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さん
しおりを挟む「くそ、」
吐き捨てて、ケイゴはトップスを脱ぎ捨てた。貧弱なミツルとは比べようのない、そこそこ育った筋肉がその割れ目を曝す。肘で体を支えながら、少しだけ上半身を浮かせたミツルは、誘われるようにその割れ目に指を這わせた。
「ミツル?」
熱く火照る身体をよろよろと起こしきり、抵抗されないのを良いことにケイゴの筋肉に唇を寄せる。触れた箇所から伝わる鼓動は早い。チュッと吸い付くと「ん」と小さな声が降ってきた。生まれて初めてつけたキスマークに、ミツルは満足気に笑い、ケイゴを見上げる。
「けいご、すき」
「ん、な…!!素面でもっかい言えよ!!」
性急に改めて押し倒される。ローションが衣服や周りにつくことなど気にせず、ミツルの下半身からスェット生地の衣類ごと下着まで引きずるように奪い去る。
脱がされたミツルは意を決して、身体を巡る熱さに押されつつ、大きく両脚を広げて見せた。本来の用途通りに使ったことのない陰茎が先走りで濡れながら、フルフルと揺れる。ケイゴの眼差しが、痛いほど突き刺さるのを感じながら、誘導するようにミツルは己の臀部を左右に割り開いて突きつける。
「な、に、これ」
ケイゴの視線が、ミツルのそこに釘付けになる。ミツルの後孔を塞ぐ、黒い異質な物体。
「なにって、あなるぷらぐだけど?」
「どういうこと?あ、だめだ。あとで聞く。我慢できない」
「んんッ」
引き抜くための穴飾りにケイゴは指を引っ掛け、ぐにぐにとミツルを塞ぐ性具をかき回す。シャワーを借りた際に準備をしたのだが、使用した潤滑剤は乾いてしまったのか、縁に引き攣るような小さな痛みが生まれる。その痛みさえ気持ちいい。
つぽん、と。比較的大きめのそれが抜かれると、外気に晒された粘膜が震えた。咥えていたモノがなくなって寂しいとでも訴えるように開き切った口がはくはくと収縮する。それをガン見していたケイゴは躊躇いなく指を突っ込んだ。
「あ!そんな、乱暴にしないで!」
いっぺんに二本の指を差し込み、縦に、横に、広げて中を覗いて。
「……………、」
ごくりと生唾を飲み込む音が大きく響く。
「な…、かはッ!」
ずちゅんっと入ってきた容積は指や玩具なんかとは比べ物にならず、圧迫感にミツルは目を見開いた。
「きつ、」
「や、あああ…っ」
焦るかのように奥の奥まで一気に貫かれる。中に入れ込んだ潤滑剤がにゅぷにゅぷっと音を立ててミツルの耳を犯す。無理やり拓かれる、腹部が膨らむ、ごつんごつんと奥を殴るように穿たれる。
目の前の、荒い息を繰り返しつつ涎を零す、そんな狂った獣のような男に支配されている。それを自覚した途端、全身の神経が剥き出しになったように痛いほど震えた。
「みつる、みつる!」
「あ!こわ!こわいぃ!んあああっ!」
「もっと、もっとだ!よこせ!」
びたびたと熱い飛沫が胎内にぶちまけられるのを感じるのに、ケイゴの腰の動きは止まらない。ガツンガツンと荒々しく穿たれる。胸元から、下腹部から、足先までゾクゾクして、きゅんきゅんして。全身で支配者に媚びてしまう。射精なんてする余裕もなく、繰り返される絶頂に胎内の痙攣が止まらない。
正直、馴れないナカの刺激でイクというより、手に入らないと思っていた男に犯されているという現状に、目の前で余裕なく汗を垂らす男が埋める視界に、脳がイク。脳がイクから、つられた身体が快楽に溺れる。
「いい…っ、いってる!いってるからぁっ!」
言葉にして認めた途端、駆け巡るゾワゾワが増して、足裏まで引き攣る。ナカを犯されながら、両乳首をいっぺんにムニムニと指の腹で転がされると目の前が真っ白になった。
□□□□□□□□
「もしかして、男と遊び慣れてるのか?」
足腰の痛みに、全裸のままダラダラとベッドを占領していたミツルは、顔色の悪い家主からの予想外な問いかけに目を丸くした。
「まさか。ケイゴが初めてだよ。初めからケイゴを酔い潰して美味しく頂くつもりだったから準備してたんだ」
まさか頂かれるとは思ってなかったけど、と呟く。
「そうか、良かった、焦った」
シングルベッドの傍らにケイゴが腰を下ろす。彼は新しいスウェットに着替えていた。ローションで汚れたのをもう一度着るつもりはなかったのだろう。
「ケイゴは、どういうつもりで媚薬?なんて入れたの?」
「男も女も最初は痛いって聞いてたから気持ちよくしてやろうと思ってたんだよ。俺はお前を襲う気満々で連れ込んだんだ」
お互い、発想が似ている。どちらかと言えばクズ寄りの発想だ。類は友を呼ぶなんて今まで賛同していなかったが、撤回してもいいだろう。
そんなことをぼんやり考えていたミツルの頭をケイゴが撫でる。
「乳首吸わせろ」
「今日はもう無理」
「次は、だ」
当たり前のように次があるとケイゴは言う。
「次、ね」
「お前にならキッチンを片付けられても、日用品持ち込まれても構わない。大歓迎だ、待ってるから食われに来いよ」
好きだの愛だのを言うつもりはないらしい。だが、占有権は認める、ということだろうか。
「ばーか、次こそ寝込みを襲ってやるから覚悟しておけ」
[完]
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