じゃあパパでいいよ。

吉井春樹

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02いちばんすき。

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「すきな色は何色?」ムスメに質問。


「いちばんすきなのはねぇ、ピンク」と、

思ったより、あっさり答えてくれたと思っていると、



「あとね、

 かっこいいから、水色もいちばんすき、

 ママがすきな、グレーもいちばんすき。

 それから最近、黒もいちばんすき。」


と、いろいろいちばんすき、が続いていくのでした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いちばんすき、とは、いろいろすき、です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「いちばん」というコトバは、
なかなか強力で、なにより特別です。
そもそも"他と比べてもっとも”
って、いう意味あいとして、
「いちばん」をうけとるものです。

だから
「あなたがいちばんすき」っていわれたら
「他の誰よりももっともすき」という、
愛の告白として、うけとるのが、ごく自然。

だけど、子どもにとっては、
「いちばんすき」=「とってもすき」
という意味合いなのかもしれません。

たとえば、
「ばあばがいちばんすき」とか
「○○せんせーがいちばんすき」とか
子どもが自分以外のだれかのことを
「いちばんすき」と言ってたとして
がっかりしたり、さみしくなったりするのは、
「いちばんじゃない自分は好かれてないんだ」と
うけとっているのかもしれません。


「いちばんすき」な何かや誰かは、
きっと、ひとつでも、ひとりなくてもいいんです。
いくつも「いちばんすき」、があったとしても、
たぶん、ぜんぜんかまわないのです。

「いちばんすき」がたくさんある。

それはときどき、
デタラメっぽいかもしれないけど、
それでいて、とっても、
ほがらかな、まなざしだと思うのです。

だれかを、なにかを「いちばんすき」が、
他のだれかをさみしがらせるコトバにならない
あたらしい意味が増えることを願って。



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子育て中のママはもちろん、
仕事や恋愛で、いつもいつも、
がんばっている女性へのささやかなエール。
ちょっとほっこり、ちょっと幸せになる
小さな、小さな、きっかけになればいいなと
書き残してきたメッセージです。

【 絵本ひろば 】にて公開中
・「ママに早く会いたくて」(第10回絵本大賞・読者賞受賞」
・「ぼくはお金くん」
●ホームページで「フォト エッセイ」作品公開中
 http://haruki-yoshii.com 
●Twitter/https://twitter.com/harukiyoshii

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