すいません! コイツ結構硬くて、ナイフが刺さらなかったっす!」
コータがナイフを棒に持ち替えながら言う。
「そうか。次に機会があったら腹側を刺してみてくれ」
「了解っす!」
ウサギはこちらの隙を窺っているようだが、ジリジリと間を詰めてきている。そして、俺との間が1mほどになったところでフッと身をかがめた。
――ジャンプしてくる!
そう感じた瞬間、背負っていたリュックを手に持って待ち構えた。案の定飛びかかってきたので、身体を横に倒しながらリュックを振り回して顔にヒットさせる。角に突き破られないよう、低い位置から斜め上に振り上げたが、俺の力ではウサギを吹っ飛ばすには至らず、ほぼ当たった場所のままで落下した。しかし、顔面に打撃を食らったウサギの一瞬の隙を見逃さず、俺以外の3人がまた一斉に殴りつける。
「優介さん! 大丈夫ですか!?」
サーヤはウサギの後ろ側、俺の対角にいたため、様子がわからなかったのだろう。攻撃をしながらも無事を確認してくる。
「大丈夫だ。
っ! コータっ!」
短く答えながら俺も体勢を整え、攻撃を入れたコータに噛み付こうとしたウサギの口に、持っていた棒を突き入れた。喉奥まで押し込んだので、さすがに噛み砕くこともできず、ウサギは苦しそうに呻きながら頭を激しく振り回そうとする。
2、3度は振り回されないよう棒を握って耐えていたが、結局すぐにウサギの勢いに負けて棒ごと吹っ飛ばされてしまった。急いで身体を起こそうとするが、飛ばされた痛みでうまく動けない。ウサギは尻の方を高く上げて前傾姿勢になり、右後ろ足で砂を掻くようにして今にも突進しようとしている。先ほどの恨みを晴らしたいのか狙いは俺のようだ。
「「優介さん!!」」「ユウ兄!!」
―まずい! これは避けきれないか!?
皆の叫び声とともにそう思った直後―
「やぁぁぁっ!」
ドスっ!
「ぎゃふうぅぅぅっ!!」「「「はぅぅっ!」」」
サーヤが気合のこもった掛け声とともに棒を抱えてウサギに突進した後、断末魔のような叫び声とともにウサギが倒れた。尻からは先ほどまでサーヤが持っていた棒が生えている。その機を逃さず皆で袋叩きにし、トドメはコータがナイフで胸のあたりを刺した。
「サーヤ、ありがとう、助かった」
「いえ、無事でよかったです!」
にこやかにそう答えるサーヤに、やっぱりサーヤは敵に回さないように注意しようと心に誓った。
と、そこに例の獣人らしき男の子が近付いてきた。
「ありがとうございましたっ!」
深々と頭を下げて言う。うん、近くで見ても耳も尻尾も本物に見えるな。耳はピクピクっと動いてるし。うーん、あのモフモフに触ってみたい。
「いや、たまたま近くにいたからな。無事でよかったよ」
とりあえずモフモフを触りたい欲求は抑えて、この世界で初めて出会った人(?)なんだから、できるだけ情報を得なければ。子どもが一人でいるんだから、村とか町も近くにあるだろう。今日の寝床に希望が湧いたな。
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誠に勝手ながら、こちらの作品は、2017年12月1日の投稿をもって無期限の休止にさせていただきます。次話からは2章に突入予定でおりますが、また書き溜めができれば再開するかと思います。気長にお待ちいただければ幸いです。ここまで読んでくださってありがとうございました。
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