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に
しおりを挟む馬鹿の代替に馬鹿を用意されても堪らないし、最早このような馬鹿が2人も湧く国に可愛い妹を嫁がせる気などない。見えるところに2人もいるのだ、害虫の如く、見えないところには大量にいるだろうし、出てくる度に潰すのも面倒である。
「魔王陛下の仰せのままに」
この国の王太子は項垂れるように恭順の意を示す。馬鹿だが見目だけは良い弟のラグナル殿下とは異なり、王太子もまた魔王同様平凡な外観をしている。特徴のない茶髪に、焦げ茶色の瞳。
「ふむ。確か、詫びにお前の生命を差し出すんだったか?」
「───はい。それで他の者達を見逃して頂けるのでしたら」
一度だけぎゅ、と目を閉じ、決意を口にしてフェルベードを真っ直ぐ見据える。威厳こそないが平凡なだけではないのだろう。
「条件をつけるなど、生意気だな」
「─────」
王太子は口を閉ざしたまま言い訳をしない。こればかりは譲れないとばかりに強い眼差しのままだ。
「よし。では、お前が俺に嫁げ」
一同は大きく目を見開き、驚いた。ふふふ、とべルティシアが笑う。
「まぁ!妙案ですわ!我が国の王妃不在問題も解決しますし、約定も無事に成り立ちますわね」
「は、はぁ?」
王太子───アンセルは素っ頓狂な声を上げた。
□□□□□□□□
瞬きをする暇もなく変わった景色にアンセルは愕然とする。白を基調としたエントランスホールにいたはずなのに、黒を基調とする装飾のリビングルームのような場所に立っていた。
目の前には魔族の王とその妹が立っている。
「私が証人になりましょう」
べルティシアの言葉に頷いたフェルベードはアンセルの左手を掴み、その薬指に赤い珊瑚のような指輪を嵌める。
ぶわっと、風が舞い上がるような感覚に包まれ、状況が飲み込めないまま、アンセルは瞬くばかり。
「これでお前は俺の嫁だ」
「いやいやいや、何を言って!」
「その指輪こそ王妃の証ですわ。新しい王が即位してまず作成するのが伴侶の指輪なのです。証人の前でその指輪を嵌めた以上、貴方が王妃です」
おめでとうございます!と、はしゃぐべルティシアの言葉を受け、アンセルは元凶の指輪を外そうとするが、その手にフェルベードの手が重なった。
「外したら死ぬぞ」
「随分と物騒な脅しだな」
「いや、ここ魔族領だから。耐性のない人間は死ぬ」
「その指輪はあらゆる状態異常を無効化する特別製ですからね。一応この部屋にも魔避けの結界は張ってありますが城内全てが万全というわけではありませんもの。外したら冗談ではなく死にます」
他にも物理攻撃無効や魔法障壁自動生成など効果盛りもりの国宝なんですよ!と自慢げに語る声などアンセルの耳には届かない。
まさか、あの一瞬で祖国から連れ去られたなどと信じ難いが、命を懸けてまで試す気にもならない。
「ちなみに、その指輪がある限り俺はお前がどこにいるのかわかるし、強制転移させることもできるぞ」
「なにそれ怖い」
もはや魔王様の所有物。逃げられないらしい。
「今夜は初夜ね!頑張ってください!」
「頑張るって何を!?」
「俺に任せておけ」
「何を!?」
身を清めることも許されず、寝台に連れ込まれたアンセルは身ぐるみを剥がされ、隅から隅までフェルベードに愛でられた。手指の先から足指の間まで舐められ、吸いつかれ。内腿を、臀部を、胸筋を揉みしだかれ。痛みに引き裂かれるようなまぐわいを想像していたアンソルは目を白黒させるばかり。ぞくぞくと走る性感を認めたくないと、唇を噛み締めてイヤイヤと身悶える。
「も、いっきに、やれよ」
これは何の拷問だと、フェルベードに憤りを向ける。フェルベードは困惑して、頭をかいた。
「すまん。あと3日間くらい昼夜問わずこんなカンジだ。どうしても耐えられない時はイかせてやるから言ってくれ」
「はぁ!?みっか…3日ぁ!?」
しかも、陰茎が立ち上がり、ふるふると震えているのは見てわかるだろうに、アンセルからお願いを口にしないとイかせてくれないという。
「お、おに!あくま!すけべ!ばか!あ!」
罵倒している最中に、つぷんと無警戒だった後孔に指を入れられ、アンセルは違和感に涙を浮かべる。
「ここも、とろとろにしてやらないとなぁ」
「ぐにぐに、しちゃ、や、」
「その指輪には抜け道があって。本人が受け入れることを許可した魔は体内に取り込むことが出来るんだ。俺の唾液に含まれる魔を肌から取り込ませることで、お前の耐性を少しずつ上げる。このままじゃベロチューも出来やしないからな」
「きょ、きょか、してな…ひゃっ」
乳首を吸われ、おかしな声が出た。
「ほら、喜んで身悶えてる時点で受け入れてるだろ?早く俺の子種で孕めるようになろうな」
ちろちろと舐められ、堪らず、まるでおねだりするようにアンセルは無意識に胸を突き出す。その反面、子種、孕むというキーワードに、男としての矜恃が、自尊心が弾けたように拒絶を示した。
「ちがう、ちがう、いや、やだ、や、はなして!やだ、ぁ」
「ここから、こんなに蜜を零して何を言ってるんだか」
「う───ッ」
ぽたぽたと涙を零すかのような陰茎を指で弾かれ、一瞬の痛みにアンセルは熱を放出する。その瞳は虚ろで、絶望さえ匂わせていて。フェルベードは哀れむようにアンセルの目尻に唇を寄せ、涙を舐め取る。
耳朶を食まれ、首筋を隙間なく舐められながら、後孔で指を抜き差しされると、アンセルの瞳が再び熱に浮かされ始める。感覚を取り戻した途端、押し寄せる快感に再び身悶えて。その痴態がフェルベードを喜ばせていることなど知らないまま、必死に抗おうとする。
「そこ、だめ…!なんか、くるぅ!」
「はは。出るじゃなくて来るのか。雌の素質があるな」
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