19 / 44
17 新しい日々
しおりを挟む
すみません、15話が抜けていました。
お手数ですが、よろしくおねがいします。
*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*
シスイはレヴィンとともに学園の事務局のドアを潜った。その首には真新しい銀色のタグが下がっている。そのタグの表には『シスイ』裏には『レヴィン』と掘られている。
「三年魔術科のレヴィンです。使い魔の登録に来ました」
担当の教師に挨拶をすると、教師は驚きながらもにこにこして頷いている。
「良かったですね。かわいいですねえ。犬……じゃないんですよね?」
「わふ!」
「あ、はい。譲ってもらったんですが、犬でもないし魔法も使えるんだそうです」
触っても? と断ってから教師はシスイを撫でた。
「大きいですね。今寮は三人部屋でしたよね? うーん、入りきれるかな」
それを聞いていたほかの教師が横から話しかけてきた。
「君は転科を希望していたな? ちょっと待っていなさい」
と調べに行き、書類を持って戻ってきた。
「希望が通ってるよ。騎士科の三―A組に変更された。学科の試験が良かったんだろう」
Aクラスは優秀な者が入れるクラスだ。確か第一王子のリーンハルトと側近のルーク・ラットンもいたはずだ。
レヴィンは目を輝かせて喜んだ。
「ちょうどいい。騎士科の寮に移るといい。三百五号室が空いている。大きな使い魔がいるならひとり部屋のほうがいいだろう」
「手続きはやっておきますから、引っ越しをしに行くといいですよ。あとで必要な制服や教科書を購買で買ってください」
「はい! ありがとうございます!」
頭を深く下げ、軽い足取りでレヴィンは今の部屋に戻っていった。
部屋に入りきれないシスイは廊下で待つことにした。中には同室者が二人ともいて、ちらりとこちらを見たが興味なさげだ。嫌われてはないが、実技で落ちこぼれ、暗くてつきあいの悪いレヴィンには興味もない。
レヴィンはおずおずと口を開いた。
「あ、あの……僕、転科したので寮を移りますね。今までありがとうございました」
ベッドに寝ころんで本を読んでいたほうは聞こえなかったのか反応がなかったが、勉強をしていたほうは「あ、そう。広くなるね。バイバイ」と返事をした。
手早く少ない荷物を片付け、廊下に出る。待っていたシスイを連れて寮を移動した。
引っ越し先はそれほど広くないひとり部屋だった。ベッドと机とタンスがひとつずつある。それを見たシスイは、収納からカーペットと自分用のソファを出した。
はっきりとシスイの魔法を見ることができたレヴィンは歓声をあげた。ネームタグを収納したときはよく見えていなかったのだ。
「わあ、すごいね! ほかに何ができるの?」
シスイは得意げな顔をしながらもうひとつ小さなテーブルと椅子を出し、さらにその上に串焼きとジュースを出した。そしてジュースに魔法で作った氷をコロンと入れる。
珍しい『収納』そして『氷』の魔法にレヴィンは感心しきりだ。
「僕どっちも初めて見たよ。シスイはすごいんだねえ! こんな僕にはもったいないよ。ほんとに良かったの?」
シスイはペロリとレヴィンの手を舐めた。それから鼻で串焼きの皿を押した。
「ありがとう! 頂くね」
今日外に出ていたレヴィンは昼食を抜いていたのだ。夕食まで、これで空腹が凌げそうだ。
「あっ! シスイは何を食べるの? 人間のものでも平気?」
シスイは少し考え、首を振った。レヴィンに余計な出費をさせたくない。街でまとめ買いをしておこう。
(ジルなら喜んでごちそうしてくれそうだ。たまには行こうかな)
心配そうなレヴィンに、シスイは尾を振って応えた。反射的に手が自然とシスイを撫でまわす。ふかふかでいい気持ちだ。シスイもうっとりと目を細めている。
結局、その日はレヴィンが食堂に行っている間に街に出て、必要なものを買いたした。主に食料品だ。それからやすらぎ亭で夕食を食べた。
ついでにシャワーを浴びて戻ったシスイは、自分のソファで眠った。レヴィンはいろいろなことがいっぺんにあったことや、明日からの期待と不安でしばらくベッドでもぞもぞしていたが、やがてすうすうと寝息をたてて眠っていた。
あくる朝、昨日購買で買ってきた騎士科の制服に身を包み、鞄に新しい教科書を入れ、緊張と希望で固くなりながら寮を出た。もちろんシスイもいっしょだ。使い魔は連れて行っても行かなくてもいいのだ。
三―Aクラスの入り口で、レヴィンは一度深呼吸し、教室に入っていった。シスイは大きすぎるからと、教室の一番後ろに行き、クッションを出してそこで勝手にくつろいでいる。クラスメイトは興味深そうに、そんなレヴィンとシスイの様子を伺っている。
シスイに近い一番後ろの席についたレヴィンに、前に座っていた生徒が話しかけてきた。
「君転科してきたんだって? 使い魔までいるのにどうしてだい? 君の使い魔かわいいね! あとで触ってもいい?」
矢継ぎ早な質問に、レヴィンは順番に答えた。
「シスイが嫌がらなければ触ってもいいよ。転科したのは魔力はあるのに魔法が下手で悩んでたら、ある人に騎士科を勧められたから」
「へえ! そういうこともあるんだねえ。俺ネージュ。よろしくね」
人の良さそうな、明るい笑顔でその男の子は自己紹介してくれた。ミルクティ色のふわふわ巻き毛のかわいらしい子だ。でも騎士科なのだからきっと強いんだろう。優しく声をかけてくれる人がいて、レヴィンはずいぶんと心強かった。
そのとき、前のドアからリーンハルト・アングレア第一王子と、側近のルーク・ラットンが入ってきた。挨拶を受けながら前のほうの席につく。
レヴィンはしばらくネージュと話しながらそっと王子のことも観察した。金髪で、甘く艶やかな美しい面差しの王子は、美丈夫で知られた初代国王を彷彿とさせる。
そんなことを考えているといつの間に一時限目が始まっていた。授業の内容は共通点が多く、大丈夫そうだ。
次は問題の実技の授業だ。親切なネージュがいっしょに演習場に行ってくれてレヴィンはありがたかった。ネージュもシスイに触れてうれしそうだ。しかし初めての騎士科の実技の授業。レヴィンは緊張していた。
「君が転科してきたレヴィンか」
「はい」
「剣はやったことがあるのか?」
「いいえ、ありません……」
教師に聞かれ、レヴィンは不安そうに返事をした。商人の子供なので剣は持ったことさえない。教師はシスイに目をやり、さらに質問してきた。
「あれは君の使い魔か。使い魔がいるなら魔術科に在籍していたほうが良かったんじゃないのか?」
その言葉で、さっきは気づいていなかったリーンハルト王子もシスイに注目する。とたんに目を瞠ったと思うとすごい勢いで近づいてきた。
「リーンハルト様!」
ルークが慌てて追いかけている。それを無視してレヴィンの前まで来た。
「君、転科してきたのか」
「は、はい。そうです」
緊張して噛まないで答えるのが精一杯だ。
「君、この犬が君の使い魔というのは本当か。名はなんだ」
「シスイと申します、殿下」
「なにっ!? それは君がつけたのか?」
リーンハルトはレヴィンの肩を掴んだ。レヴィンは怖くなって震える声で返事をした。
「い、いいえ。譲りうけたときにはもうシスイという名前でした」
「リーンハルト様! どうなさったんですか」
リーンハルトはルークに答えることなく、シスイの前に跪いた。
そしてシスイに何かをささやき、わふと言われて満足したリーンハルトは、素早く立ちあがった。
「授業を中断して申し訳ない。勘違いだったようだ。そなたもすまなかったな」
と、リーンハルトは凛とした声で謝罪をした。教師は咳払いをし、授業を続ける。
「では二人一組になれ。レヴィンは私が教える」
教師は最初は初心者のレヴィンに教えてくれるようだ。剣の持ち方、構え方、振り方などを指導し、そのまま素振りをするようにと言い残してほかの生徒のところを回りはじめた。
最初の一週間は素振りをさせられ、それからだんだんと技を習っていった。確かにレヴィンには剣術のほうが向いていたようで、めきめきと力をつけていった。
レヴィンにとっては困ったことに、たまにリーンハルトがシスイを構いに教室の後ろにやってくるようになった。シスイのほうは何やらリーンハルトに懐いている。
その上、リーンハルトはレヴィンに根掘り葉掘り質問してくるようになった。両親の名前まで聞かれたときは不思議で仕方がなかった。
リーンハルトが来ないときはほかのクラスメイトたちがシスイを触りに来た。シスイのおかげで友人が増え、順風満帆なリスタートとなった。それを見ているシスイもうれしそうだ。
いっぽう、シスイはリーンハルトにばれてドキドキだった。
『その紫の瞳、聖獣シスイ様ですよね? 肖像画がございます。今度はその者、ですか?』
リーンハルトに耳元でささやかれた内容である。同じ教室に王子がいることを知って、覚悟はしていたが美形の王子の迫力に押され気味になってしまった。
あの肖像画のせいで何度こんな目にあったことか。しかし、一枚しかない大事なユークリッドの肖像画だ。それをどうこうするつもりはない。いや、実は使っていない携帯を収納に入れておいて、肖像画の写真を撮りに行き、保存して印刷していたりする。
シスイに気がついたリーンハルトはレヴィンが王族であるのも気がついたようだ。レヴィンのことを調査している。幸いにして、好奇心だけで悪い感情は持っていないように見える。
だが第一王子の自分よりレヴィンを優先したことは、喜ばしいことではないに違いない。そのことも踏まえ、レヴィンの次に大事にするという態度を示しているシスイの意図を、リーンハルトは理解しているようだ。
お手数ですが、よろしくおねがいします。
*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*:...:*
シスイはレヴィンとともに学園の事務局のドアを潜った。その首には真新しい銀色のタグが下がっている。そのタグの表には『シスイ』裏には『レヴィン』と掘られている。
「三年魔術科のレヴィンです。使い魔の登録に来ました」
担当の教師に挨拶をすると、教師は驚きながらもにこにこして頷いている。
「良かったですね。かわいいですねえ。犬……じゃないんですよね?」
「わふ!」
「あ、はい。譲ってもらったんですが、犬でもないし魔法も使えるんだそうです」
触っても? と断ってから教師はシスイを撫でた。
「大きいですね。今寮は三人部屋でしたよね? うーん、入りきれるかな」
それを聞いていたほかの教師が横から話しかけてきた。
「君は転科を希望していたな? ちょっと待っていなさい」
と調べに行き、書類を持って戻ってきた。
「希望が通ってるよ。騎士科の三―A組に変更された。学科の試験が良かったんだろう」
Aクラスは優秀な者が入れるクラスだ。確か第一王子のリーンハルトと側近のルーク・ラットンもいたはずだ。
レヴィンは目を輝かせて喜んだ。
「ちょうどいい。騎士科の寮に移るといい。三百五号室が空いている。大きな使い魔がいるならひとり部屋のほうがいいだろう」
「手続きはやっておきますから、引っ越しをしに行くといいですよ。あとで必要な制服や教科書を購買で買ってください」
「はい! ありがとうございます!」
頭を深く下げ、軽い足取りでレヴィンは今の部屋に戻っていった。
部屋に入りきれないシスイは廊下で待つことにした。中には同室者が二人ともいて、ちらりとこちらを見たが興味なさげだ。嫌われてはないが、実技で落ちこぼれ、暗くてつきあいの悪いレヴィンには興味もない。
レヴィンはおずおずと口を開いた。
「あ、あの……僕、転科したので寮を移りますね。今までありがとうございました」
ベッドに寝ころんで本を読んでいたほうは聞こえなかったのか反応がなかったが、勉強をしていたほうは「あ、そう。広くなるね。バイバイ」と返事をした。
手早く少ない荷物を片付け、廊下に出る。待っていたシスイを連れて寮を移動した。
引っ越し先はそれほど広くないひとり部屋だった。ベッドと机とタンスがひとつずつある。それを見たシスイは、収納からカーペットと自分用のソファを出した。
はっきりとシスイの魔法を見ることができたレヴィンは歓声をあげた。ネームタグを収納したときはよく見えていなかったのだ。
「わあ、すごいね! ほかに何ができるの?」
シスイは得意げな顔をしながらもうひとつ小さなテーブルと椅子を出し、さらにその上に串焼きとジュースを出した。そしてジュースに魔法で作った氷をコロンと入れる。
珍しい『収納』そして『氷』の魔法にレヴィンは感心しきりだ。
「僕どっちも初めて見たよ。シスイはすごいんだねえ! こんな僕にはもったいないよ。ほんとに良かったの?」
シスイはペロリとレヴィンの手を舐めた。それから鼻で串焼きの皿を押した。
「ありがとう! 頂くね」
今日外に出ていたレヴィンは昼食を抜いていたのだ。夕食まで、これで空腹が凌げそうだ。
「あっ! シスイは何を食べるの? 人間のものでも平気?」
シスイは少し考え、首を振った。レヴィンに余計な出費をさせたくない。街でまとめ買いをしておこう。
(ジルなら喜んでごちそうしてくれそうだ。たまには行こうかな)
心配そうなレヴィンに、シスイは尾を振って応えた。反射的に手が自然とシスイを撫でまわす。ふかふかでいい気持ちだ。シスイもうっとりと目を細めている。
結局、その日はレヴィンが食堂に行っている間に街に出て、必要なものを買いたした。主に食料品だ。それからやすらぎ亭で夕食を食べた。
ついでにシャワーを浴びて戻ったシスイは、自分のソファで眠った。レヴィンはいろいろなことがいっぺんにあったことや、明日からの期待と不安でしばらくベッドでもぞもぞしていたが、やがてすうすうと寝息をたてて眠っていた。
あくる朝、昨日購買で買ってきた騎士科の制服に身を包み、鞄に新しい教科書を入れ、緊張と希望で固くなりながら寮を出た。もちろんシスイもいっしょだ。使い魔は連れて行っても行かなくてもいいのだ。
三―Aクラスの入り口で、レヴィンは一度深呼吸し、教室に入っていった。シスイは大きすぎるからと、教室の一番後ろに行き、クッションを出してそこで勝手にくつろいでいる。クラスメイトは興味深そうに、そんなレヴィンとシスイの様子を伺っている。
シスイに近い一番後ろの席についたレヴィンに、前に座っていた生徒が話しかけてきた。
「君転科してきたんだって? 使い魔までいるのにどうしてだい? 君の使い魔かわいいね! あとで触ってもいい?」
矢継ぎ早な質問に、レヴィンは順番に答えた。
「シスイが嫌がらなければ触ってもいいよ。転科したのは魔力はあるのに魔法が下手で悩んでたら、ある人に騎士科を勧められたから」
「へえ! そういうこともあるんだねえ。俺ネージュ。よろしくね」
人の良さそうな、明るい笑顔でその男の子は自己紹介してくれた。ミルクティ色のふわふわ巻き毛のかわいらしい子だ。でも騎士科なのだからきっと強いんだろう。優しく声をかけてくれる人がいて、レヴィンはずいぶんと心強かった。
そのとき、前のドアからリーンハルト・アングレア第一王子と、側近のルーク・ラットンが入ってきた。挨拶を受けながら前のほうの席につく。
レヴィンはしばらくネージュと話しながらそっと王子のことも観察した。金髪で、甘く艶やかな美しい面差しの王子は、美丈夫で知られた初代国王を彷彿とさせる。
そんなことを考えているといつの間に一時限目が始まっていた。授業の内容は共通点が多く、大丈夫そうだ。
次は問題の実技の授業だ。親切なネージュがいっしょに演習場に行ってくれてレヴィンはありがたかった。ネージュもシスイに触れてうれしそうだ。しかし初めての騎士科の実技の授業。レヴィンは緊張していた。
「君が転科してきたレヴィンか」
「はい」
「剣はやったことがあるのか?」
「いいえ、ありません……」
教師に聞かれ、レヴィンは不安そうに返事をした。商人の子供なので剣は持ったことさえない。教師はシスイに目をやり、さらに質問してきた。
「あれは君の使い魔か。使い魔がいるなら魔術科に在籍していたほうが良かったんじゃないのか?」
その言葉で、さっきは気づいていなかったリーンハルト王子もシスイに注目する。とたんに目を瞠ったと思うとすごい勢いで近づいてきた。
「リーンハルト様!」
ルークが慌てて追いかけている。それを無視してレヴィンの前まで来た。
「君、転科してきたのか」
「は、はい。そうです」
緊張して噛まないで答えるのが精一杯だ。
「君、この犬が君の使い魔というのは本当か。名はなんだ」
「シスイと申します、殿下」
「なにっ!? それは君がつけたのか?」
リーンハルトはレヴィンの肩を掴んだ。レヴィンは怖くなって震える声で返事をした。
「い、いいえ。譲りうけたときにはもうシスイという名前でした」
「リーンハルト様! どうなさったんですか」
リーンハルトはルークに答えることなく、シスイの前に跪いた。
そしてシスイに何かをささやき、わふと言われて満足したリーンハルトは、素早く立ちあがった。
「授業を中断して申し訳ない。勘違いだったようだ。そなたもすまなかったな」
と、リーンハルトは凛とした声で謝罪をした。教師は咳払いをし、授業を続ける。
「では二人一組になれ。レヴィンは私が教える」
教師は最初は初心者のレヴィンに教えてくれるようだ。剣の持ち方、構え方、振り方などを指導し、そのまま素振りをするようにと言い残してほかの生徒のところを回りはじめた。
最初の一週間は素振りをさせられ、それからだんだんと技を習っていった。確かにレヴィンには剣術のほうが向いていたようで、めきめきと力をつけていった。
レヴィンにとっては困ったことに、たまにリーンハルトがシスイを構いに教室の後ろにやってくるようになった。シスイのほうは何やらリーンハルトに懐いている。
その上、リーンハルトはレヴィンに根掘り葉掘り質問してくるようになった。両親の名前まで聞かれたときは不思議で仕方がなかった。
リーンハルトが来ないときはほかのクラスメイトたちがシスイを触りに来た。シスイのおかげで友人が増え、順風満帆なリスタートとなった。それを見ているシスイもうれしそうだ。
いっぽう、シスイはリーンハルトにばれてドキドキだった。
『その紫の瞳、聖獣シスイ様ですよね? 肖像画がございます。今度はその者、ですか?』
リーンハルトに耳元でささやかれた内容である。同じ教室に王子がいることを知って、覚悟はしていたが美形の王子の迫力に押され気味になってしまった。
あの肖像画のせいで何度こんな目にあったことか。しかし、一枚しかない大事なユークリッドの肖像画だ。それをどうこうするつもりはない。いや、実は使っていない携帯を収納に入れておいて、肖像画の写真を撮りに行き、保存して印刷していたりする。
シスイに気がついたリーンハルトはレヴィンが王族であるのも気がついたようだ。レヴィンのことを調査している。幸いにして、好奇心だけで悪い感情は持っていないように見える。
だが第一王子の自分よりレヴィンを優先したことは、喜ばしいことではないに違いない。そのことも踏まえ、レヴィンの次に大事にするという態度を示しているシスイの意図を、リーンハルトは理解しているようだ。
0
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる