卑屈な令嬢の転落人生

夕鈴

文字の大きさ
上 下
17 / 32

八話

しおりを挟む
コメリ男爵夫妻の元にロレンスから面会したいと文が届いた。
シャーロットが了承の返事を出すと外出する用意をして待っていてほしいと返事が来た。
ロレンスとの約束の日にシャーロットは服を並べて悩んでいた。

「男爵様、ロレンスと遊びに行ってくる。ロレンスは強いから護衛はいらない。お洋服はどれだろう…」

動きやすいズボン、簡素なワンピース、貴婦人らしいドレスを幾つか並べたシャーロット。目的が書いていないため相応しい服装がわからなかった。

「そろそろ着替えないと。それでいいよ」

決められないシャーロットを見かねたレイモンドが白地に紫の花の刺繍が散りばめられたワンピースを指さした。
シャーロットは頷き、レイモンドが選んだワンピースを手に取り隣の部屋に移動した。隣の部屋でロレンスと出かけるために着飾っているシャーロットのことがレイモンドは面白くない。それでも出かけるなとは言えなかった。

シャーロットは本邸に引っ越したためレイモンドは一番広い部屋を二人の部屋として改装した。
シャーロットのために部屋の隅の一番日当たりの良い場所にクッションを敷き詰めてある。
レイモンドはクッションの上に寝転びながら貴族名鑑を開いた。シャーロットの支度が終えるのを待ちながらシャーロットに会いにきた貴族の家名に印をつけた。

「コノバと…確か」


印がついたのは名家ばかり。レイモンドとは別世界で生きる存在である。
特に王族なんてレイモンドは視線を向けられることさえ想像できない存在だった。
ページを眺めていると支度をおえたシャーロットが戻ってきた。
新しく贈ったワンピースを身に付けるシャーロットにレイモンドが笑いかけるとほのかにシャーロットの頬が染まる。

「似合ってるよ。行こうか」

レイモンドは起き上がり、シャーロットに手を差し出す。シャーロットは嬉しそうに笑い手を重ねて歩き出した。
二人が部屋を出ると丁度ロレンスが到着していた。

「挨拶はいらない。体だけでいいよ。行こう」
「気をつけて」

シャーロットに外套を着せて送り出そうとするレイモンドをロレンスが凝視した。
ロレンスはシャーロットだけでなくレイモンドも連れて行く予定だった。

「は?男爵も行くよ。どんな仕事も王子の同行って言えば遅れても許される。違約金が出るなら王家に請求させていいよ」
「男爵様、諦めて行こう。ロレンスは言い出したら聞かないから」

笑顔のシャーロットに手を引かれ、レイモンドは馬車に乗せられた。
ロレンスはレイモンドに伝え忘れていたシャーロットにため息をつく。
シャーロットの話を聞きながらコメリ男爵夫妻宛の手紙を読んだシャーロットが勘違いしたことに気付いたがロレンスは指摘する気はおきなかった。
ロレンスの心情はレイモンドにはわからない。
レイモンドにはシャーロットとロレンスが楽しそうに話しているように見えていた。
呆れているが態度に出さないロレンスと楽しそうに笑っているシャーロットの自然な様子に反してレイモンドは戸惑いを隠せない。そして王族と出かけるということに緊張していた。
ロレンスだけはレイモンドの様子に気付いても何も言わない。ロレンスは世の中には知らない方が楽なことがいくらでもあるのをよく知っている。
ロレンスにはレイモンドを必要以上に巻き込むつもりはない。

「降りようか」

馬車を降りると立派な邸宅が建てられていた。
以前貴族商人に土地を売った場所である。
ロレンスに先導され中に入ると豪華な調度品ばかりである。

「座って。礼儀は気にしないで」

ロレンスはシャーロットとレイモンドに豪華な椅子に座るように言い、お茶の用意をはじめた。
レイモンドは豪華な部屋にさらに緊張し、シャーロットはロレンスがお茶を用意する懐かしい姿に笑みをこぼした。
王宮や公爵家に訪問したことはないレイモンドにとって、人生で初めて見る豪華な部屋である。学園の応接室や生徒会室も豪華だが下位貴族のコメリ男爵嫡男が足を運ぶ機会はない。

「ロレンスのお茶は久しぶり。この土地はロレンスが買ったのね」

ロレンスはシャーロットと違い万能のため家事全般も完璧である。平民になっても生活できるようにコノバ公爵家で鍛えられていた。もちろん王弟と王妃のミコトも家事全般を身に付けている。

「違うよ。僕は自由にしていいって言われているだけ。奥の別邸以外の本邸はシャーリー達も自由に使っていいってさ。鍵はこれ。管理等の手筈は全て終わってる」

この邸は王弟個人の所有物である。
別邸は王弟がミコトと過ごすために。本邸はシャーロットが今後必要になるため建てたものである。遠慮深いコメリ男爵夫妻への細やかな婚姻祝いである。
ロレンスに鍵を渡されてもシャーロットは受け取らない。

「いらない。特に使う予定ないもの。それに男爵邸で充分」
「令嬢達の勉強会に使えば?ここなら領民もいないから不敬を働かないし馬車の置き場も困らない」
「そういえば忘れてた。勉強会って学園のお勉強を教えればいいのかな…。確かにここなら安全かな」

ロレンスの言う通りコメリ男爵邸は古く、領民の教育も終わっていないため上位貴族の令嬢達は招けない。ロレンスが持ち主を信頼している様子なので、好意に甘えることにしたシャーロットは鍵を受け取りレイモンドに渡した。

「え?」
「男爵様、好きに使ってください。私の外出は男爵様と一緒なので預かってください」

レイモンドが戸惑いながら鍵を受け取ると扉が開いた。入ってきた黒髪の女性にシャーロットは目を丸くし、慌てて立ち上がり礼をした。
黒髪の女性はゆっくりと近づきシャーロットを抱きしめた。

「シャーリー、無事で良かったわ」
「王妃様、このたびは」
「お忍びなのよ」

王妃の楽しそうな声にシャーロットは察した。シャーロットは公式では王妃様、後宮ではミコト姉様、婚約後は母様と呼ぶように教えられていた。

「ミコト姉様」
「もう母とは呼んでくれないの…」

悲しそうな王妃の声にシャーロットは王妃の胸から顔を上げた。

「母様はどうされたのですか?」
「貴方に会いに来たの。婚約破棄の件は全て終わっているわ。貴方がこのままでいいと言うから手を出す気はないわ。婚姻おめでとう」

シャーロットは王妃の顔を見て、失念していたことに気付いた。
シャーロットは幸せになれた。でも優しい王妃はシャーロット達のせいで板挟みになり、苦しめていることを。

「母様、申し訳ありません。殿下を」
「あの子は自業自得よ。でも、もう私を母と呼んでくれる子はいないのね…。シャーリー、あの子の代わりにしたら怒る?」

シャーロットは悲しむ王妃を慰めるなら何でもしようと思い首を横に振った。王命は重たいもの。一度命じられたら取り下げられることはない。王子は王族に戻れないことをシャーロットはわかっていた。廃嫡にした子は親子の縁も切れてしまう。

「私は母様の心の憂いが晴れるなら構いません。母様の綺麗な笑顔が曇るのは悲しい」
「時々、お忍びでくるわ」
「私が参内します」
「ここで新たな思い出を作りたいのよ。ロレンスは素っ気ないし…」

シャーロットは王妃の背に手を回した。優しい王妃にシャーロットの悲しい顔を見せたら余計に苦しめると思い笑顔を作る。大好きな王妃様のためならシャーロットはどんなことも頑張るつもりである。

「ロレンスは私が言い聞かせます。母様、いつでもお越しください。シャーリーは母様の笑顔が一番好きです」

抱き合うシャーロットと王妃にロレンスは呆れた眼差しを向け、茫然とするレイモンドの肩を叩いた。

「悪い。これよくある光景だから気にしないで。コノバってこーゆー人間ばかりなんだよ。王族にもコノバの血が流れているからさ…。今度爺様に、いや爺様を呼べば婆様も来るから大変か…」

「慣れてもらうしかないよ。礼はいらないよ。ロレンスとシャーリーが婚姻すれば私も父様か」

気配なく現れた王弟にレイモンドは息を飲んだ。
ロレンスはあからさまに顔を顰めて父親を見た。

「シャーリーを嫁にもらうの嫌なんだけど。ヒノト達の次に高級なものを苺と勘違いしてるし、毎日シャーリーの苺に付き合いたくない。伯母上に怒られてからいつも半分を僕に渡すし、おかげで僕は苺嫌いになったよ。男爵、あんなのでごめんね」
「父様か…」

考えこんでいる王弟を見て嫌な予感に襲われたロレンスが叫んだ。

「シャーリー!!父上も父様って呼んでやって。可愛い娘が欲しかったってうるさいから」

呼ばれたシャーロットは王妃の腕から離れてロレンスの前に仁王立ちして睨んだ。

「ロレンスが悪いのよ。母様のお願いをきかないから。王妃様のお願いは絶対に叶えるのが陛下の命令よ」
「王家って碌な人間いないよな」

ロレンスの呆れた呟きに王弟が息子の肩を叩く。

「その血は自分に流れている自覚はある?」
「父上、冗談ですよ。シャーリー、お父様って呼んで。頼むから」

ロレンスは不穏な気配にシャーロットの肩に手を置いた。
シャーロットは必死なロレンスを見て昔が懐かしくなり肩を震わせて笑い出した。

「父様はこの遊びが好きですね」
「私にとってもシャーリーは娘のようなものだから」
「ありがとうございます。確かに両親よりもお二人と過ごした記憶が多い気がします。お父様の留守にはいつも父様が訪問して遊んでくれましたもの」
「うちの兄上のためにシャーリーがほったらかしだったからね。2日泊まるから、今日は妃殿下と眠ってくれる?」

予想外の問いにシャーロットは目を大きく開けた。王妃との約束を破っていたからである。

「え?」
「シャーリー、まさかヒノトと眠ってないよね?」

シャーロットの顔を見て、王弟は恐る恐る尋ねた。
シャーロットは顔を覗き込む王弟から目を逸らす。

「シャーリー、貴方まさか…」

「か、帰ります。失礼します。私、お、お仕事が」

王妃と王弟に咎められる視線を受けて逃げようとしたシャーロットの手をロレンスが掴んだ。

「シャーリーが悪い」
「ちゃんと許可もらったよ」
「ミズノはいいけどヒノトは駄目」
「二人をギュっとして眠るのが幸せ、違う、男爵様!!」

レイモンドは震え出したシャーロットと咎める周囲に戸惑いながらも近づいて頭を撫でた。

「うちは犬がいても問題はありませんが…」
「男爵様」

シャーロットはレイモンドの背中に隠れる。
ロレンスはレイモンドを凝視していた。

「気付いてないの!?知らないのか。そっか。下位貴族か。男爵、獣人族って知ってる?詳しいことは自分で調べて。従者のヒノトと愛犬のヒノトは同一人物だよ」

レイモンドの記憶では常にシャーロットはヒノトを抱いていた。
ロレンスの言葉を頭の中で繰り返してようやく現実を認識し顔を青くした。ヒノトをシャーロットが抱きしめて眠るのを想像して血の気が引いた。

「なんで知ってるの!?」
「同じ名前で毛色と瞳と髪の色がそっくりだろう?むしろ気付かれてないと思ってたのに驚いているよ」

シャーロットは驚いている場合でないと気づきレイモンドの背中から出てロレンスを睨みつける。

「ヒノト達に手を出したら」
「出さないから。シャーリーの念願の獣人族の保護と差別禁止と人民権の取得は僕がいずれ叶えてあげるよ。あと悪しき風習も」
「え?ありがとう。それはよろしくお願いします。ロレンスが王様か…。信じられない」
「ごまかされないから」
「シャーロット、犬を買ってあげるからヒノトと眠るのやめないか?」
「男爵様まで…」
「シャーリー、寂しいなら昔みたいに手を繋いで眠ってもらいなよ。ヒノトと二人は駄目だ。いつまでも子供じゃないんだよ。知ってるだろう?ヒノトだって成人した男でシャーリーは女。子供が作れるんだよ。家族で親友でも、もう抱きついて眠れる年じゃない。まず男爵に失礼だよ」
「………」


シャーロットはレイモンドまで敵に回ると思っていなかった。
シャーロットはようやく取り戻した至福の時間を手放したくない。

「シャーリー、旦那様の腕の中は一番ほっとする場所なのよ。ヒノトの代わりに抱きついて寝てみるとわかるわ。私も旦那様の腕が一番だもの。初めて知った時から恋い焦がれてたまらないわ。部屋を用意するから二人で泊まっていきなさい。シャーリーと眠るのは旦那様に譲ってあげるわ」

レイモンドとシャーロットは同じベッドで眠っても間にはいつもミズノとヒノトがいた。意識してなかったが、うっかり手を出したらと想像してレイモンドは慌てた。

「帰ります。ヒノトのことはゆっくり話そうか」

慌てるレイモンドを見て王妃が目を見張った。

「え?まさか?嘘でしょう?」
「言っただろう。孫は当分見られないって」
「どうして!?四六時中共にいて、部屋も一緒なのに。私のシャーリーに何の不満が」

声を荒げる王妃にレイモンドは混乱しはじめた。

「王妃様、落ち着いてください。性格です。成人するまで手を出したりしませんよ。お茶にしませんか」
「楽しい話が聞けると思ったのに…。まだ子供だったのね…。私は成人前に子供ができても祝福するわ。そうシャーリーの婚儀よ。いつにするの!?」

シャーロットは話題が変わったので笑みを浮かべた。このままうやむやにしようと決めた。

「男爵様は私が成人したらとおっしゃっています。私は挙げなくても構わないんですが」
「駄目よ。大事なのよ。盛大に」
「母様、男爵領でささやかにあげます。私はコメリ男爵夫人ですので盛大なものは不要です」
「日取りは早めに教えるんだよ。モール公爵夫妻の都合もつけるから。多忙だからって呼ばなかったら怒られるよ」
「ドレスは一緒に選びましょう。ヴェールは私が作ろうかしら」
「母様、後宮を抜け出して陛下は?」
「うまくするわ。シャーリーが花嫁なんて。婚儀が終わったら遊びに行ってきなさい。おすすめがあるのよ」

シャーロットはヒノトのことがごまかされ、王妃が元気になったので笑みを浮かべて話を聞く。
順応できないレイモンドにロレンスが耳元でアドバイスを囁いた。シャーロットだけでも手が掛かるのに他の関係者の相手をレイモンドができるようになるには経験が足りない。

「男爵、シャーリーの関係者に慣れたら上位貴族も怖くなくなるよ。慣れしかないけど。あとこれ」

レイモンドはロレンスから封筒を渡され、中身を見て驚く。

「これは強引な婚姻を強いた王家からの賠償金。正当なものだから。まだ取り立てが終わってないから、一部だけど。立て替えて一括で渡そうとしたんだけど伯父上に止められた。分割のほうが男爵の心に優しいって。はした金でがっかりするよね」

男爵領の1年の予算と同等だった。金銭感覚の違いに驚くのはよくあることだった。

「資産管理はシャーリーも得意だから任せればいい。いい感じに大きくするよ。」
「別世界の令嬢を妻に迎えたことがよくわかった」
「貴族は曲者揃い。まともな人間なんて存在しない。大きい家は特に。シャーリー絶対にヒノトのことごまかせたと思っているな。成人前に手を出してもいいけど、子供は婚儀の後にしてほしいけど大丈夫そうだね。王妃様はシャーリーの子供の誕生を楽しみにしてるし。ただシャドウだけは許さないよな。シスコンだからな…頑張れ」

レイモンドはどんなアドバイスをもらっても不安しかない。
この日はシャーロットは王妃の部屋で眠り、レイモンドはロレンスと王弟と夜遅くまで話をしていた。
レイモンドは不敬は気にしないと言う王族に正直に相談するときちんとしたアドバイスが返ってきた。
結局慣れるしかないことがわかった。

ロレンスに送られ男爵邸に帰りヒノトを見てシャーロットと話をすることを思い出した。その2日後にロレンスから獣人族についての手紙が送られ、読んだレイモンドはシャーロットを説得することを決めた。少年に見えたヒノトはすでに成人していた。
寝室には夜着に着替えてヒノトを抱いているシャーロットがいた。

「シャーロット」
「嫌。離れに帰る」

レイモンドは立ち上がったシャーロットを見て覚悟を決めた。ヒノトを抱いているシャーロットを抱き上げベッドに降ろした。

「え?」

レイモンドはシャーロットの横に寝転び抱きしめた。

「離して。ヒノトが潰れる」
「おやすみ。」

レイモンドはシャーロットの言葉は聞こえないフリをして目を閉じた。

「男爵様、嘘?寝たの!?ヒノト、大丈夫?男の人って一度寝たら起きないよね…。ロレンスも殿下も…。ヒノト、抜け出して。男爵様は蹴らないで。今日は隣で寝て。明日は離れに帰ろう。おやすみ」

ヒノトは二人の間から抜け出し、シャーロットの横に丸くなった。
レイモンドはシャーロットの言葉が気になっても聞けない。柔らかい体を意識しないように集中する。しばらくして隣から聞こえた寝息にレイモンドは目を開けた。
レイモンドは腕を解こうとすると胸元をシャーロットが握っていた。長い髪をそっと梳いて無防備な妻の肌けた服を直して眠りについた。


翌朝、シャーロットは目を覚まし眠っているレイモンドをじっと眺めた。王妃に夫婦の嗜みについて色々聞いた。
レイモンドとは夫婦らしいことは何もしていない。そっと頬に手を当てて口づけた。起きないレイモンドの額に口づけた。シャーロットは段々楽しくなってきた。眠っているレイモンドの頬に手をあて、口づけようとすると目が合った。
シャーロットは急に恥ずかしさに襲われ赤面した。

「あ。え。えっと、夫婦の嗜み、ごめんなさい。楽しくてつい」

レイモンドは赤面して震えているシャーロットに首を傾げながら抱き寄せて頭を撫でる。

「よくわからないけど、怒ってないよ」
「でも起きたら恥ずかしい…。夫婦の営み…」

シャーロットの呟きを拾ったレイモンドは髪を掻き上げた。シャーロットの顔が間近にあったのを思い出して赤面した。そして想像通りなら起きている時がよかったと残念に思った。
潤んだ瞳で震えているシャーロットの額にレイモンドは勇気を出してそっと口づける。
シャーロットは驚いてレイモンドを見つめ、勇気を出してレイモンドの頬に口づけた。
真っ赤な顔で照れて笑うシャーロットにレイモンドも笑った。お互い真っ赤である。

「起きようか」
「うん」

シャーロットの震えが止まったので、レイモンドは抱いている腕を解いた。
ベッドから起き上がり、レイモンドとシャーロットは別れて各々着替えはじめる。

着替えおえたレイモンドは壁に頭を打ち付けた。シャーロットを抱いて眠れたのはよかった。朝の様子にどこまで理性が持つかわからなくなった。
もし手を出すならミズノとヒノトを部屋から追い出さないといけない。二人が人とわかったので、人前での夫婦の営みはできない。まずはヒノトと寝かせないことを決めて離れに鍵をかけるように執事長に命じた。シャーロットに離れの立ち入りを禁止するようにうまく言ってほしいと必死に頼む主に執事長は静かに頷いた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

安らかにお眠りください

くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。 ※突然残酷な描写が入ります。 ※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。 ※小説家になろう様へも投稿しています。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

【完結】婚約者が好きなのです

maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。 でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。 冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。 彼の幼馴染だ。 そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。 私はどうすればいいのだろうか。 全34話(番外編含む) ※他サイトにも投稿しております ※1話〜4話までは文字数多めです 注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

いつかの空を見る日まで

たつみ
恋愛
皇命により皇太子の婚約者となったカサンドラ。皇太子は彼女に無関心だったが、彼女も皇太子には無関心。婚姻する気なんてさらさらなく、逃げることだけ考えている。忠実な従僕と逃げる準備を進めていたのだが、不用意にも、皇太子の彼女に対する好感度を上げてしまい、執着されるはめに。複雑な事情がある彼女に、逃亡中止は有り得ない。生きるも死ぬもどうでもいいが、皇宮にだけはいたくないと、従僕と2人、ついに逃亡を決行するのだが。 ------------ 復讐、逆転ものではありませんので、それをご期待のかたはご注意ください。 悲しい内容が苦手というかたは、特にご注意ください。 中世・近世の欧風な雰囲気ですが、それっぽいだけです。 どんな展開でも、どんと来いなかた向けかもしれません。 (うわあ…ぇう~…がはっ…ぇえぇ~…となるところもあります) 他サイトでも掲載しています。

麗しのラシェール

真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」 わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。 ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる? これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。 ………………………………………………………………………………………… 短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。

お城で愛玩動物を飼う方法

月白ヤトヒコ
恋愛
婚約を解消してほしい、ですか? まあ! まあ! ああ、いえ、驚いただけですわ。申し訳ありません。理由をお伺いしても宜しいでしょうか? まあ! 愛する方が? いえいえ、とても素晴らしいことだと思いますわ。 それで、わたくしへ婚約解消ですのね。 ええ。宜しいですわ。わたくしは。 ですが……少しだけ、わたくしの雑談に付き合ってくださると嬉しく思いますわ。 いいえ? 説得などするつもりはなど、ございませんわ。……もう、無駄なことですので。 では、そうですね。殿下は、『ペット』を飼ったことがお有りでしょうか? 『生き物を飼う』のですから。『命を預かる』のですよ? 適当なことは、赦されません。 設定はふわっと。 ※読む人に拠っては胸くそ。

処理中です...