メス堕ち元帥の愉しい騎士性活

環希碧位

文字の大きさ
上 下
1 / 12

性奴の誕生──刻まれた堕落の印

しおりを挟む
「んぃ゛い……ッ♥♥あ゛っ♥」

 ──夜も更けた町はずれの邸宅。
 さる司教の別邸として一部の者には知られていたそこで、大きな寝台を軋ませながら汗を散らしている二つの影がある。

 この時代、終わりの見えない隣国との戦争に駆り出されていた貴族達よりも、よほど富や知識を蓄えていた彼等の下へと、その庇護を求めて女達が出入りする事はそう珍しい事ではなかった……のだが。

「ひう゛ぅう゛う……ッ♥♥ふ──っ♥ふ──っ♥♥んむ♥んぶっ♥♥んんん♥イッ、で、る゛ぅう゛、ぐぅ、う゛ぅんっ……♥」

 しかし、本来聖職者にあるまじき華美な寝室に響いていたのは、権力に媚びへつらう女の甘い囁きや嬌声ではなく──快楽に掠れた男達の低い呻きと荒々しい吐息、獣じみた歓喜の声だった。
 時折、濡れた粘膜が擦れ合う卑猥な音に合わせて、不自然に上ずった男の声が、唾液と精液が入り混じる汚れた滴と共に、唇の端から零れ落ちる。

「ずんずんってぇ♥♥♥こんなっ♥♥あっ♥♥あ゛♥あ゛っ、あ、や゛らぁ♥♥熱いぃい♥♥♥お♥お♥お♥♥ッぉおお♥♥♥ぱんぱんしにゃい゛れっ♥♥しないれ゛っ」 
「ほっほっほっ♡
 まさか誰もが畏れ敬う戦場の華、才色兼備の勇将がこれほど淫らな本性を隠していたとは……!」

 極上の獲物を前にして、沸き立つ興奮に瞳をぎらつかせた中年男の剛直が、一度ゆるゆると引き戻された後、今また組み敷かれた白い裸身の胎内へ勢い良く捻じ込まれる。

「っぐ、ほぉお゛っ♥あ……♥♥ま、またぁ……♥お゛ッぉおお゛ぉ♥♥♥ちんぽ♥おちんぽぉお゛♥♥だめぇえええッ♥♥」

 男を何度も受け入れて、排泄器官であることよりも性の悦びを味わう事に特化した「彼」の後孔は、見るからに使い込まれた事が伺える形へと変貌を遂げていた。
 女性器を思わせる縦型に割れたそこは、ぐちゅぐちゅと胎の中を撹拌される度に、全身に伝播する悦楽の波に粘膜をひくつかせ、時折あられもない音を立てて泡立つ体液を噴き出し、肌へと淫らな蜜を垂れ流している。

「まったく、だらしがない身体をしおってからに。
 一体どれだけの男から搾り取ってきたのやら!」
「あ゛ひっ゛♥♥お゛お゛ぉ♥♥お゛ぉん゛♥お゛ッ♥お゛ほぉ゛ッ♥♥♥♥」

 内臓を押し上げるような異物の挿入にも柔らかな媚肉はもはや抵抗を見せる事はなく、身も心も犯し嬲る肉棒をずぶずぶと、品のない音を立てながら、貪るようにしてのみ込み、これを締め上げた。

「ひあ♥あ゛ぁ……っ♥あ゛っ♥あ゛っ♥あ゛っ♥あ――♥♥
 し、しきょおぉ、さまぁ♥♥しきょお゛ぉさまぁあ゛っ♥♥」
「このように堕落した身体の持ち主が一軍を指揮しているとは……実にけしからん……けしからんことですな!」
「んぐっ♥♥くぅ♥♥くぅううん♥♥あっ♥♥あ゛、あ、奥、おぐッ、ぅ♥♥おちんぽぐりぐりやらあぁ♥♥
 んっほぉお゛ぉっ♥♥おおおっ♥お、おゆるひを゛っ♥ど、どうきゃっ♥♥おゆるひを゛っ♥♥」

 心は望まずとも、男の唇からは刷り込まれた下品な言葉達が、与えられる刺激と共に次々と飛び出してくる。

 額を汗の染み込んだシーツへとこすり付け、されるがままに突きだした腰を揺らしている、今宵司教の夜伽を務める男──緩やかに波打つ金髪に彩られたその横顔は目が覚めるように美しく、哀れな姿は捕食者の劣情を更に誘った。

 しかも「彼」はただ容姿が優れているだけの人間では決してなかった。

 まるで神像のように均整のとれた肢体が纏っている着衣は、本来、こんな場所でこんな相手と狂気じみた行為をする者が身に着けているものではない。

 最高の騎士と謳われる者だけが許される意匠が随所に見られる上着を今も羽織らせたままでいるのは、ひとえに己の優越感と相手の羞恥を煽る為。
 司教の底意地の悪さによって、本来羨望や憧憬のまなざしを受ける為に存在していたはずの軍装は、今や人を起源とするあらゆる穢れと悪意が染み着いていた。
 
 その頭脳も血筋も──存在自体が余すところなくあらゆる点で恵まれていたからこそ、男は今この地獄にいる。
 ──おそらく、もう二度と抜け出る事の敵わない、最低最悪の淫獄の中に。

 そんな「彼」の価値を真に知るからこそ、まず届かないはずの尊い身体を与えられた司教は、余計に膨れ上がった狂暴な支配欲を隠せないでいるのだ。
 嫉妬に憎悪、虚飾に傲慢──俗世の闇を溜めに貯め込んだ男の胸が高鳴るままに、生贄の責苦は続く。

 あの日、あの時、自らを見下していたであろう男を、蹂躙し尽くすこの悦び。いかばかりのものか。
 この素晴らしい瞬間の為に、大枚はたいて男を手に入れたのだ。
 さあ、今こそ輝かしい存在の全てを、羞恥の汚泥で塗り潰してやろう。

 司教は最高の愉悦と共に、成す術の無い獲物へと言葉のナイフを突き立てた。

「……今日も私と交わるというのに、辛抱出来ず、陛下から与えられた執務室で日も高いうちから自慰に耽っていたとは……なんと嘆かわしい。
 それでも全将兵の上に立つ王国軍最高司令官──大元帥の姿ですか!」
「い゛やぁあ゛ああああああああッ♥♥♥」

 己の全身を苛む快楽と惨めさに、地に堕ちた最後の誇りの一片すら打ち砕かれながら、欲望の生贄とされた美丈夫──アルテュール・ド・リッシュモンは哭いた。
 群青色の瞳から頬へと伝い落ちる涙は、生理的な理由によるものだけではあるまい。

「使者の話では、人目がないのを良い事に、我を忘れてテーブルの支柱に股間を擦り付けていたそうですな?」
「ひぃ゛っ、っく、んんんんんっ♥♥ああっ♥」
「勃起乳首を弄りながらみっともなく身体を仰け反らせて、何度も腰をへこへこ上下させて……よほど気持ちよかったんでしょうなぁ♡」
「い゛っ♥……い゛わなひれぇええっ♥♥い゛わないれ゛ぇえ゛え゛っ♥♥」
「おや?その時の興奮を思い出しましたか?締まりがよくなりましたぞ♡
 そして現場を見咎められた挙句、服を着た状態で達してしまって、下履きをぐっしょり濡らしたままここに来たと。いやらしい匂いをぷんぷんさせて。
 そうそう、馬車の中でも肌にへばりつく布の感触と周りの下卑た視線に感じながら、もう一度達したとか。
 あさましいにも程がある。
 さながら頭の足りないサルか、そうでなければただの変態ですな」
「ち、ちがっ……わたしはっ♥わたしはぁ、あ゛ぁああっ♥♥」

 冠せられた不名誉な称号を不服とするその語尾は、深奥を抉られる衝撃に、あえなく飲まれてしまう。
 薬物と外法の呪術によって変えられた身体は、主の想いを簡単に裏切り、魂すらも堕とそうと、この悪意に満ちた企てに加担する。

 胎の中をずりずりと肉棒が行き来する度、貴族としての名誉も軍人である矜持も、否、最低限の人としての尊厳すらこの身から削り取られていく事に、男の心は悲鳴を上げた。
 そしてその絶望によって、反比例するように刻み込まれた官能への期待は昂ぶっていく。

「何が違う?どこが違うと?
 貴方ときたら、四六時中ところかまわず発情しては男を銜え込む事ばかりを考えている、男の皮を被ったメスではありませんか。
 場末の娼婦ですら、大元帥閣下よりはもう少し慎み深いですぞ」
「め……めす……わ、わたしが……めす……」

 涙を溜めこんだ群青色の瞳が、大きく見開かれる。
 形の良い唇が自ら発した言葉に戦慄いた。

「そう。メスです」

 この場に相応しくない慈愛に満ちた笑みの裏に、悪魔の歓喜を貼りつかせながら、司教座の主は繰り返した。

「女ですらない。女にすら劣る。子を孕む事も出来ない。子を孕ませる事も出来ない。
 ただ人の情けを請い、劣情を煽り、本能の望むまま性欲を貪る事しか出来ない、哀れで惨めな生き物──それが今のあなたです」
「……………………」
「最後に奥方様を抱いたのは何時ですかな?」
「…………………っ」
「もう忘れてしまうほど前の話でしたか。お気の毒に」
「あ……あ……あ……ああ……」

 ──胎の中を満たしていたものがゆるりと引き抜かれていく気配に、安堵よりも喪失感を覚えるのは何故なのか。今も痛いほどに凝り固まった胸の突起が、上着がかする度に疼いてたまらないのは何故なのか。
 動揺を隠せないでいる男の背後から低く、甘く、堕落を誘う言葉が吹き込まれる。

「理解しているのでしょう?男として役に立たなくなった貴方を迎え入れる場所など、もうどこにもない。
 慰めて欲しいでしょう?
 受け入れて欲しいでしょう?
 淫らに変わり果てた己の姿を。
 ほら、御覧なさい。
 鏡に映っているのは誰ですか?私の目の前で腰を振っている発情したメス犬は誰ですか?」
「い……いや……いやぁ……ぁ」

 悪意のあぎとから逃れようと、哀れな獲物が自らが放ったもので汚れた腹を晒しながら、寝台の上を後ずさる。
 どのような難敵を目の前にしても、決して余裕を失う事は無かった名将の貌が悲壮感で歪む様に、司教は心底満足した。

「正義の人と謳われる清く美しい元帥閣下に憧れる人間は多いでしょうが、淫らな本性を曝した貴方など誰も愛してはくれませんよ。それともずっと一人で、いずれ皆に本性がばれるのを恐れ戦きながら、家具を使って火照る身体を慰め続けますかな。
 もうご友人は貴方を助けてはくれませんよ?」
「うあ……あ……あ……」

 黄金律を誇る肢体が震える。
 後戻りできない場所へと男の精神を追い詰めるべく、司教は最後の一押しを言い放った。

「──何故なら最愛の友人を貴方は手酷く裏切り、巻き込んだのだから。
 己の欲望を満たす為だけに、貴方は──お前は友を売った。最低の淫売ではないか」
「あ゛ぁああああああああああッ!」

 この瞬間。
 内で爆ぜ割れた罪悪感によって、欧州最高の将軍と呼ばれた男の心に亀裂が走った。
 男の心を支え守っていた最後の防壁が決壊し、無防備になったその気配に反応して、精神の奥深くに刻まれていた催眠暗示と、呪術の効果が最大限に発揮される。

「は……はは……あは……アハハハハハっ!」

 かつては軍属の尊崇を一身に集めていた男が嗤う。
 瞳から涙と、清廉な佇まいを保っていた心の欠片を零しながら。
 人間性すら上書きされる陰惨な外法の肉体改造が完成した瞬間だった。

「ああ……やっと壊れましたか」

 気が付くと、息を切らしながらけたたましく嗤うそれの下腹部に、異郷の蛮族を思わせる紋様が浮かび上がっていた。
 よく見ると、複雑な曲線の塊は時折鈍く怪しげな光を発しながら、ちりちりと白い肌の上を這うように蠢き、更にじわじわと広がっているように見える。

「ほほ♡なんとも醜悪な……メス奴隷にふさわしい印ではないですか」
「んんっ………♥♥っ、あんっ♥」

 ふいに、中年男の太い指が愉悦の蜜を垂れ流す入口へと託し込まれる。

「これはこれは。
 女のように内側から濡れ解れて……二本、三本と、一体どこまで入るんでしょうなぁ♡」
「ああんっ♥しきょぉさまっ♥♥しきょおぉさまぁ♥♥♥♥」

 乱暴に抉じ開けられ、かき混ぜられながら、金髪のメス奴隷は嬉しそうに喘ぎ、指の動きにあわせて腰を揺らす。
 先刻までは、声の調子が明らかに変わっている。
 官能に染まりながら、それでも男であろうとしていた虜の騎士は、もういない。

「んんッ♥♥あ゛っ♥♥そこっ♥じゅぽじゅぽって♥♥きもちいっ♥♥んんっ♥あっあぁ…あん♥♥
 じゅぼじゅぼ♥♥きもちぃいっ♥♥きもちいのっ♥♥♥♥」
「男のくせに、尻穴を教育されるのがそれほど好きですか」
「あうっ♥♥んぁっ♥♥めすですぅ♥♥あるてゅーるは、ちんぽ大好きなメスですぅう♥♥しゅきっ♥じゅぼじゅぼされるの、だいしゅきっ♥」
「とうとう自分でメスだと認めましたな」
「はぃいいいっ♥♥
 だからぁっ♥♥もっと♥もっと♥♥あるてゅーるのっ、びちょぬれケツマンコ、ぐちょぐちょにしてっ♥♥♥♥」

 刺激が浅いのか、達する事が出来ない逸物を揺らしながら、必死に腰を振って媚びる。
 男の惨めな有様は司教の肥大した自尊心を存分に潤したが、煽られた嗜虐心は、更なる対象の堕落とその証を望んだ。

「……大元帥閣下は人に対するものの頼み方を知らんようですな」
「ひゃうっ !? や……っ♥♥ぬかないでっ♥♥じゅぽじゅぽやめないでっ♥♥」
「メス奴隷はメス奴隷らしい、おねだりの仕方があるでしょう?
 さあ、お願いしてごらんなさい。さあ……!」

 うながされた男の脳裏に、調教によって刷り込まれた一つの台詞が再生される。
 正気であれば絶対に口にしない、品性を疑うようなその台詞を、今や男は発する事の出来る興奮に頬を紅潮させ、身震いすらしながら、司教の前で披露した。

「んっ、はぁ♥♥ああっ♥んっ♥♥
 ど、どうかっ♥♥しきょうさまのっ♥♥たくましいおちんぽ♥おちんぽをっ♥♥
 あるてゅーるのっ♥はしたない縦割れケツマンコにっ♥♥おめぐみくださいっ♥♥
 ずこずこっ♥♥いっぱいつきまくってぇっ♥♥
 発情メスチンポからぁ♥♥みるくぴゅっぴゅ、させてくださいっ♥♥♥♥
 もう……ガマンできないのっ♥♥」

 端正な顔に浮かぶ淫蕩な笑み。あまつさえ、自らの指で濡れそぼり、刺激に飢えてひくついている秘所を開帳しつつ、男は汚れた聖職者に情けを請うた。

「──上出来だ。淫売め」

 司教の顔に、優越感ではち切れんばかりの醜悪な笑みが浮かんだ。

「その畜生にも劣る淫らな性根──こうして!徹底的に!私が躾けてやらねばならんようですな!」
「ふぅぅう゛♥♥あ゛ぁああああああああっ♥♥」

 野太い肉の牙が堕ちた騎士の胎内を抉る。
 激しい注挿に均整のとれた裸身ががくがくと揺れ、寝台の上を踊った。

「さあイケっ!いってしまえ!この変態め!」
「あっ、あっ、ああン♥♥やぁ♥そこっ、んっ♥♥アァ♥」
「何が公爵家の血筋だ!何が元帥だ!貴様はただのメスだ!淫乱なメスだ!」
「んああっ♥♥しゅごっ♥しゅごいいいっ♥♥♥♥イクッ♥♥チンポでゴリゴリッ♥♥ズコズコされてぇッ♥♥ドスケベケツマンコいっちゃうっ♥♥いっちゃうぅううっ♥♥♥♥
 あふっ♥♥あああっ♥♥ああああああァ───ッ♥♥」

 ──びゅくっ!びゅくびゅくっ!

 奥まで突きこまれた勢いで、今度こそ弓なりに身体を反らした裸身からそそり立ったものが、たまらず淫蜜を噴き上げた。
 しかし、色も薄くさらりとしたそれは、もはや女の潮吹きと揶揄されても反駁できないような有様になっていた。

「……おやおや。他愛もない。もう達してしまったのですか。
 前にはろくに触れてもいないというのに。そんなに私のが良かったのですかなぁ?」

 普段は泰然として神の教えを説いている男が、にやにやと下卑た笑みを浮かべながら、達したばかりの逸物を弄ぶ。

「ああぁっ♥んっ♥♥ダメッ♥♥おちんぽシコシコしないでっ♥♥」 
「メスにはもったいない程立派な逸物ですな。尻穴で男を締め付けるしか能がない者には不要な器官だ。
 いっそ去勢してしまいましょうか」
「あぅ♥♥いやぁ、そ、それはいやぁっ♥♥」

 根元の袋を揉みしだかれ、中に納まったものをコリコリと指で掴まれ刺激されていると、そのまま押し潰されてしまいそうな予感に、背筋がゾクゾクしてしまう。発揮された被虐性癖によりむしろ恐怖よりも期待で、身も心も官能に支配された奴隷元帥の身体が跳ねた。

「おや、正真正銘、本物のメスになれるのですよ?嬉しくないのですか?
 ではいいでしょう。
 男を捨てた淫乱に相応しいよう、女に収める事など叶うべくもない、主張だけが激しい惨めな早漏メスチンポにしてさしあげよう。
 もっとも、どのみち尻穴ばかりで達していれば、まともに勃たなくなってしまうでしょうがね……!」
 
 司教の扱く手の動きが一層激しくなり、その指の中で、本来男であれば誇らしいほどの形と質量を持つそれが、雄々しく反り返る。

「いッ、ひぃいいいいいんっ♥♥」
「そうれ!嬉しいか!不能にされるのがそんなに嬉しいか!」
「ひゃううううううっ♥♥♥♥う、うれしいですぅううう♥♥ちんぽいじめられてっ♥もっとメスにされるのっ♥♥♥♥しあわせですぅうう♥♥」
「はは!気に入った!気に入ったぞ!
 悦べ!貴様をもっとド変態に調教してやるッ!」
「んんん゛ッッッッ゛♥あああああっ♥♥♥」

 前後を同時に攻められて、性奴が啼く。
 夜はまだ長い。
 この一晩だけで、この高貴なメス奴隷の調教がどれだけ進むことか。果たしてどこまで男の尊厳を奪い尽くせるのか。その道筋を思い描いただけで、司教の萎えた活力はたちまち蘇ってくるのだった。

 ■■■


「ああ♥♥♥♥ご主人様ぁああ♥♥ご主人様ぁ♥」
「……困りますよ司教様。
 この子は国の宝。そしてうちの大切な商品なんですから。
 貴方だけでなく、他にもお待ちのお客様がたくさんいるんでね。もっと大事に扱って貰わないと
 元帥閣下は今日も忙しいんですよ」
「ふん……そいつの方から誘惑してきたのだ。
 勝手に誘って勝手に堕落したのだから、私に責任はあるまいて」
「まあ、確かにそうなんですけどね」

 身柄を引き取りに来たフードの男──最初にリッシュモンの誇りを奪った調教師が嘆息する。
 性奴としての在り方を植えつけられた金髪の美丈夫は、ここまで散々痴態を演じたにも関わらず、性懲りもなく迎えに来た男にすり寄ると、器用に前を寛げ、嬉しそうにその逸物を頬張り、奉仕を始める。

「駄目だよ、アルテュールちゃん。
 この後は軍のお仕事だからね。ちゃんと元帥閣下らしくしないと」
「……♥んちゅっ♥♥ちゅばっ、ふむぅ、んっ♥♥♥♥
 やだぁ♥♥ご主人様のおちんぽぉ♥もっとおしゃぶりするのっ♥♥♥♥
 おっきしたちんぽ♥♥で、あるてゅーるの、メス犬ケツマンコ♥ずぼずぼしてもらうのぉ♥♥」
「よしよし。どんどんおくちでするの上手になってるね。えらいね。
 夜はジルちゃんと一緒にたくさん可愛がってあげるから、今は我慢しようね♡」
「……ほんとに?」
「ほんとだよ~
 じゃあ、俺は司教様と少しお話があるから。良い子だから先に馬車で待っててね♡」
「はぁい♪♪♪」

 軽くキスをしてから名残惜しそうに男のモノに吸い付いていた唇を離すと、子供のような笑顔でその場を去った美丈夫の背中をしばし追い──調教師の男はフードの下で人の悪い笑みを浮かべた。

「あの清廉潔白にして強情、おっかないことこの上ない事で知られた元帥閣下が、あそこまで可愛くなっちゃうとはねぇ……変われば変わるもんだ」

 まるで他人事のように、しみじみとした口調で言う。

「しかも今は薬を使っていない状態であれだし。完全に脳みそのネジが何本か飛んじゃったね。あれは。
 我ながら凄い効果だわ」

 今も美丈夫の下腹部で蠢いているであろう淫紋を刻んだ男が呟く。
 今後、術の浸食が進み、その身体がますます淫らに熟れ火照る事はあっても、男の身から効果が完全に消える事はまずないだろう。

「ま、司教様には感謝してますよ。
 おかげさまで、術が固定化出来たようで。今後の色々な手間が省けるでしょう」
「では、次に会う時には、もっと無様にあれを壊しておけ。
 あれくらいではまだぬるい。
 もっともっと惨めに、人間として終わった姿になってもらわんと」
「……そうですねぇ。
 とはいえ、お客様の要望でも、出来る事には程度がありますから……」

 フードの男はしばし思索にふけった後、

「そうだ。羞恥心は保たせたまま露出願望を植え付けて、目隠しをしたまま裸で散歩をさせたり、皆が見ている前で公開自慰をしてもらう、なんていうのはどうですかね?
 イケメンが恥ずかしがりながら、乳首やチンポをビンビンに勃起させているなんて、なかなか滑稽で見物かと思いますが」

 しごく明るい口調で、不穏な提案をした。

「ふむ……正直物足りんが、とりあえずそれぐらいで赦してやるか」
「ありがとうございます。
 次にお会いする時を楽しみにして下さいな。きっと司教様にますます可愛いところを見せてくれるでしょうから」

 己の居ぬ間におそろしい調教計画がなされていることなど夢にも思わず、馬車の中で夜を待ち侘びているであろう、最も高貴でいじらしい性奴の姿を想像し、調教師の男は微笑んだ。

  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

嫁さんのいる俺はハイスペ男とヤレるジムに通うけど恋愛対象は女です

ルシーアンナ
BL
会員制ハッテンバ スポーツジムでハイスペ攻め漁りする既婚受けの話。 DD×リーマン リーマン×リーマン

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

淫愛家族

箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

処理中です...