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堕ちゆく心──歓喜の露出調教

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 日の落ちた城塞内。
 今宵の見回りを担当する兵士のうちの一人が、ふと足を止めた。

「…………?
 おい。今、何か聞こえなかったか?」
「どうした?」
「気のせいかな……向こうの茂みの方から声が聞こえたような気がしたんだが……」
「あー?例の怪談話の事か?
 気のせいだよ、気のせい。さっさと詰所に戻って酒でも飲もうぜ。お前も疲れてるんだよ」

 堅牢な砦を守る兵士達の間で、最近まことしやかに囁かれている噂があった。
 『夜、砦の警備の為に敷地内を巡回していると、昔、この場所で処刑されたのであろう、男の呻き声がする』
 『自分を陥れた憎い仇の姿を求めて、徘徊する影が見える』
 目撃者達の証言をまとめると、細部の違いはあれど、だいたいこのような内容になる。

「でもさ、この間ジャンも見たって言うんだ。
 城壁の影で、苦しみのたうつ人影を──」
「うーん。アイツは悪い奴じゃないんだが、やたら話を大きくしたがる癖があるからなぁ。
 大方、迷い込んだ猪でも見間違えて──」

 お……おぉ……お……

「「………………っ !? 」」

 その時、確かに二人ははっきりと聞いた。
 男の苦しげな息遣いを。恨めし気な低い声を。

「な、なんだ !? 今の!」
「聞こえただろ !? お前も聞こえただろッ !?」

 うぉ……お……おぉん……

 風にのって響く、低く地を這いずるような呻き声。
 そして、がさがさと、草木がさざめく中、徐々にこちらへと近づいてくる何者かの気配──

「「うわぁあああああああッ!!!!」」

 恐怖が最高潮に達した男達は、その場から一目散に駆け出した。


■■■


「おいおい……臆病風に吹かれてあっさり逃げ出しちまったよ。
 大丈夫かぁ?アンタの部下。
 こんなんで敵軍から国を守れるのかね?」

 兵士達が去った茂みの影で、皮肉げな声を上げる人物がいる。
 声の調子からまだ若い男であることがうかがえる、その深々とフードを被った人物は、口元を冷笑に歪め、手にした鎖を無造作に引っ張った。

「んっぉ !? 
 おほぉっ♥♥♥♥おお♥♥お、おおッ♥んふゥ───ッ♥♥」
「……ま、こんなメス豚に率いられているんじゃ、兵士の質も下がるわな」

 男は吐き捨て、自分の足元にうずくまる影に冷たい視線を投げかける。

 男が手にした鎖の先は、ここまでずっと茂みの中を四つん這いのまま蹴立てられ、すっかり息をあげている人物の首輪へと繋がっていた。
 
 視界を革帯で塞がれ、口元に猿轡をかませられてなお、頂く金髪や端正な横顔から気品が漂うその哀れな美丈夫──現在、男の組織が最も手間暇かけて調教を施している性奴隷が身に着けているのは、首輪を除けば快楽の発露を抑える為の頑強な貞操帯のみ。

 あとは常時ツンと勃ったままの肥大化した乳首につけられた金細工のピアス、そして下腹部を妖しく彩る淫猥な文様の刺青だけが、彫刻のような裸体に纏う唯一の装飾品だった。
 強いて言えば、白い肌のそこかしこに見て取れる、「散歩」中に作ってしまった赤い擦り傷や鞭で打たれた跡もまた、媚態を痛々しく飾っているとも言えなくはない。

 麗しくも存在自体が場違いで卑猥極まりない性奴に、その場にいた男の仲間がいたわるように声をかける。

「酷いこと言うなぁ。
 アルテュールちゃんは一生懸命お仕事してるよ?兵士の質が下がってるのは、アルテュールちゃんの下で働いている子の管理が行き届いてないだけでしょ。
 ……ねえ?」

 そう──今この身も心も焦がし尽くす露出調教を受けている美丈夫こそ、本来この砦の主として全将兵の頂点に立つべき最高の騎士であり、同時に由緒ある血筋の貴族として宮廷内でも絶大な権力を持つ事で知られていた元帥・リッシュモン伯アルテュール──なのだが。

「はあ?お前、俺の可愛いお姫様の事を悪く言うのかよ。コイツにはもったいないくらい根性あるやつなのに」
「う……むぅんっ、お、おふぅッ♥♥んほっ♥♥♥♥ほぉ、おほおおおおおッ♥♥」

 男が鎖を更に引き揚げ、無理矢理性奴を膝立ちにさせると、されるがままのその胸で存在を主張する勃起乳首をこねくりまわす。

「おほ♥♥おほっ♥♥んほぉおおっ♥♥♥♥ふひゅぅううううッ♥♥」

 生き恥もここに極まれりという惨めな姿を晒しているにも関わらず、戒められた口元から漏れ出る声は、よくよく聴けば、苦しみ悶える怨嗟の声ではなく──果てなく昂ぶる肉の悦びに震えているそれであった。
 みっともないよがり声と共に、唇の端から唾液が流れ落ちる。
 己を攻め立てる主人の指の動きに合わせ、膝立ちの不安定な体勢で、長身が媚びるように揺れる。その様子はまるで芸を仕込まれた犬だ。
 ここまでくると、騎士を堕とした張本人である男達も苦笑いするしかない。

「……別にジルちゃんの悪口は言ってないよ。もっと下の人間の話。
 君にしては珍しく、随分あの子に入れ込んでいるんだね?」
「そりゃそうよ。がっつくばかりのコイツと違って素直で聴き分けも良いし、何よりきちんと俺もお客様も愉しませてくれるからな……評判はすこぶるいいぜ?
 だってのに、コイツときたらなんだよ?
 すっかり堪え性のないドスケベになっちまって、毎日仕事中にセンズリこくわ、終いには従騎士の小僧を勝手に連れ込んで襲い始める始末だし……
 余計な仕事を増やしやがって。おい聞いてるか?メス豚!」
「んふぅ、ほぉっ♥♥ふぅうううううううッ♥♥」

 月明かりと松明の炎に照らされている白い肌は、激しい羞恥と歪んだ興奮にうっすらと紅に染まり、じっとりと汗を滲ませている。
 艶やかな光を弾く鍛え上げられた身体は実に見事なものだが、今となっては蔑まれこそすれ、称えられる事はないだろう。
 度重なる男達の「教育」により、その心身は既に、俗人達の欲望を満たすだけに存在する淫らな玩具へと成り下がっていた。

「コイツ、本気で去勢しちまった方がいいんじゃないか?
 男として終わってるド変態なんだから、メスイキ出来れば充分だろ?ほれ!」
「むぐぅううっ♥♥ひゅほぉっ♥♥♥♥」

 背後にまわった男の爪先が性奴の尻を蹴り上げる。

 惨めな股間を拘束する貞操帯の内側には張り型が仕込まれており、動く度に男の中の弱い部分を擦っていた。
 露出への懊悩と身体への直接的な刺激を、下腹部に刻まれた淫紋が快感として増幅する。呪術の効果が発揮されそれが全身に波及する事で、官能の炎が性奴の内でより昏く深く燃え上がった。
 いくら抑えようとしても、敏感になった身体は制御が効かず、自然と声は漏れ、締め付けられている貞操帯の隙間から先走りの蜜を滲ませてしまう。

 結果として、ただでさえよく通る男の声は、新たな怪談の種を提供してしまったのであった。

「こらこら……あんまりいじめないの。
 でもね、おいたをした罰のはずなのに、気持ちよくなり過ぎだよ。
 本当に恥ずかしい子だね。アルテュールちゃんは」
「ううぅ───♥♥」
「ま、元が真面目な分、鬱屈したものが色々たまってたんだろうさ……そういう奴ほど性癖が解放された時の反動が凄いからな。
 ほらほら!いつまでもよがっていないで、とっとと歩け!」

 「散歩」はこの砦の中を、警備する兵士達の目を掻い潜りながら一周しなければならない。
 一個所に長く留まれば、それだけ誰かに見つかる危険も大きい。

「このお散歩を始めて一週間ほど経ったけど、もうみんなの間で有名になっちゃってるね。アルテュールちゃんのこと」

 のんびりと夜の「散歩」を楽しみながら、男は騎士の慣れの果てである性奴へと語りかける。
 同僚とは違い、毎晩首輪を見せるだけで頬を赤らめ、膨張した股間からガマン汁を垂れ流すようになった男の反応が、調教を施した当の人間としては、むしろ好ましかった。
 成果は分かりやすい方が良い。その意味ではこの奴隷雌は最高の作品だ。

「んー♥♥んー♥♥」
「お化けの正体……自分の上官が砦の中を裸でうろつく露出狂の変態男だって知ったら、どう思うかねぇ?」
「んっ、むぐぅうぅ、ほおぉんっ♥♥んんんんっ♥♥」
「ふふふ♡想像しただけでドキドキして気持ちよくなってきちゃったでしょ♡
 分かるよ~おちんちん、またかたくなってきちゃったよね?
 でもダメ。この「お散歩」が終わるまで、みるくぴゅっぴゅはお預けだって約束だからね」

 勝手に従者と性交渉を持った事を咎められ、その戒めとして貞操帯を着けて生活する事を強いられて一週間。
 加えて野外での露出徘徊によって、より堕ち往く自分への羞恥と性感を高められ、官能に支配された身体は軍務の間も疼き続ける。
 排泄まで管理され、徹底的に性器に触れる事を禁じられた男の頭の中は、もう射精をしたい欲求でいっぱいのはずだ。

 まさかここまで堕ちるとは正直思わなかったが、それは嬉しい誤算というものだろう。
 露出に快感を覚えるようになったら、この「依頼」もいよいよ仕上げに入ったといえる。
 
 もっとも、依頼の内容に関係なく、この最も高貴な奴隷の調教は男達のお気に入りになりつつあった。

「さあ、頑張って見つからないようにお部屋まで戻ろうね。
 そうしたら、たくさん可愛がって、いっぱいミルク出させてあげる。
 それともアルテュールちゃんはみんなに見つかった方が嬉しいのかな?ちょっといつもと道を変えて、詰所の前とか通ってみる?」
「ん────ッ♥♥♥♥」
「はは、本当にわかりやすいなぁ。じゃあ、いこうか」


■■■


「は、はやくっ♥♥はやくしてっ♥♥♥♥
 おちんぽみるくっ♥♥ぴゅっぴゅさせてえええぇエエェッ♥♥」
 
 猿轡から解放された唇から、早速直接的な懇願の言葉が飛び出す。
 いつ見つかってしまってもおかしくはなかった、ギリギリの場面を何度も経験しながら、奴隷元帥は自らの執務室に戻ってくると、身も世もなく主人達に貞操帯の鍵を強請った。

「アルテュールちゃんたら、本当に自分の立場、分かってる?
 これは罰なんだよ?
 悪い事をしたダメな子におしおきしているんだけど、ちゃんと反省した?」
「してますぅうううッ♥ハンセイ、してますううぅうぅ♥♥」
「ほんとかなぁ?」
「オラ。本当に反省したなら、きちんと謝ったらどうだ?」

 鍵をちらつかせながら、もう一人の男が形の良い顎を掴む。
 部屋の主にして性奴である美丈夫が、主人にその麗貌を覗き込まれ、頬を紅に染めると、群青色の瞳を潤ませながら、喘いだ。

「ごめんなさい……っ、ごめんなさいっ♥
 駄目な子でごめんなさいッ♥♥
 おバカな子でごめんなさい……♥♥♥♥
 あるてゅーるはおちんぽ♥♥のことばかり考えているバカメスです♥♥ヒトのオスとして終わったド変態なんですっ♥♥
 毎日、毎日ご主人様にケツマンコじゅぼじゅぼ♥♥してもらいたくて、お仕事中も隠れておちんぽシコシコ♥♥しながら、ケツマンコ♥おもちゃでごりごり♥♥してますっ♥♥♥♥
 それでもガマンできなくてっ♥♥生ちんぽ♥たくさんハメハメしてもらいたくてっ♥♥♥♥
 ノンケ部下に手を出してっ♥♥下品な縦割れケツマンコでっ♥♥童貞うばっちゃいましたぁ♥♥
 職権乱用♥♥権力行使しまくり♥♥前途のある若者に希望の代わりにトラウマあたえた駄目元帥っ♥♥自分が気持ちよくなることしか考えていない、最低最悪の上司ですぅ♥♥
 騎士とは名ばかりの発情メス♥♥ご主人様のいいつけが守れなかったおバカ奴隷をっ♥♥どうかお許し下さいっ♥♥♥♥」

 くねくねと科を作りながら媚びる性奴に、もはや公明正大かつ勇敢な事で知られた名将の面影はない。

 その人間性がすっかり変えられてしまったというのに、それでも男の軍人としての能力は誰にもひけをとらないというのだから、いかに調教師達の調教が高度で悪辣なものであるかが伺える。
 自分が認めてもらい快感を得る為であれば、手段を選ばなくなったという意味では、男の軍内部における苛烈さはより磨きがかかったのかもしれない。
 世間一般における彼の評価は依然高いままだ。

 とはいえ、調教師達にとっては男が騎士としてどれだけ周囲から尊崇を集めているかなど関係ない。
 自分達の前でさらす無様な姿がその全てなのだ。

「このメス豚。相変わらず口ばかりは達者だが、舐めてんじゃねえだろうな」
「考えすぎだよ。今のアルテュールちゃんには俺達に対してそんな計算出来ないって。なんかここまでおばかさんになっちゃうと、一周回って可愛くなってくるなぁ」

 言って調教師の一人は性奴の見事な金髪を撫でてやると、その恥知らずな性器を戒めてきた貞操帯の金具に鍵を差し込む。
 かちゃり、と軽い音とともにようやく金属と皮に締め付けられてきた股間が解放された。

「……うっわ!分かっちゃいたがヒデェ臭いだな」
「お仕事中もずっとつけっぱなしのままだったから、仕方がないよね。
 今、綺麗にしてあげる」

 男が用意していた湯と清潔な布を使って、雄の臭気と恥垢に塗れた逸物とその周囲を丁寧に拭き取る。
 一人前の男が同性の前で大きく股を広げて恥部の手入れをしてもらうなど、正気の美丈夫であれば耐えられなかったであろうが、今はただ、どこか期待のこもった熱い視線でその作業の様子を大人しく見守っているだけだ。

「さて、綺麗にするついでにこちらの処理も済ませちゃおうか」
「………………?」

 見ると、男の手には布の代わりに剃刀が握られている。
 刃の不穏な輝きに、快感への期待に膨らんでいた性奴の表情へと、急速に陰りが射す。

「言ったよね?悪い子には罰を与えなければいけないって。
 おくちで言って分からない子には、身体で覚えてもらうしかないからね。
 ……絶対に動いちゃだめだよ。
 万が一、手元が狂ったら、アルテュールちゃんの大事なココ、無くなっちゃうからね?」
「や…………」

 男が手元から何か液体の入った小瓶を取り出す。
 その中身が剥き出しになっている性奴の股間に垂らされていく。
 ひんやりとした感触。ぬめりを帯びた液体が、色濃く生える恥部の茂みに絡み、弱い部分全体に塗り込められていく。

「……ん?触られて気持ちよくなっちゃった?
 でも終わるまであんまり興奮しないでね。おっきくされちゃうとやりにくいから」

 湿り気を帯びた肌の上に剃刀が当てられる。

「ああ……いや……いやぁ……」
「ほら、力を抜いて。可愛くしてあげるんだから大人しくしてるの」

 肌の上を冷たい金属が丁寧に、何度も滑る。
 じょり……じょり……じょり、と。性器をひめやかに覆う最後の飾りが、大人の男である証が、どんどん剃り落されていく。

「あ……う……」

 肌の上から、茂み色が、感触が失われていく様子に、白い裸身が震える。
 だが、怯える性奴を余所に、主人の手付きは残酷なまでに鮮やかで遅滞なく、やがてそれは下腹部のものばかりでなく、後孔の周辺まで徹底的に刈り取られてしまう。

「ほら、可愛くなった♡」

 ほどなく、長身の美丈夫の股間は、声変わり前の少年のような無毛の状態になってしまった。
 隠すものが一切なくなった逸物が、視線にさらされている興奮にゆるゆると勃ち始めているのがよく分かる。
 平均的な大きさよりも立派なそれが、子供のような股間から生えているというアンバランスさがなんとも滑稽であり、妙に倒錯的にも映る。

「おお、見事にツルツルだな」
「こうして綺麗にしておけば、衛生的にも問題ないしね。
 ああ、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。
 処理をするのは今日が最初で最後だから。
 今塗った薬はうちの組織の特別製でね。もう今後一切無駄な毛は生えてこないよ。良かったね♡」

 残酷な事実を、男はあくまでも明るく、軽やかに告げる。

「ははは!そりゃあいい!
 奴隷メスに相応しい無様な子供チンポじゃねえか。
 このみっともない股間なら、部下をタラシ込もうなんて気にはならないだろうよ」
「う……ううぅ……」

 一時の過ちが一生背負う堕落の証になってしまった事に、性奴が涙目になる。
 自分はこの後ずっと、成熟する事のないこの恥ずかしい股間のまま生きていかなければいけないのだ。

「ほーら、泣かないの♡
 こうした方がこれからもみんなに可愛がってもらえるんだから。
 そ・れ・に。
 ここまで頑張った子には、ちゃんとご褒美をあげるからね」
「ふぇ……え?」

 男が性奴の目の前で振ったのは、細い金属性の棒だった。
 その形状を見ても用途がさっぱり思いつかず、困惑している奴隷元帥に、主人が嗤う。

「アルテュールちゃんはもう少しメスイキが上手に出来るようになった方がいいからね。
 これはその訓練をする為の道具。とっても気持ちがよくなれる魔法の道具さ」
「まほうの……どうぐ……?」
「そうだよ。
 アルテュールちゃんはみるくぴゅっぴゅするの大好きだけど、射精って結構消耗するし、打ち止めがあるからね。
 メスイキがマスター出来れば、されている間中、女の子みたいにずっと気持ちよくなり続けることが出来るよ」
「きもちよく……なれる……」

 ──ただし、その無限の快楽はまともなオスとしての機能と引き換えに得る魔界の毒──その事実は一切告げず、人の形をとった悪魔が誘惑する。

「……ね?もっとみんなにいっぱい可愛がってもらいたいでしょ?気持ちよくなりたいでしょ?」

 男の──性奴隷にとって最も大切な主人の甘い声が頭蓋の中を反響する。

「きもちよくなる……きもちよく……なりたい……
 もっと……気持ちよく……気持ちよく……なりたいっ♥♥」
「うんうん♡そうこなくっちゃね♪」

 綺麗に除毛された性奴の逸物を手に取り、男が妖しく微笑む。
 その手の中で、まだ知らぬ快楽の地平への期待に媚肉がふるりと揺れる。その素直過ぎる反応を示す鈴口に、ぷつり、と先程の金属棒が射し入れられた。

「─────!」
「どうしても痛かったら言ってね」
「あ……ああ……」

 ちゅぷ……ちゅぷと。小さな音を立てながら細い器具が、性器のとりわけ繊細な部分──尿道の中へと入り込んでいく。
 とんでもない場所に異物を入れられている事実と感触に、主人の手管を信頼しきっている奴隷元帥も不安を隠せず、かはかはと、水際に打ち上げられた魚のような浅い呼吸を繰り返している。

「うん、良い子だね……もう少しで全部入るよ……ああ、ほら。全部入った♡」
「ひ……っ !? ひぁ……ひぅううううううっ♥♥」
「ほーら♡こりこりーっって♡
 ちょっと動かしてあげるだけで良い所に響くでしょ♡」

 飾りのついた先端を指先で軽く弾いてやると、性奴が甘い悲鳴を上げて身体を仰け反らせる。

「ふぉおおおおおおっ♥♥♥♥んっ、ほぉおおおおっ♥♥」
「これ、最初は痛いけど、クセになるとケツマンコと同じようにくちゅくちゅ~、くちゅくちゅ~って、自分で突っ込んで掻き回しちゃうようになるんだよね~
 アルテュールちゃんも自分でやってみる?」
「ふぁ……あっ♥♥なにこれっ♥♥なにこれぇ♥♥♥♥
 すっごく響く♥♥ケツマンコの奥っ♥♥♥♥びくびくぅっ!ってェ♥♥気持ちいいっ♥♥きもちぃい゛いいいッ♥♥♥♥」
「あはは、もうハマっちゃいそうだね。
 でさぁ、この尿道に突っ込んだ状態で後ろからゴリゴリするともっとすごいんだよねッ♪」
「…………ッ!?あっ♥♥♥♥」

 先程から物欲しげにひくついていたメスの秘所へと、その様子を嘲るように、もう一人の調教師の股間で猛っていたものが捻じ込まれる。

「おっ……おぉおお゛おおおおっ♥♥ぁああああ゛あ゛あああああっ♥♥♥♥」
「前後から攻められて、前立腺気持ち良過ぎてバカになっちゃいそうでしょ~
 アルテュールちゃんみたいなエッチすぎる子にはこれくらいがちょうどいいよね?」
「んぁあ゛あああ゛っ♥♥ああぁあああっ゛♥♥♥♥
 挟まれてゅっ♥♥中でごりごりっ♥♥はしゃまれてゅぅううっ♥♥♥♥
 ひゃっ♥♥ひゃうううっ♥♥も゛っ♥も゛ぅ、い゛やぁああああっ♥♥♥♥ガンヅキしないれっ♥♥しないれっ♥♥
 こわれちゃうっ♥♥こわれちゃう゛ぅううっ♥♥♥♥
 あるてゅーるっ、こわれちゃ゛うう゛゛うううぅッ♥♥」
「うんうん♡こわれちゃえ♡
 男の子として完全にこわれちゃえ♡」
 
 後ろから容赦のない早駆けが、恥知らずなメス穴を追い詰める。
 動く度、前に入れた器具が、後ろの肉棒が奴隷の中を抉る。
 容赦のない快楽の波が渦を巻き、血潮にのって身体中を荒れ狂うが、性欲のマグマの出口を塞がれている為、絶頂によってその熱を逃がす事が叶わない。

「さあイケ!無様にいっちまえ!このメス豚!
 メス豚がいっちょまえに射精しようなんざ生意気なんだよっ!」

 肉と肉がぶつかり合う破裂音が部屋の中に高々と響く。
 その感覚がどんどん短くなり、魂すらも貫かんとする勢いで肉の槍が突きこまれ──

「あ゛ァああああああああ───ッ♥♥♥♥」

 最奥へと到達した穂先が破裂し、胎の中に子種を含んだ熱泉が叩きつけられる。
 そのあまりの熱さに、官能の嵐が意識を飛ばし、メス奴隷がおとがいを上げ絶頂する。
 射精を伴わないそれは、昇りつめた状態で身体を長く拘束する。汗じみた長身が逃れ得ない暴力的な快楽に小刻みに震え、喘ぐ唇から唾液が零れ落ちた。

「んー?さすがに刺激が強過ぎたかなぁ?」

 見開いた群青色の瞳からぽろぽろと涙を零しながらも、甘い吐息を隠せない性奴の様子を微笑ましく見守りながら、前を攻めていた男が、痛いほど勃ち上がったまま放置されている性奴の逸物から、玩具をゆっくりと引き抜く。
 
「あ……あぁ……アッ♥♥……まだイッて……イッ♥♥♥♥」

 尿道の中を器具が滑っていく感触にまた感じてしまい、火照った身体が悦楽の波を更に呼び戻す。

「ふぁ……おあ、ぁああぁ、もうダメ……ダメェ──っ♥♥」

 ぷしゃああああああっ!

 中で長らく堰き止められていた熱い体液が、自由になった鈴口から噴き出した。
 勢いよく飛び出した快楽の証が、高々と見事な弧を描いてから床に叩きつけられる。
 しかし精液にしては随分量が多い。
 水音が床を叩く音と共に、部屋に独特の臭気が漂い始める。
 出来上がりつつある黄色い水たまりに、調教師の男が顔をしかめた。

「ちょ、コイツ、小便漏らしやがった!」
「ああ……み、見ないでぇ……見ないれぇ……は、はうぅ……っ♥♥」

 じょぼ……じょぼぼ……

 勢いは弱くなり始めたが、ため込んでいた熱泉の排出はそうすぐには終わらない。
 色も臭いも濃いそれを室内、しかも職務を執り行う場所で漏らしてしまった羞恥に、堕ちた騎士が快感に震えながら頬を赤く染め、力無く項垂れる。
 やがてちょろちょろと滴を幹に垂らした後、騎士にとって永遠にも思えた長い放尿は完了した。

「メスイキしてお漏らしとは上出来じゃねえか。マジで終わったなコイツ」

 若い調教師がこの一晩で無様と言う無様を極めた感がある男の尻を蹴り飛ばすと、力を失った身体が前に倒れ込んだ。
 自らが放った汚水の泉に顔がつかっても、とろけた表情のまま指一つ動かせないでいる姿はなんとも哀れだった。

「仕方がないよ。どんなに周りから尊敬されていても、この子だって人間なんだもの」
「むしろ人間以下だろ、これ」
「でもこれで、依頼主の要望はだいたい満たせたんじゃないかな。
 本当に頑張ってくれたよ。大元帥閣下は」

 …………意識が遠のいていく中、男達が何やら相談している声が聞こえたが、尊厳の欠片すら奪われた美丈夫にとっては、もはやどうでもいい事だった。


 
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