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2日目から
しおりを挟むジリリリリ……
目覚ましの音が鳴り響き、健一は目を覚ました。
「どっちだ……」
慌ててスマホで日付を見ると、ちゃんと昨日が昨日になっていた。
「ループから抜け出せたのか……?」
『青葉健一(18) 身長174㎝ 体重63kg 中の上 14』
「これはまだ出んのか。」
画面はまだ出ている。もし死んだとしたら1日目に戻るのか、それとも今度は今日が繰り返されるのか……
そんなことを考えていると画面が変わった。
『母さんに呼ばれたので、朝食を食べる。』
「健一、ご飯よー。」
文字が出るのと同時に母さんの声が聞こえた。
「今日の朝ごはん豪華じゃん、どうしたの。」
「健一が昨日文句言ってたでしょ?たまには母さん頑張っちゃった。」
「あ……ごめん……ありがとう。」
ついまた戻ると思い適当にこの時間を過ごしていたのを思い出した。
健一は反省の意味を込めて無理矢理完食することにした。
チャイムが鳴り、母さんが出ると玄関から智文との会話が聞こえてきた。
「あら智君、久しぶりねぇ。わざわざ健一を迎えに来てくれたの?」
「途中で待ち合わせしてるんですけど、早起きしたんで家まで行こうかなって。」
「偉いわねぇ、健一も見習って貰わないと。ホントに寝坊がひどくてねぇ。」
「いや、寝坊なんかここ最近してねぇし。」
健一はそれ以上会話を続けさせまいと急いで準備をし、智文と学校に向かうことにした。
「たくっ、母さんの言う通りわざわざ迎えに来なくても良かったのに。」
「だっていつ選択肢とか出るかわかんないでしょ?」
「まぁ、そうだけど……」
確かに智文は思い付かない選択肢で回避してくれている。一緒にいてくれると安心ではある。
学校に着くと画面が選択肢に変わった。
『空き教室へ行く→空の好感度アップ
教室へ行く→正和の好感度アップ』
「うぉ……どっちだこれ……」
「ん?何と何が出てきたの?」
智文に選択肢を伝える。
「うーん、空き教室にしとこうか。俺も一緒に行くよ。」
智文と共に空に会いに行くと、特に空が奇行に走ることはなかった。
その後も選択肢が出ると智文がアドバイスをくれて、男に襲われることもなく回避出来るようになった。
そうして、30日がたったがまだ死んでないのでループをしていない。だが画面も消えない。
いつものように学校へ向かう途中に智文は遊園地のチケットを健一に差し出した。
「これさ、たまたま貰ったんだけど良ければまた行かない?」
「おいおい、男二人で遊園地……」
健一が断ろうとした瞬間、画面が選択肢に変わった。
『このまはま智文と遊園地に行く→ルートのヒント
遊園地は断る→智文の好感度ダウン』
いつものように智文に選択肢の内容を伝える。
「ルートのヒントって気になるよね。」
「確かにな、ループ脱出のヒントがあるかもしれないし。」
二人で学校をサボり、遊園地へと行くことにした。
「わー、遊園地なんて久々だなぁ」
「確かにな。」
ジェットコースターやお化け屋敷を堪能する。
選択肢が出ずに自分で選べることも楽しめた一つだった。
「最後はこれ乗る?」
「観覧車か……まぁ乗るか。」
向い合わせで観覧車に乗る。ゆっくりと景色を見ながらこうやって繰り返さずにすんだのは本当に智文のおかげだったと健一は思い、改めてお礼を言おうと智文の方を向いた。
「なぁ、智……文……」
「何?」
あれ、智文って……こんなに可愛かったか?
首をかしげて、パチリとこちらを見る目も、全てが可愛く見えてくる。
「や、えっと……その……」
「また何か選択肢でも出た?」
「そ、そう……何かここで裸になるか……お前と……キスするか……」
勿論そんな選択肢は出ていない。だが、智文は迷うことなく健一にキスをした。
「んっ……智文……ごめん……」
「何で泣いてるの。裸になるほうがヤバイでしょ、前後からも見えるんだし。」
信じてくれた智文にも悪く、そんな嘘をついた自分の行動も理解出来ず、健一は感情が追い付かなくなり泣き続け、智文は何も言わずに健一の側にいた。
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