メス堕ち元帥の愉しい騎士性活

環希碧位

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歪められた性癖──進む変態化洗脳

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 ──公爵家の血筋に連なる名誉ある貴族であり、誇り高い軍人として多くの者に知られてきた元帥の執務室。
 かつては来訪する者の佇まいを自然と正す緊張感を漂わせていたそこには、淫靡な空気が満ちていた。

「ふぁ……ぁあ……♥♥」

 簡素ではあるが上品な印象の調度に囲まれた室内に、部屋の主である美丈夫の姿はない。
 今はただ、その残骸である一匹のメスが、今日も日の高いうちから肉欲に溺れ、悦楽を貪っていた。

「んんっ♥くぅっ♥♥……はぁぁあんッ♥♥♥♥」

 宮廷においては、隙のない身のこなしと共に貴婦人たちを陶然とさせ、戦場で指揮を執る際には、類まれなる軍略により兵士達を導き鼓舞する、本来であれば低くよく通るその声を、男に媚びるような鼻にかかった裏声で精一杯甘く震わせ、軍装を纏った獣が自慰に耽っている。

「きもひぃ……♥♥んあ♥♥あっ♥おちんぽ、きもちぃい……っ♥♥」

 毛足の長い絨毯の上には、扱き上げている猛々しい逸物から、ぱたぱたと先走りの汁が零れ落ちているが、気にもしない。
 もう何度か達したのだろう。あたりには青臭い性臭が漂っていた。

 身体が酔い始めた最初こそ布地の上からそっと指を滑らすだけで、何とかこらえていたものの……一度官能の炎がともってしまえば、結局抑えが利かず。

 ほどなくやるせない疼きに肌は支配され、胎の内からあられもない欲求が湧き上がってきてしまう。

 ──したい。

 キュウキュウと胸が締め付けられるような、切ない感覚が全身を支配し、恥部は熱くなり、口の中いっぱいに唾液が満ちる。
 やがて、妄想が聡明な頭脳を麻痺させ、屈服した男はあえなく着衣を乱し、本来の職務を放棄した。

「はっ♥♥……うぁ♥……ああんッ♥♥」

 時折、口もとには美しい刺繍が施されたハンカチーフ……ではなく、何やら薄汚れた布きれを含み、すうすうと鼻をならし、深呼吸をしては、そこに残る芳しい香りを肺腑いっぱいに吸い込もうとする。

 鼻腔からの強烈な刺激で脳髄が揺さぶられ、滲み出す麻薬のような快感は、端正な顔を官能の熱に蕩けさせる。
 脳裏の片隅に残っていたはずのなけなしの理性すら霧散させた媚薬のような香りは、下腹部に刻まれた淫紋と呼応して、均整のとれた長身を火照らせた。

「ふぅ…ん…んんっ♥♥いい匂ぉいぃ……♥♥」

 じゅるり、と艶やかな唇の端から、唾をすする品のない音が漏れる。

 ところどころが黄ばみ、ただでさえ清潔とは言えない印象だった布地は、男の唾液を含んでますますじっとりと濡れ、染み着いた汚れを濃くし、見る者に顔をしかめさせる代物になっていた。

「ほら、良い子のアルテュールちゃんにプレゼントだよ♡」

 日頃のご褒美にしてはあまりにもみすぼらしい「それ」を、「ご主人様」から初めて差し出された時、さすがに眉をしかめた美丈夫であったが。

「ジルちゃんもアルテュールちゃんも、『お仕事』が忙し過ぎて、なかなか逢瀬を楽しむ事も出来ないでしょ?
 大事なお友達と離れ離れが続いているのも可哀想だから、おりこうさんの元帥閣下には、特別にジルちゃんの事を感じられるものを持たせてあげる」

 目の前の男の意図が読めず、小首をかしげる麗しい騎士に、調教師は笑って告げた。

「──ふふっ♡何だと思う?あの子の脱ぎたての下着だよ♡
 エッチしまくってガマン汁とかおしっことか、いっぱい染み着いてたビチョ濡れのやつ♡♡」
「ぶッ────!」

 濃厚な雄の香りを放つそれを口元に押しつけられて、金髪の美丈夫が目を剥く。
 あまりの不潔さと刺激臭にむせ返り、涙目になる男を前に、彼の主人──外法の呪術で人を性奴隷に変える調教師は、楽しげに言い放った。

「……いいかい?元帥閣下。
 これからアンタは男女問わず、人の体臭を嗅ぐとひどく興奮するようになる。
 特に男の股間の臭いが大好きなド変態になるんだ」
「ん───ッ!ん゛ん────ッ!!」

 粘膜を犯すような強烈な匂いに、群青色の瞳から涙を零しながら、いやいやと首を振る哀れな奴隷に、調教師は残酷に続ける。

「垢塗れで臭いがキツイ、不潔チンポが大好物で、口でしゃぶるだけで気持ち良くなってイケるようになるよ。
 当然、自分の臭いにも興奮するから、もうエッチし始めたら一人で無限にイキまくりだね。嬉しいでしょ?」

 とんでもない内容に、さしもの奴隷元帥も美貌を蒼白にさせるが、調教師の男の笑みは深くなるばかり。
 人の姿をした悪魔は分かっているのだ。
 いくら抗ったところで、目の前の男はさらに堕ち続けるしかないのだと。

「ほら……だんだん気持ちよくなって……おちんちんも勃ってきちゃったでしょ♡」
「あ………………」

 見ると、何の刺激も受けていないにもかかわらず、下肢の中心でたくましい勃起が布地を下からこんもりと押し上げている。戸惑う主の感情を余所に、いつの間にか股間は痛いほど張りつめていた。
 視線の焦点も定まらず、次第に意識は眼前の主人の声に陶然となりつつある。

 既に男を部屋に迎え入れた時から、その術中にはまってしまっていたのだと。気付いたところで、もう遅い。

「ほら……臭いを嗅いでると思い出すでしょ?ジルちゃんと初めてエッチした時のこと♡」
「うっ……んあ♥♥……ぁアアア♥♥……」

 じわじわととろ火で炙るような──同時に真綿で首を絞めてくるような誘惑に、どうしようもなく身体が疼く。

「…………思い出しちゃった?」
「……ぅあ……っ♥♥」
「興奮してるんでしょ?分かるよ……だってアルテュールちゃんはおちんぽの臭いが大好きだもんね?」
「ふ……ふぇ……♥」
「おしゃぶりしながら、ケツマンコじゅぼじゅぼ♡って、掻き回されるのが大好きなメス豚ちゃんだもんね?」
「……は…ふは♥♥……ぁ…♥♥」
「元帥閣下はぁ、毎日エッチせずにはいられない、淫乱の変態さんだって、みんな知ってるよぉ~?」
「ああ……あァァ♥♥♥♥」 

 生贄にされた騎士の全身が狂暴な多幸感に包まれる。
 ───そして、新たな呪いは完成した。

「ふぅッ♥♥……ん、んんっ♥♥じるぅっ♥んっ♥……ちゅばっ♥♥……んぐぅっ♥♥♥」

 美丈夫は調教師の男の手から布きれを受け取ると、自ら唇を吸い寄せて、鼻をひくつかせる。
 吸い込んだ香りと共に、自分が過去にしでかした痴態がまざまざと蘇り、興奮に思わず喉が鳴ってしまう。
 紅を刷いた肌は敏感になり、布地が擦れた箇所には甘美な痺れを残した。

「んっ♥♥……ふは♥♥はぁァんッ♥……こんな……ッ♥♥こんなぁっ♥♥……なんでぇえ♥♥♥」
「ふふ、暗示が効き始めたみたいだね~♡
 後はそれをオカズにして、好きなだけ一人でシコればいいよ♪じゃあね~」

 官能の虜になった奴隷元帥を残し、調教師の男はその場を去った。

「いやぁ♥♥……お、お仕事中なのにィッ♥♥」

 気を鎮めようと、己の肩を抱こうとして、意図せずまた肌の上を布地が滑る。

 中でもごく繊細な感覚を持った胸を彩る一点が、着衣の下で擦過されると、長身が大きく仰け反った。
 漏れ出る吐息が熱い。きつく瞼を閉じると、潤んだ瞳からじわりと涙が溢れてくるのが分かる。

「ふわ、ぁ♥♥♥♥……は♥……ひふっ♥♥」

 冷静になろうとしても既に手遅れで、強引に打ち消そうとすればするほど、記憶はより鮮明に再生され、身体はその刺激を辿りたがる。
 行き場を無くした熱気が内で荒れ狂い、気が変になりそうだった。

 否、すでに狂喜に侵されているからこそ、この様なのかもしれない。

「ふー♥♥ふー♥♥
 じるぅ♥♥……じるぅ♥♥♥♥……じゅぼじゅぼ♥♥じゅぼじゅぼしたいぃッ♥♥……したいのぉっ♥♥♥♥」

 すがる様に、今はここにいない想い人の名を唱える。
 
 だが、彼はここにはいない。呼んでも来てはくれないのだ。
 友もまた、自分と同様、今や周囲の貴族や聖職者から慰み者にされている身の上だった。

 いくら涙に濡れたところでこの身を苛む疼きは収まらない。
 男は覚悟を決めると、弱々しく震える指先が静かに肩口を離れ、着衣をゆっくりと寛げ始める。
 
 上気してやや汗ばんだ肌の感触。鍛え上げられた胸筋が乱れた呼吸に上下している。
 その様は、内に燻る背徳感を大きくし、目指す先にあるもの様子を予感させて、羞恥を煽る。
 しかしその羞恥すらすぐに快感に変換されてしまうのが、今の男の身体だった。

 ゆっくりと白い肌の上を下りていった片方の手が、胸の突起に辿り着く。これからもたらされるものの予感に、ぞくり、と肌が粟立った。

「ひゃぅんッ♥♥」

 充血してシャツの上からもはっきりと隆起しているのが見て取れるそこは、指先で押しつぶした途端、快楽の源泉と化して、その主の思考を真っ白にさせた。

「ひぁ、あ、あああっ♥♥ちくびッ♥♥♥♥ちくびがぁっ♥♥
 くりくり、ってしてぇ♥♥ぷにぷにっ♥♥って♥き、きもちぃッ♥♥」

 本来、男性のそれは性感帯というには若干頼りないものの場合が多いのだが──望まずとも、今やすっかり男を悦ばす術を教え込まれていた淫靡な身体は、女性が得るものと変わらない狂おしさで、性奴の思考を灼いた。

「……あぅっ♥♥……んっ♥んんっ♥♥」

 指の腹で先をコロコロと転がし、あるいは絞るように摘み上げ、刺激を与え続ける。

 性感帯として開発されつつある男のそれは、女性の様にぷっくりと膨らみ、かなり目立つ形になりつつあったが、自分が気持ちよくなる事と、相手に気持ちよくなってもらう事が最優先である奴隷雌にとっては、身体の恥ずかしい変化など些細な事だった。

 もうじきに人前で胸元を晒せば、好奇の目で見られるようになるだろう。
 そうすれば、自分が胸を弄ってメスイキしている変態だという事は丸わかりだ。

 人々の冷たい視線を想像して、逆に男は興奮した。
 被虐性癖と共に、目覚めつつある露出願望が羞恥を快感に変えて胎の奥を疼かせる。

「あ……ああっ♥♥見ないで……ぇ♥♥♥♥あるてゅーるの、恥ずかしい勃起♥乳首ィ、見ないでぇえ♥♥♥♥」

 絶え間なく施される刺激によって乱れる呼吸。苦しみと快感が入り乱れ、身体はますます昂ぶっていく。
 そしてついに、もう片方の手が、これを上回る愉悦をもたらす場所に至った。

「……んっ♥♥……んん♥♥……んぁ、やんっ♥」

 下肢の中心で存在を主張する逸物に触れると、欲望の気配に最も敏感なそこは、既に先端から先走りの露を溢れさせ、甘美な責め苦への期待に膨れ上がっていた。
 雫を掬い取るように、指の腹を少し沿わせただけで、些細なはずの刺激は快楽の津波となって、背筋を駆け上がっていく。

「はっ♥……ふぁ……ンあああっ♥♥」

 行為に躊躇いを覚えたのは一瞬のことで、指先は更なる快感を求め、淫らに動き始める。
 その動きに反応して、自ら弄り続けている肉棒が次第に勢いを増し、脈打つ度に伝播する刺激が腰骨を痺れさせた。

「手がァ♥……手が止まらないぃい♥♥
 お仕事♥♥しないといけないのにィい♥♥♥♥おちんぽシコシコ♥♥乳首クリクリするの、止められないのぉ♥♥♥♥」

 腰を前後に振り立てて、雄の快感に浸る奴隷元帥。

 自らが発する卑猥な言葉に興奮する。
 実際、その身体は催眠暗示によって、知性の欠片もない単語を口にすればするほど、快感が高まるように「設定」されている。
 堪えきれない喘ぎが唇をつき、その悦楽に蕩けきった嬌声が耳を冒す媚薬となって、僅かに残った理性を突き崩していくのをつぶさに感じる。

「はあっ♥♥…あ……んっ♥♥……はぁっ……♥♥
 早くしずめないとっ♥♥みるくぴゅっぴゅ♥♥しないとっ♥♥♥♥メスチンポ♥シコシコ♥♥見られちゃうっ♥♥変態元帥だってバレちゃうゥゥウッ♥♥♥♥」

 だらしなく舌を出して喘ぐ。
 だが、まだ足りない。
 決定的な一押しが。

 胸を弄んでいた指が……硬く張り詰め反応が鈍くなりつつあったそこを離れ向かった先。

 双丘の奥に隠された、最も罪深く深い悦びを生み出すあの場所。
 節くれだった長い指が自らが放った甘露を絡め取り、流れるような動きで秘められた部分を探り当てる。

 そして入り口を軽く擦った後、迷うことなく差し入れ、貫いた。

「……ひぅっ!
 や……♥♥ぁあ、あああああっ♥♥♥♥」

 熟れた粘膜はほんの少しの刺激を与えただけで、男の総身を痙攣させた。

 託し込んだ指先をさらに奥へと躍らせれば、快感の踊り場で立ち止まったままでいた雄の証が、たちどころにより強い力を得て、指の中ではち切れんばかりに育っていく。

「んっ♥ほぉおおっ♥♥♥♥あ♥……おちんぽが♥♥ああ、あっ……♥」

 前と後ろを同時に責め立てられた身体は、最早、押し寄せる悦楽の波に翻弄されるばかりで、正常な思考など持ち得ない。
 ひたすら頂点だけを追い求めて、下品な言葉で自らを蔑み酔いながら、官能の階段を駆け上がる。

「あっ♥♥…い……いいっ♥♥……ああっ♥……しゅ、しゅごいっ♥♥
 ケツマンコぐちょぐちょっ♥♥……ってェ♥♥♥♥じゅぼじゅぼっ♥♥じゅぼじゅぼっ♥♥んあァー……♥♥あ──ッ♥♥♥♥ぎもちい゛ぃいいっ♥♥♥♥きもちよしゅぎるぅううッ♥♥」

 素面ではとても耐えられないようなあられもない格好で、メス悦に屈した奴隷元帥は、輝く金髪を振り乱し、押し寄せる激感に身悶えた。

「んはっ……♥♥じりゅ♥♥じりゅっ♥♥」

 うわごとの様に想い人の名を呼ぶ唇からは、たまった唾液が幾筋も頬を伝って零れ落ち、痛いほど勃ち上がったものを筋にそって擦り上げる度、激しい快感に襲われ、奥深くにまで至ったその波が、たまらず腰を突き出させる。

「んー♥♥んー♥♥んほぉああ゛あ゛あッ♥♥
 じゅぼじゅぼ♥♥シコシコって♥♥もぉおお♥♥ばかになっちゃうゥッ♥♥あるてゅーるバカになっちゃう゛う゛うッ♥♥
 おちんぽ狂いのバカメスになっちゃうううううッ♥♥♥♥」

 もう今この状況で部下の誰かが入ってこれば、自分は本当に貴族としても人間としても終わってしまう、という事ですら、今の美丈夫の思考には浮かばなかった。

 むしろ見つかった後、侮蔑の視線に刺し貫かれながら犯されたい──狂った情欲と被虐による快感は、果てしなくその身を貶める事を望んだ。

「あーっ♥♥アァーッ♥♥♥♥
 バカになるぅうう♥♥きもちよしゅぎてバカになりゅぅううう♥♥♥やっ♥♥あっん♥おぉぉあッッ♥♥」

 人の上に立つ者として、生まれた時から己を律してきた禁欲的な騎士が、その権威を示す執務室で汗ばんだ白い素肌を晒している様は、飛びぬけて麗しい容姿と相俟って、いっそ卑猥さよりも魔魅めいた退廃的な美の領域に達していた。

「ああ♥♥もうっ♥♥……い゛っ♥♥…いくゥっ♥♥…ああ♥
 あ♥あ♥♥オマンコきゅんきゅんひてっ♥♥♥♥しあわひぇ……♥♥
 ああ♥んおぉおお♥♥――ッあ、くる、くるっ♥♥ああァッ~~♥♥♥♥」

 ──どくん!びゅるびゅるッ!どぴゅぴゅっ!びゅくっ!びゅぴぴぴっ!

 おぞましくも愛しい快感が、猛烈な勢いで弄ばれる幹の中を駆け上がり、先端で破裂する。
 握られた雄の証が小刻みに震え、白泉を噴出した。

 まるで全身から体液を絞り上げられているような感覚に、固く閉じた瞼の裏が真っ赤に明滅し、凄まじい開放感で男の長身がのたうつ。
 仰け反った拍子で、うっすらと紅を刷いた肌に濁りを帯びた蜜が降りかかり、絶頂の余韻に腰が浅ましく媚びるように揺れた。

「ふぁああぁあああッ♥♥♥♥ぴゅるぴゅるってぇ♥♥イッちゃったぁ……♥♥イッちゃったのにぃいぃ♥♥
 シコシコ♥♥やめられないぃ♥♥
 じゅぼじゅぼ♥♥やめられないのぉお♥♥
 ひぃ♥♥ひいぃ♥♥だれかっ♥♥♥♥だれか止めてぇえ♥♥センズリ止めてぇ♥♥臭くなっちゃううう♥♥♥♥
 部屋のなかっ♥♥みんな、あるてゅーるのエッチな臭いぃ♥♥おちんぽミルクの臭い、ついちゃうゥゥッ♥♥」

 歪んだ喜悦に頬を染めながら、メス奴隷がだらしのない笑みを浮かべる。
 みっともなく執務中に自慰をしている事実など、もはや彼にとってどうでもいい事だった。

 男は再び口に布きれを含むと、息を荒げながら、達したばかりの幹を扱き始めた。

「お゛ッ!?♥♥ッひ♥♥♥あっ♥あっ♥あ♥あ♥♥あぁああああッ♥♥きたぁッ♥♥またきたぁっ♥♥♥♥」

 ──そして、この執務室の危険極まりない自慰行為は、ほどなく奴隷元帥お気に入りの日課になったのだった。


■■■


「うわぁ……着古しの下着の臭いを嗅いで興奮するとか、マジもんの変態じゃん。
 こんなのが旦那とか、奥さんかわいそー」
「しかもオカズにしているのは男だしなぁ」
「……まあ、大枚はたいてくれた依頼人の要望には出来る限りの形で答えるのが、うちのやり方ですし。
 軍務に差し支えのない範囲で恥ずかしい子になってもらえばいいかな、って」
「差し支えるでしょ~あれは」
「男所帯の軍隊で、周りの部下に発情しまくりな淫売将軍に誰がついてくわけ?」
「そうかなぁ?あの子が誘えばノンケでも割とコロっといっちゃうかもよ?
 でも、俺が部下だったらやっぱり幻滅しちゃうかなー?ハハハ」

 お気に入りの奴隷が新たな性癖を発露させたのを影で見守っていた調教師達が、救いようのないところまで堕ちた男の様子を酒の肴に、無責任に嗤う。

「でもさ、まだ終わりじゃないよ。
 お客様たっての希望で、とっておきのショーを考えているから、みんな協力してね」

 奴隷の輝くような経歴を記した皮羊紙に目を通しながら、長の男が唇を歪めた。

「やはり最高だね。全てに恵まれた人間が、その全てを失う様を見るのはさ」


 
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