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しおりを挟むしゅるしゅる…
と手のひらで遊ぶ白い蛇、
舌をチョロチョロっと
出して首を少し傾ける。
「こうしてみると蛇も可愛いね~」
アダムの
服の中にいた一匹なのだが、
テイムを、
終えても私達から離れず
こうして一緒に魔王城へと向かう事になった。
冷たい肌で
しゅるしゅると腕をのぼって、
服の中に入って行く白蛇、
「あっ…ンッンッ…あっ…くすぐったい…あんっ…まっ…くすぐったいって…」
今は脇の下辺りを
移動している動きに思わず
声が出てしまう。
「…こいつ、オスか?やけにテクニシャンだな、スケベ蛇めっ」
裾から出て来た
蛇を掴むとアダムに突き返す。
「それにしてもアダムはすごいんだね~!!あんなに沢山の蛇を味方にするなんて!メデューサも驚いてたよね!」
蛇が出て来た裾を直しながら
アダムを褒める。
「いやいや!そんなことないです!」
彼は頰を赤らめながら両手を横に振る。
「謙遜する事はない。あの数を一気にテイムするのは至難の技だ。さすがテイマーズ家の者だ」
と大賢人のスワロフが褒めると
アダムは嬉しそうに
手に乗せた白蛇を見つめていた。
「ちなみにアダムは魔獣もいけるんだよな?」
ロジャーは仲間が褒められるのが
嬉しい様で自慢気にそう言った
「魔獣なら数は限られますが、テイム出来ますよ」
というのがアダムの答えだった。
「いいなぁ…アダムばっかり~俺も褒められたいな~」
なにも見せ場の無かった
ジャスティンは、
またメンドクサイ男になっていた。
クール風に見えて、
いろんな一面がある彼を
かわいいと思ってしまう
私は変わっているのだと思う。
最初の頃は
顔を合わせればケンカばかりで、
合わない人だと思っていたが、
少しずつ打ち解けてくれたのが
嬉しく思う
「はいはい、ジャンも次頑張って下さいね」
…チュ
そう言うと
背伸びをして
ジャスティンの頰に軽くキスをする。
メデューサに襲われる前に、
手を握るだけじゃ足らないって
言っていたのを覚えていたからだ。
皆の前で少し恥ずかしいが、
これで元通りの
勇ましい騎士団長になるのなら
お安いご用と思った。
ジャスティンは
目を丸くし一瞬驚いた表情をしていた。
ギラリと眼を光らせ、
するどくこちらを見てくる。
「…コレでも足りない」
いらないスイッチを押してしまった様だ
「ジャン、また邪魔が来たようだぜ?」
山の上から魔獣の姿が見える、
「あら?こっちからも?」
今歩いてきた道からも、
「こちらからもだ」
川からも、
「うわー、空からも来てます~!」
休むことない戦いが続く。
皆は各々の特技で魔獣を倒して行く。 魔獣レベルは
サラリと準備運動の様に躱す5人。
一息ついて、また襲われる。
昼も夜も
物影からいきなり魔獣がやってくる。
人同士では
味わえないスリルに
皆、少し楽しんでいる様にも見える、
「お前はここにいろっ」
ジャスティンの腕の中で
匿われながら身を隠す
足手まといの私だが、
彼の起爆剤になるのなら
ちゃんと役割を果たそうと思う
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