35 / 36
第六話「東海道の闇」③
しおりを挟むシャルルの部屋の前で、しばらく呆然としていた。
考えてみれば、本人からは男だと言われた事は無い。
シャルルは男性に付ける名前だが、女性に付けては駄目だという法は無い、多分。
僕と言う一人称だって、王都では使ってる女性も見たことがある。
俺とか、ワシとか使ってる女性だっていた。
17歳でスリムな身体付きだが、女性だと分かればなぜ男だと思っていたのかと、自分を殴りたくなる。
ちゃんと丸みをおびた優しい身体だったのだ。
ふたつの膨らみはささやかだったが。
いや、膨らみの事は忘れよう。
これ以上突き詰めて考えては不味い事だった。
そう、彼女は女性だった。
可愛いと思っていた弟が、女性、、、妹だった?
妹、、、本当に妹?
俺はうずくまって、頭を抱えるのだった。
もう二度と顔を見せてくれないかと思ったが、夜には部屋から出てきてくれた。
「シャルル!
さっきはごめん。
俺が勝手に男の子だと思い込んでた。
君は一度も性別の話はしなかったのに。」
「別に男でも良い。
その方がお互い都合が良いでしょう。」
「都合が良い?
なんでだ?」
「同性の方が気兼ねしないでしょう。
こんな所に住んでいるんだから、男に思われていた方が安心だし。」
「シャルル、やっぱり俺と一緒に行こう。
女の子ならば、余計に一人では置いておけない。」
「ほうっておいて。
あなたは通りすがりの、ただの他人。
もう、私に係わらないで。」
シャルル、、、。
気まずい雰囲気のまま、そろろ旅に出なければならない時期がやってきた。
祖母殿はまだ帰らない。
このまま本当に、彼女をひとりで置いて行くのだろうか。
俺には彼女を説得する事が出来ない。
とても、無力だった。
考えてみれば、本人からは男だと言われた事は無い。
シャルルは男性に付ける名前だが、女性に付けては駄目だという法は無い、多分。
僕と言う一人称だって、王都では使ってる女性も見たことがある。
俺とか、ワシとか使ってる女性だっていた。
17歳でスリムな身体付きだが、女性だと分かればなぜ男だと思っていたのかと、自分を殴りたくなる。
ちゃんと丸みをおびた優しい身体だったのだ。
ふたつの膨らみはささやかだったが。
いや、膨らみの事は忘れよう。
これ以上突き詰めて考えては不味い事だった。
そう、彼女は女性だった。
可愛いと思っていた弟が、女性、、、妹だった?
妹、、、本当に妹?
俺はうずくまって、頭を抱えるのだった。
もう二度と顔を見せてくれないかと思ったが、夜には部屋から出てきてくれた。
「シャルル!
さっきはごめん。
俺が勝手に男の子だと思い込んでた。
君は一度も性別の話はしなかったのに。」
「別に男でも良い。
その方がお互い都合が良いでしょう。」
「都合が良い?
なんでだ?」
「同性の方が気兼ねしないでしょう。
こんな所に住んでいるんだから、男に思われていた方が安心だし。」
「シャルル、やっぱり俺と一緒に行こう。
女の子ならば、余計に一人では置いておけない。」
「ほうっておいて。
あなたは通りすがりの、ただの他人。
もう、私に係わらないで。」
シャルル、、、。
気まずい雰囲気のまま、そろろ旅に出なければならない時期がやってきた。
祖母殿はまだ帰らない。
このまま本当に、彼女をひとりで置いて行くのだろうか。
俺には彼女を説得する事が出来ない。
とても、無力だった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
パラサイト/ブランク
羊原ユウ
ホラー
舞台は200X年の日本。寄生生物(パラサイト)という未知の存在が日常に潜む宵ヶ沼市。地元の中学校に通う少年、坂咲青はある日同じクラスメイトの黒河朱莉に夜の旧校舎に呼び出されるのだが、そこで彼を待っていたのはパラサイトに変貌した朱莉の姿だった…。
【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
究極?のデスゲーム
Algo_Lighter
ホラー
気がつくと、見知らぬ島に集められた参加者たち。
黒いフードを被った謎のゲームマスターが告げる—— 「これは究極のデスゲームだ」。
生き残るのはただ一人。他の者に待つのは"ゲームオーバー"のみ。
次々に始まる試練、迫りくる恐怖、そして消えていく敗者たち。
しかし、ゲームが進むにつれて、どこか違和感を覚え始める主人公・ハル。
このデスゲーム、本当に"命がけ"なのか……?
絶望と笑いが交錯する、予測不能のサバイバルゲームが今、幕を開ける!
都市伝説レポート
君山洋太朗
ホラー
零細出版社「怪奇文庫」が発行するオカルト専門誌『現代怪異録』のコーナー「都市伝説レポート」。弊社の野々宮記者が全国各地の都市伝説をご紹介します。本コーナーに掲載される内容は、すべて事実に基づいた取材によるものです。しかしながら、その解釈や真偽の判断は、最終的に読者の皆様にゆだねられています。真実は時に、私たちの想像を超えるところにあるのかもしれません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
神送りの夜
千石杏香
ホラー
由緒正しい神社のある港町。そこでは、海から来た神が祀られていた。神は、春分の夜に呼び寄せられ、冬至の夜に送り返された。しかしこの二つの夜、町民は決して外へ出なかった。もし外へ出たら、祟りがあるからだ。
父が亡くなったため、彼女はその町へ帰ってきた。幼い頃に、三年間だけ住んでいた町だった。記憶の中では、町には古くて大きな神社があった。しかし誰に訊いても、そんな神社などないという。
町で暮らしてゆくうち、彼女は不可解な事件に巻き込まれてゆく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる