シングルマザー 子供と、異世界へ行く!【完結】

チャップスティック

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外はあのきれいな月夜からいっぺん 

朝日に包まれていた。

昨日あの後は二人と言い争い、 
というかジャスティンとかいう 
くそ野郎だけだけど、

ロジャーは慌てながら止めに入っていたけど、隙あれば勇者に!勇者に!と言っていたので 
味方ではない認定。


そして、最後にキンテキを食らわして
部屋から閉め出した。

顔面蒼白で悶えていたが、知らん!と決め込んで
窓の鍵を閉め、そのままベッドに潜り込んだ。


カイトは私が隣に来た事でまた眠気が来たようでぐっすりと腕の中で寝た。


私もその温もりから、いつの間に寝てしまった。


コンコンッ… 


二人ともドアのノックの音で目を覚ます。

朝食もお持ちしましたと 
侍女だろうか若めの女性が部屋に香しい匂いと共に部屋に入ってくる。

服はあれとこれよ!と教えられて、 
洗面所、トイレ、バスルームと色々説明してくれ、用があれば呼ぶよう伝えられた。

まだ暖かいパンをかじりながら 

これは現実なんだと改めて感じる。

朝食を食べ終わる頃 

またノックが聞こえた。 

先程の侍女だろうか?

食器を下げにくるタイミングで来たのだろう。とドアを開ければ


目に入ったのはくそ野郎ことジャスティン。

「…」

バタンッ

無言で
ドアを閉めた。
昨日の大喧嘩の後にも関わらず、  

太々しい奴と顔を合わせる気などない。

「ママー誰だったの?」 

「変な人だからいいかなって」
とわざと聞こえる様に言った。


またもコンコンとドアが鳴る。

「しつこい!」

とドアに向かって言ってみる。

コンコンと三度目のノック

うわーマジしつけーなー 

と思いながらも開ける気はない。

だが、ゆっくりとドアが開いた。

この部屋は鍵がないのか?

そして、コツコツと革靴を鳴らしながら入ってくるのは奴だ。  

それと
その後ろには 
私と同じ歳位の小柄な綺麗な女性と 
そっくりな顔をしたカイトより一回り大きい男の子。 

女性と男の子は 綺麗に着飾っていた。頭にはティアラが着いている
 
「おはようございます。勇者様とその母君。…昨晩は大変失礼致しました。」

と品があるバージョンの奴。
私はもう騙されない!
奴はこれが本性ではない。

丁寧に挨拶をしてきたが
フルシカトを、決め込む。


ジャスティンは表情こそ変えないものの、 
オーラが怒っているのが分かる。 

漫画でいうと
笑顔なのに怒りマークがデコにある状態。

ひょこひょことカイトの近くに寄ってくるのは
女性の隣にいた男の子。

カイトの近くをうろうろし、 
匂いを嗅ぎ、ペタペタと触れる。  

最初こそ動揺していたものの、 
くすぐったくなったのか 

キャハハと笑いあげるのはカイト。

「くすぐったいよ~キャハハ」 

びっくりするがキラキラと目を輝かせて、

「そなたが勇者であるか!僕はずーーーーっとお会いしたかったのだ!」

とカイトに抱きつく男の子。

なんとも可愛い光景である。


「これ、王子。失礼ですよ。」 

と優しく叱るのはこの男の子の母親だろう。

そう言うと私に向かって 

「ご挨拶が遅れました。私はこの国の王妃エマ  と申しますわ。この子はライナー王子、ずっとお待ちしていたの。」  

とスカート広げ優雅に挨拶する。
やはり王族の方か。

ジャスティンの猫かぶり様でなんとなく察していた。



部屋中に子供達の笑い声が聞こえる。
カイトは
さっそくライナー王子と友達になったようだ。

その辺にあるものをおもちゃにして遊ぶ二人。


紅茶も飲みながら
このエマ妃と少しずつ話をする形となった。 


紅茶を飲む姿も優雅で、手に持っているその高級なそうなティーカップがよく似合う。



「カイト!こちらへこちらへ!!!」
「待ってよ~、ライナーくん」


少し年上のライナー王子が 
カイトを引っ張って上手に遊んでいる様子に、目線をやりながら微笑ましく

「勇者様はカイトと申されるのですね。城には同じ歳頃の子供がおりませんので、王子もさぞ喜んでおりますわ」
 
とエマ妃はニッコリとする。

長いまつげが揺れるのが分かる。
白髪気味の 
その髪の毛と 
睫毛がさらに品の良さを感じされる。

「ところで、母君のお名前は?」

この世界にきて初めて聞かれる私の名前。

カイトの名前を聞こうにも 
誰も私の名前なんて聞こうとしなかった。

まあ勇者様にくっついてきた 
オマケだしと思っていたが
この人は私を一人の人として扱ってくれる。

その気持ちが嬉しくなり

「咲です。よろしくお願いします。」

と照れながら言った。

「そうですか。咲様ですか。」
とこれまたニッコリ

綺麗すぎるよ~!!!
女の私でも惚れてもしまうくらい美しい。


「咲様なんて!ただの咲でいいですよ。 
様呼びなんてとんでもないです。」
と慌てて様呼びを辞めてくれるようにお願いした。


「そうですか。では私もエマとお呼び下さい。咲」

なんともまあ、心が広い妃なのだろうか。

常に笑顔のエマ妃
昨日の国王も割とニコニコしていたが、この皇后にあの王ありですなと納得する。



「……咲の気持ちはよく分かります。私も腹を痛めて産んだ子に危険な事などさせたくないですもの」

部屋中を駆け回る子供二人に目線をやりながらそう言った。

ハッと言う顔をするのは 
今まで黙って話を聞いていた 
ジャスティンだった。 


何か言いたげだ。

その表情を確認し、またニコリと微笑むエマ。

「私が咲の立場ならもちろん猛反対致しますわ。…だから…勇者にならなくていいんではないかしら?」

何か思いついた様にパチンと手を合わせながら言うのだ。

「今までいた世界に帰せる様に頼んでみます。今までの勇者だって、事が終われば帰って行った方もいますし。 この国の事はあなた方には関係無いことですもの。それに、こんなに幼い子供を勇者にと祭り上げる事すらおかしいんですわ」

はぁ…とため息がジャスティンの方から聞こえた。

エマは変わらずニコリとしている。


勇者を辞められるの?
やらなくていいの?
危険な事しなくていいの?

その言葉がやけに頭の中をぐるぐる回る、

「エマ様…さすがにそれは勝手に決めすぎでは?」

と厳しい顔付きのジャスティンがエマに向かっていった。

「カイト様をご覧になれば分かるでしょう?あの魔力の多さ…滲み出ております。並みの人なら殺気だけで倒れます。今は無邪気に遊んでおられるだけなので何もございまんが…」

とカイトをみながら淡々と話す。

「使い方さえ分かれば、歴代最強になるのは確実でございます。それに…従者の4人も相当の使い手…カイト様をお守りしながらでも戦えるはずでござます。最後の切り札としてカイト様がこの国には必要なのですよ。」

と淡々と真剣に語るのだ。

「ダメダメ!危ないのはダメ!そんな使い手がいっぱいいるなら5歳児なんかに任せなくていいんじゃないの!?てか、あんたがやればいいでしょ?」

と食ってかかる。

ギロッと睨みをきかせるジャスティンだが、私も怯まない。
 
昨日のキンテキ、もう一度食らわしてやるか?


その言葉をきいてエマは

「うーん。では、魔術がちゃんと使えるかどうか試して見てから考えればよいのでは? もし、それでも咲がダメだと言うのなら元の世界にお帰り頂く…そうしましょ!」 

と首を傾げて明るく可愛らしく言うのだ。



ジャスティンの怒りがどんどん上がっていくのが雰囲気で分かる。

どうせ普通に子供だし、出来ないでしょ! 

そのお試し期間とやらになんにも出来ないのを分かって貰えれば帰れる! 

昨日の食堂パリン事件も他の誰かでしょ? 

うん。そうしよう!
それがいい

と私は大賛成した。

「では、その様に致しましょう!ライナー王子もそろそろ学ぶ年齢ですし、一緒に見て貰いましょうかしら…」

なんと自由なのだろう。
フリーダム人間だ。
まあ、カイトもお友達と一緒にいた方が楽しく、遊べるしいいのかもしれない。

「いいかしら?ジャスティン」

「…かしこまりました」

と返事はするもののイマイチな様子なジャスティン。 


あーこいつが…仕込み役って訳か。
カイトはこいつに教わるのか…不服。

では、その様な事でよろしくーって感じでササーっと部屋を出るエマ妃とライナー王子。

残されたり私達3人はなんとなく、 
顔を見合わせる。
 


カイトは相変わらずかわいい。 
うん。さすが我が子。

まだまだ遊び足らない様子ではある。

いつもなら公園だったり、 
保育園で遊んでいる時間だ。 
確かにまだ体力はありそうな感じ。

「はぁ…なんてこった。子守りかよ」

ブスッとしながら姿勢を崩す 
やはり不満なのだろう。 



さっきまでのバージョンはどうした。

その変わり身にイラッとする。

「早くお家に帰れるといいね!カイト!」

と嫌味っぽく言った。

するとジャスティンはハァ…とまたため息をついて 



こちらに見る。

「あんた、自分の子供の事なーんもしんねーのな。」

と呆れた目もして言った。 




はぁ?なんも知らない? 

赤ちゃんの頃からずーーっと一緒にいて、 
育ててきてなんも知らない訳ないじゃない。 

昨日会ったばっかのあんたに何がわかんのよ?
 




イラッとするので
すぐ近くにあったソファーのクッションを奴の顔面 
目がけて投げた。

ボスっ!といい音がして 

狙いどうり顔面ど真ん中。 

あの綺麗な顔にドストレート
ストライク。

うーん、気分いい!

床に落ちたそのクッションを拾うとジャスティンも 
振りかぶって投げ返した。

ドスッ…と先程より鈍い音がして、
私の顔面がヒリヒリする。
 


奴も負けてない。ストライク。

「…あんたね~!!!女の子に顔に投げるってどーゆー神経してんよ!!」

「誰が女の子?どこにいるの?女の子?」

「はぁ?目の前にいんでしょーが、目まで悪いの?あんたは!!」

「視力はいいですが?」

「そーゆー話じゃないし!ほんっっっとに性悪男」

「ヒステリック女!こんな母君でカイト様は毎日疲れないのですか?」

あーいえばこう言う。
まるで子供の、ケンカの様だ。

負けじと言い返そうとドンドン詰め寄っていく二人。

カイトは遊びの延長だと思っているのか、 
自分の方にある枕を投げてきた。

まだ5歳には重い様で、届かずすぐに落ちてしまう。

その枕につまずいてしまい、 



あー!!コケるっ!? 


と思って目をつむる。

「イテテ…くない?」 


パチと目を開ければ、ジャスティンが
目の前にいるというか、私が抱きついてる形になってしまった。

突然のことに言葉を失ってしまう。

やっぱり凄く綺麗な眼だなぁ。
目の中で炎が揺れている様に見える。


そして、久しぶりの男性の腕の中という事もあり、体温は急上昇。

体が、熱い。

その眼をジッと見入ってしまった。

ジャスティンは何も言わずただ、こちらも見つめるのみで、
それがさらに言葉をかけずらくさせてしまう。

どうしよう。やっちまった。

困っていると コンコンとまたノックがなった。

急いで離れる二人。

返事をすると
そこには昨日の件を目撃していたロジャーと 

同じ制服を着ている短髪の二人が入ってきた。

一人は褐色肌に紫がかった髪の色が印象的な長身で肩幅が広く、見事な逆三角形の 
ソフトマッチョな男性。 


もう一人は女の子かと思うくらい可愛らしい顔つきの
私とそんなに身長差のない10代と思われる男の子


「失礼致しまします。他の仲間も連れてき…ってなに二人して焦った顔してんの?」 

と私達の顔を交互に見るのはロジャー。
 


こいつも昨日猫かぶりしてたんだよな。
許さん!
 

と白い目でロジャーも見ると察したのか目をそらしながら

「…ではカイト様の護衛件ご指導係として我らが仰せつかっておりますのでご挨拶を…」
と言った。

ジャスティンを先頭に他3人も並び、膝を床につけ礼をとる

右からジャスティン、ロジャー、 
そして新顔のシヴァとアダム。 
皆騎士団の一員だという。 

各分隊長もしているので、 
警護は分隊をローテーションで回すそうだ。 


主に指導をするのは4人と言うことらしい。

カイトもいきなり 
大の大人が自分を敬うのだから  

びっくりする様子を見せるもすぐに懐いてしまう。

人見知りはしない子に、育ったもんだ、
やっぱり片親だから身についた処世術なのだろうと、少し寂しく思う。



























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