孤高の羊王とはぐれ犬

藤間留彦

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最終話 気高き羊王と運命の番⑤

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「っ……ふ、ん……」

 口を割って中にアルの舌が入ってくる。息が上がっているところに口を塞がれたせいか、頭がぼんやりとしてきて、でもどうしてかとても心地いいのだ。むしろアルに触れられている部分が熱を持って、もっと触れて欲しいと思ってしまう。

「ふぁ……ん、っ……」

 アルの手が俺の尻尾を撫ぜる。根元から先端に向かって触れると、ぞわぞわと腹の下の方に熱が溜まっていくような感覚があって、自分の意志とは無関係に腰がびくっと動いた。

「私の首に腕を回せるか」

 唇が離れ、朦朧としながら腕を伸ばしアルの首にしがみつくと、アルはそのまま俺の身体を抱え上げて、開け放たれていた俺の部屋に入った。そしてベッドの上に俺を横たえさせる。
 太陽が地平線の向こうから顔を出そうとしているのだろう。外が少しずつ明るくなって、アルの姿が浮かび上がった。

「ア、ルっ……」

 俺の上に覆い被さるようにして、再び唇を重ねる。それがとても気持ちが良いものだから、俺はアルの行為に身を委ねた。

「っ、ん……や、ぁ……」

 いつの間にかアルが俺の上着を捲り上げていた。そして、耳を食みながら、両胸の乳首を指で摘まむようにして触れる。耳の弱い所を甘噛みされて、腰が反射的にびくんと動いた。
 脱力したまま上着を脱がされる。そして、下も下着ごと引き下ろされた。

「……ロポ、少し辛い格好をさせるぞ」

 そう言うと俺の両足を持ち上げて、背中に敷いていた尻尾が前に回るような格好になる。
 その格好になって、気付いた。自分の両脚の付け根にある竿が、勃ち上がっているのを。そしてその尖端から尿とは違う透明な液体が、溢れ出ているのを。

「う、あ……!」

 異物が自分の中に入ってくる感覚に思わず声が出て、何が起こったのかアルの手元を見た。アルの細く長い指が、俺の尻の孔にゆっくりと入っていくのが見える。

「狭いが……濡れてるな。指が根元まで入る」
「あ、う……っあ、ぁ……」

 なんでそんなことを、と思うけれど、アルの指が俺の中を押し拡げるように動くと、腹の奥の方がむず痒くなって腰が勝手に動いた。

「気持ちいいのか、ロポ」
「分かん、ないっ……」
「……ならばもう少し触るぞ」

 更に指がもう一本中に入ってきて、掻き回すように動く。その指の動きに合わせて、ぐちゅぐちゅと水の音が聞こえてくる。
 さっきアルは濡れていると言っていた。この音は俺の孔から聞こえてくるものなのだ。

「もぅ、やだあぁ……!」

 竿の先から、尻の孔から液体を溢れ出させているなんて、まるでお漏らしでもしているような気分になって一気に恥ずかしくなった。
 しかし、嫌だと言いながら、アルが俺の中を掻き回す度にもっと触って欲しいという気分にもなっているのだから、訳が分からない。
 と、唐突に指が引き抜かれて呆気にとられる。腹の奥の方で、治りかけの傷のようなむず痒さが残っていて、まだ、もう少し、と熱っぽい身体を持て余していた。

 アルが上着を脱いで、熱い息を吐き出す。アルの裸を見るのは初めてだった。真っ白の肌に、余計な脂肪が無いせいか、影が筋肉の形を縁取っている。まるで初めに神に創られたもののように美しい姿に、吐息を漏らした。そして、下の服と下着を脱ぎ捨てると、彼の両肢の間にあるそれに気付いた。

 俺と同じような状態になっている、と思った、が──あまりに大きさが違い過ぎる。アルの方が身体が大きいからなのか、アルガリとヤブイヌの種族の差、またはαとΩの性質の差なのか分からないけれど、どう見ても俺の倍以上の長さと太さがある。

「ロポ」

 驚いて見ているとアルが上体を倒して俺に覆い被さった。その時、硬いものが孔に当たっている感触がした。まさか──。
 一瞬逃げたくなったが、直ぐ近くのアルの苦しそうに綺麗な顔を歪めているのを見て恐ろしさは消えた。
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