3 / 5
3
しおりを挟む熱が集中する股間が切なくなり、ソランは己の太腿を擦り合わせる。年上としての威厳なんて最初からないけれど、こんなにされるがままで良いのだろうかと戸惑い、かと言ってどうしたら良いのかもわからず、情けなさに泣きたくなる。
「も、いれてくれ」
これ以上前戯が続いたら自分がどうなってしまうか分からない。自分が自分でなくなってしまう。そんな恐れからソランはジーンの髪を引っ張って強請った。
「ふふ、挿入だけがセックスじゃありませんよ」
荒い呼吸混じりの上擦った声でジーンは優しくソランを宥める。ソランは嫌だと首を左右に振り、ジーンの手に縋り付いて、その指を口に含んで甘噛みする。一体何をするつもりなのかとジーンは抵抗せずソランの好きにさせた。ソランは恥じらいから一瞬だけ視線を泳がせ、大きく脚を開き、涎でベタベタになったジーンの指を自身の後孔へと───。ジーンは目を見開く。
「ここ、ここに、くれ」
ジーンの指に、ソランの穴が吸い付いてくる。もっとソランの身体を、全身を愛でたいのに、もう我慢ならないと蕾に指を差し入れる。仕込まれた粘液が指に絡まる中、熱い内部が蠢く。誘われるまま、ぐぐっと指を進めれば、指の腹にシコリが触れて。ソランの身体が跳ねた。
「アアッ」
「………すごい、ここ、膨らんでる」
「そこ、そこぉ!!」
育った前立腺への刺激に涎を垂らしながらソランが身悶える。ジーンは生唾を呑み込んだ。ここまでソランの前立腺で快感が拾えるようになるまで育てたのは一体誰なのか。ソランは自分より年上なのだ、それなりに経験があってもおかしくない。おかしくないが嫉妬で狂いそうだ。
「や!いく!いっ!いってる!そこ、も、やめてくれ…ッ」
嫉妬に駆られた頭でジーンはソランの弱点を嬲っていた。最早無心になっていた。いや、むしろ八つ当たりに近かったかもしれない。
「いく?おかしいなぁ、何も出てませんよ?」
ソランの陰茎をジーンは指で弾いた。もちろんジーンは確信犯だ。ソランが射精せずに中イキしていることは重々承知している。
「ひぃ…っ」
ソランの両目から涙が弾け飛ぶ。ジーンはうっとりと見入った。はぁー、はぁー、と肩で息をするソランの頬に手を添えて、口を唇で塞ぐ。呼吸さえ許さないかのような支配を与えられ、ソランは必死に顔を背けようと暴れるが、ジーンに顎を掴まれて容易に抑え込まれてしまった。その間にもソランの内部を暴く指は増えて、増えて、蠢く。
「───僕は、何人目の男ですか?」
「?」
ようやく呼吸を許されたソランは、呆然とジーンを見つめ返す。話にならないソランの様子に、ジーンは舌打ちした。指を引き抜いて自身の欲望を宛てがう。
「僕は、何人目ですか?」
入り口を弄ぶ刺激に、んんっとソランは身を捩る。ソランの腰を掴むジーンの手に力が籠った。
「なに───?」
「今まで何人と寝たんですか?」
繰り返された問い掛け、その意味を理解するなり、呆然としていたソランの瞳に意志が戻る。
「は、初めてだよ!!悪いか!?俺だってこの歳まで好き好んで綺麗な身体だったわけじゃねぇよ!!」
噛み付くように叫ばれ、ジーンは目を見開いた。先程までとは異なり、怒りと羞恥で息を荒らげるソランの様子から事実なのだと理解して、じわじわと湧いてきたのは歓喜だ。歓喜だと実感するより先に感情が爆発的に膨らみジーンの股間を膨張させる。サイズの定まらない陰茎でソランの慎ましい穴を一気に貫いた。
「好きですッ!!」
「ふぎ─────ッ」
ソランは痛みに目を白黒させる。チカチカと遠くで、あるいは近くで明滅する光を覚えて訝るが、最早思考が真っ白になって考えられない。
「あー、きもちいー…。すごい、なか、うねってる」
ジーンの感嘆をよそに、早く終われとソランは願って目を閉じた。このまま意識を手放してしまいたかった。大きく開かれた秘部が引き裂かれるように痛い、股関節が痛い、掴まれている腰が痛い、のどが痛い。沼に沈むかのような重さに微睡んでいると、唐突に乳首を吸われ、その刺激に意識が急浮上させられる。恐る恐る目を開けたソランに、ジーンは微笑んで唇を重ねた。
舌を絡め合う。その気持ち良さに夢中になりソランの身体から力が抜けていく。その隙を見逃さず、ジーンは確実に腰を進めていく。
「い…っ」
ごりごりと内壁を削るように擦りつつ、奥へ奥へと凶器が進んでいく。串刺しにされたカエルの気分でソランはシーツを握り締め、捕食者に許しを乞うように涙を浮かべた。
「手加減しますから、僕が絶頂するまで頑張って下さいね」
無慈悲な事を宣言をする捕食者の笑顔に、ソランの顔から血の気が引いていく。
「や!いやっ!やだ!も、ぬいてくれぇぇぇ!!」
「嫌よ嫌よも好きのうちって言いますよね」
「ふああああああンッ」
「冒険者を引退した後のことは決まっているんですか?」
足腰が立たなくなったソランを甲斐甲斐しく世話をし、自身もシャワーを浴びてきたジーンはベッドに腰掛けながらソランに問いかけた。2人共備え付けのバスローブ姿だ。ソランとしてはすぐに帰って荷物を纏めて逃げたかったが、動けないのだから仕方ない。
「ピロートークがそれって、お前、センスねぇな」
「茶化して誤魔化さないでくださいよ」
141
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説

【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)
てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。
言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち―――
大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡)
20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。


推し変なんて絶対しない!
toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。
それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。
太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。
➤➤➤
読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。
推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)


罰ゲームで告白したら、一生添い遂げることになった話
雷尾
BL
タイトルの通りです。
高校生たちの罰ゲーム告白から始まるお話。
受け:藤岡 賢治(ふじおかけんじ)野球部員。結構ガタイが良い
攻め:東 海斗(あずまかいと)校内一の引くほどの美形

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる