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その後の二人。
しおりを挟む加藤翼の怒張した逸物が内田林檎の肛門を激しく出入りしていた。
「りぃんごぉぉぉ!」
鬼気迫る表情で翼が叫ぶ。
「君がッ! イクまで! 腰を振るのをやめないッ!」
翼と向かい合うかたちでセックスをしていた林檎は、
「うるせえ、バカッ!」
器用に体を動かして翼の腹を押し蹴った。
「おわッととと」と密着していた二人の体が離れる。
ずぽんと林檎の尻から翼の太くて長いモノが引き抜かれた。
「ったいなあ。なにすんのさぁ。林檎ぉ」
「てめえは! 俺をイカセてえのか笑わせてえのかどっちだ!」
「あっ。わかっちゃった? 非オタの林檎にもJO――」
「うるせえうるせえうるせえバカッ! バカだろお前! バカ!」
怒涛の如く発せられる林檎の罵声を浴びながら翼は、
「えへへ」
と照れたみたいに笑った。
マンションの一室。大きな大きなベッドの上に全裸の男性が二人居た。
二人とも見た目で言えば二十代の後半か。
正確な年齢は「どう言えば良いやら」と「知らねえ」だ。
ベッドの中央であぐらをかいて、
「笑ってんじゃねえぞ」
と御立腹な様子の内田林檎はまるでバレーボール選手みたいなしなやかなマッチョだった。背が高くて脚も腕も首も長いがひょろっとした痩せ型ではなくてその全てがしっかりと筋肉に包まれていた。腹筋も割れている。
シャープな輪郭の小さな顔は、奥二重ですっきりとしている目元と小ぶりで高めの鼻が印象的な、いわゆる塩顔のイケメンだった。
一方、
「はッ。自分、もう笑っていないでありますッ」
ベッドの端っこに追いやられていた加藤翼はデカくて太くて厚い体のムチムチマッチョだった。林檎の「バレーボール選手」と対比させるならばラグビー選手かプロレスラーといった肉体だ。ボディビルダーとはちょっと違う。見た目の美しさよりも実用性を重視したような筋肉を装備していた。
四角い顔で男らしい眉。にッと横に引かれた口元。少年のように輝く大きな目は笑うと線になる。年上から好かれそうなやんちゃ坊主系のこちらも十二分にイケメンであった。いや「男前」と言った方が似合うだろうか。
「お怒りをお鎮めくだせえ。林檎せんせー」
立て膝でにじり寄った翼は、
「この通りです」
あぐらをかいていた林檎のすぐ目の前で土下座をした――と見せかけてパクリ。
もう柔らかくなってしまっていた林檎の陰茎を口に咥えた。その根本まで。
不意の出来事に、
「あんッ!?」
林檎は女みたいな喘ぎ声を上げてしまった。一瞬で顔が真っ赤に染まった。
その熱の原因は恥ずかしさと怒りだ。
「てめえ。なにしやがんんッ!?」
凄んでいる途中でまた林檎は艶めかしく唇を噛んだ。翼がその口に含んでいた林檎の陰茎を優しく吸ったのだ。
「んッ。てめ。つば」
亀頭の輪郭を舌先でなぞる。舌の腹で裏筋をなでる。長い舌を巻き付けるようなイメージで竿を舌と下顎の間に収める。包み込む。
ちゅぱ。れろ。じゅる。じゅる。舐め回す。舐め回す。舐め回す。
「んッ。ふッ。ふぅッ。んッ」
歯を食いしばるも林檎の鼻から漏れ出る息は明らかに甘かった。
翼の口内で林檎の逸物が張りと硬さを取り戻していく。その根本に唇を押し付けていた翼の喉奥を大きく育った逸物の先が圧迫していた。
太くなった竿に合わせて翼は唇を丸くする。頬をすぼめてじゅうと吸う。
吸い込みながらゆっくりと顔を持ち上げると膨らんだ亀頭で唇が止まった。
持ち上げた顔を今度は押し込む。
唇を柔らかくもしっかりと使って竿の円周を余すところなく刺激する。し続ける。
何度も何度も翼は顔を上下させた。
口内に溜まっていたよだれが口の端から溢れ出る。
その液体は潤滑油でもありまた唇と陰茎の密着度を高める役割もこなしていた。
じゅる。じゅぼ。じゅぼ。じゅば。
翼の頭が上下する速度が上がる。
「ん。あッ。つば。あッ」
林檎の口が開いた。
翼の頭に林檎の大きな手が伸びる。動く頭は掴めずにその髪を握り締める。
「ばか。まッ。あ、あ、あッ」
天を仰いだ林檎は、
「はぁ……」
と長く息を吐きながら腰を震わさせた。びくッ。びくッ。
翼の長くはない髪を無理やりに握り締めていた手からも力が抜ける。
最後にずずるっと一際強く吸い上げながら翼は林檎の股間から顔を上げ離した。
「イッたね。ひひひ。私の勝ちだ」
笑った口の端から白濁した粘液が糸を引くようにゆっくりと垂れ落ちる。
「て、てめえは」と林檎は勝ち誇る翼の頬をぶん殴った。
「ぎゃんッ!?」
と翼は勢い良く転がって、大きなベッドからも落ちてしまったが、
「いったいなあ。もう。ほんと、ドメスティック・バイオレンさーなんだから」
その言葉とは裏腹に痛みは全く感じていなかった。
互いに一般人離れしている強い肉体を持っていた二人だったが、翼の防御力の方が林檎の攻撃力よりも高かったという事だろうか。
いや林檎が本気では殴っていなかっただけか。
それでもな威力だった。大の大人の1.5倍から2倍もの質量を有する翼をベッドから転がり落としたのだから。
しなやかマッチョとムチムチマッチョなこの二人の間でしか成立しない過激なじゃれ合いであった。
「てめえ。こら。翼ぁ。フェラチオなんぞ女でも出来る芸じゃなくて。男として俺をイカセるだとかこいて俺のケツにチンコぶち込んだんじゃなかったのかあ、おい? 逃げてんじゃねえぞ!」
「あははははー」と翼は笑って誤魔化そうとする。
昔取った杵柄でもないが最近覚えた腰使いよりも口使いを駆使した方が早く確実に林檎を絶頂に導けるとは確かに思った。
ただ翼の気持ちとしてはアナルセックスでイカセられない事を「負け」だと思って「勝てる」フェラチオに逃げたわけではなくて、もっと単純に林檎をイカセたかっただけだった。
林檎に気持ち良くなってもらいたかっただけだった。
先程口にした「私の勝ちだ」という言葉にも深い意味はなかった。ただの言葉遊びだ。言葉の綾だ。強いて、強いて言えば照れ隠しのようなものだった。
「でもイッたじゃーん。ちゃんと気持ちかったっしょー? ねえ?」
「うるせえバカ!」
と怒鳴った林檎と、
「ぎゃんッ!?」
とベッドの上を転がった翼は、
(ったく。このバカのギャグ体質のせいで――。)
(もー。林檎はすぐに怒るからさあ――。)
ほぼ同時に同じ結論に達して深い溜め息をついた。
((――「甘い生活」には程遠いなあ。))
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