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しおりを挟む熱が集中する股間が切なくなり、ソランは己の太腿を擦り合わせる。年上としての威厳なんて最初からないけれど、こんなにされるがままで良いのだろうかと戸惑い、かと言ってどうしたら良いのかもわからず、情けなさに泣きたくなる。
「も、いれてくれ」
これ以上前戯が続いたら自分がどうなってしまうか分からない。自分が自分でなくなってしまう。そんな恐れからソランはジーンの髪を引っ張って強請った。
「ふふ、挿入だけがセックスじゃありませんよ」
荒い呼吸混じりの上擦った声でジーンは優しくソランを宥める。ソランは嫌だと首を左右に振り、ジーンの手に縋り付いて、その指を口に含んで甘噛みする。一体何をするつもりなのかとジーンは抵抗せずソランの好きにさせた。ソランは恥じらいから一瞬だけ視線を泳がせ、大きく脚を開き、涎でベタベタになったジーンの指を自身の後孔へと───。ジーンは目を見開く。
「ここ、ここに、くれ」
ジーンの指に、ソランの穴が吸い付いてくる。もっとソランの身体を、全身を愛でたいのに、もう我慢ならないと蕾に指を差し入れる。仕込まれた粘液が指に絡まる中、熱い内部が蠢く。誘われるまま、ぐぐっと指を進めれば、指の腹にシコリが触れて。ソランの身体が跳ねた。
「アアッ」
「………すごい、ここ、膨らんでる」
「そこ、そこぉ!!」
育った前立腺への刺激に涎を垂らしながらソランが身悶える。ジーンは生唾を呑み込んだ。ここまでソランの前立腺で快感が拾えるようになるまで育てたのは一体誰なのか。ソランは自分より年上なのだ、それなりに経験があってもおかしくない。おかしくないが嫉妬で狂いそうだ。
「や!いく!いっ!いってる!そこ、も、やめてくれ…ッ」
嫉妬に駆られた頭でジーンはソランの弱点を嬲っていた。最早無心になっていた。いや、むしろ八つ当たりに近かったかもしれない。
「いく?おかしいなぁ、何も出てませんよ?」
ソランの陰茎をジーンは指で弾いた。もちろんジーンは確信犯だ。ソランが射精せずに中イキしていることは重々承知している。
「ひぃ…っ」
ソランの両目から涙が弾け飛ぶ。ジーンはうっとりと見入った。はぁー、はぁー、と肩で息をするソランの頬に手を添えて、口を唇で塞ぐ。呼吸さえ許さないかのような支配を与えられ、ソランは必死に顔を背けようと暴れるが、ジーンに顎を掴まれて容易に抑え込まれてしまった。その間にもソランの内部を暴く指は増えて、増えて、蠢く。
「───僕は、何人目の男ですか?」
「?」
ようやく呼吸を許されたソランは、呆然とジーンを見つめ返す。話にならないソランの様子に、ジーンは舌打ちした。指を引き抜いて自身の欲望を宛てがう。
「僕は、何人目ですか?」
入り口を弄ぶ刺激に、んんっとソランは身を捩る。ソランの腰を掴むジーンの手に力が籠った。
「なに───?」
「今まで何人と寝たんですか?」
繰り返された問い掛け、その意味を理解するなり、呆然としていたソランの瞳に意志が戻る。
「は、初めてだよ!!悪いか!?俺だってこの歳まで好き好んで綺麗な身体だったわけじゃねぇよ!!」
噛み付くように叫ばれ、ジーンは目を見開いた。先程までとは異なり、怒りと羞恥で息を荒らげるソランの様子から事実なのだと理解して、じわじわと湧いてきたのは歓喜だ。歓喜だと実感するより先に感情が爆発的に膨らみジーンの股間を膨張させる。サイズの定まらない陰茎でソランの慎ましい穴を一気に貫いた。
「好きですッ!!」
「ふぎ─────ッ」
ソランは痛みに目を白黒させる。チカチカと遠くで、あるいは近くで明滅する光を覚えて訝るが、最早思考が真っ白になって考えられない。
「あー、きもちいー…。すごい、なか、うねってる」
ジーンの感嘆をよそに、早く終われとソランは願って目を閉じた。このまま意識を手放してしまいたかった。大きく開かれた秘部が引き裂かれるように痛い、股関節が痛い、掴まれている腰が痛い、のどが痛い。沼に沈むかのような重さに微睡んでいると、唐突に乳首を吸われ、その刺激に意識が急浮上させられる。恐る恐る目を開けたソランに、ジーンは微笑んで唇を重ねた。
舌を絡め合う。その気持ち良さに夢中になりソランの身体から力が抜けていく。その隙を見逃さず、ジーンは確実に腰を進めていく。
「い…っ」
ごりごりと内壁を削るように擦りつつ、奥へ奥へと凶器が進んでいく。串刺しにされたカエルの気分でソランはシーツを握り締め、捕食者に許しを乞うように涙を浮かべた。
「手加減しますから、僕が絶頂するまで頑張って下さいね」
無慈悲な事を宣言をする捕食者の笑顔に、ソランの顔から血の気が引いていく。
「や!いやっ!やだ!も、ぬいてくれぇぇぇ!!」
「嫌よ嫌よも好きのうちって言いますよね」
「ふああああああンッ」
「冒険者を引退した後のことは決まっているんですか?」
足腰が立たなくなったソランを甲斐甲斐しく世話をし、自身もシャワーを浴びてきたジーンはベッドに腰掛けながらソランに問いかけた。2人共備え付けのバスローブ姿だ。ソランとしてはすぐに帰って荷物を纏めて逃げたかったが、動けないのだから仕方ない。
「ピロートークがそれって、お前、センスねぇな」
「茶化して誤魔化さないでくださいよ」
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