46 / 50
最終話 星と海
最終話 星と海⑤
しおりを挟む
流星の身体を搔き抱いて、もう一度唇を重ねた。湧き上がる衝動のまま、貪るように唇を食む。流星が息苦しそうに薄く開いた口を舌で抉じ開け、上顎の裏を撫ぜた。
「ふっ……ん……」
身体がびくっと震える。逃げられないように腰を引き寄せ、舌を絡ませて唇を塞ぐと、俺の背にしがみつくようにコートを両手で掴んだ。
唇を離すと、唾液が絡み合って艶めかしい音が響いた。流星は腰が砕けそうなのを俺の腕を掴んで耐える。そして恍惚として俺を見上げた。
口端から唾液が垂れ落ち、俺がそれを舐め取ると流星は顔を真っ赤にして俺から身体を離した。その時、ようやく流星の下半身が反応しているのに気付いた。
「悪い、やり過ぎた」
流星の初々しい反応を見て、こういうことの経験が浅いのだろうかと思う。夜の街に歌手活動のためとはいえ出入りしていれば、大なり小なり誘惑がありそうなものだが。
「冷えてきただろう。車に戻ろう」
流星は少し間を置いて頷く。俺が先に歩き出すと、後ろから黙ったままついてきた。助手席のドアを開けて先に座らせてから、車に乗り込む。
エンジンを掛け、バックミラーを確認する時に、流星の方をちらりと確認する。膝の上に手を置いたまま俯いている。流星に触れたい衝動が高まって、自分本位なことをしてしまった。
およそ恋愛などしたことがなく、今まで性欲処理のための相手しかいなかった上、皆経験豊富な夜職の女だ。経験の少ない流星にはあまりに性急過ぎた。心の準備ができるまでは、直接的な接触は控えよう。
「……家まで、我慢できない」
車を近くにあったコンビニでUターンさせて、来た道を戻り始めた時だった。黙っていた流星が、ぼそりと呟く。
「抱いて、欲しい」
その言葉に、見詰める視線に、俺は思わず正面を向いたまま喉を鳴らした。
街道沿いに派手な照明の建物が見える。ウインカーを出してその建物の駐車場に入った。
「ここがどこか分かるか?」
「わか、る……」
流星の緊張感が伝わってきて、心音が早くなる。煙草が吸いたい。落ち着かない。唇を触って湧き上がる衝動に戸惑う。
「もし嫌なら、殴ってでも止めてくれ。さっきみたいに、お前の嫌がることしちまいそうだ」
「ち、違う! さっきは嫌じゃなくて……兄ちゃんに、引かれたくなくて……」
「引く? わけねえだろ」
流星の方を向くと、頬を赤く染め、吐息を零して俯いた。
「……キスだけで、イった、から……」
内股になって、居心地悪そうに膝を合わせるのを見て、大きな溜息を吐いて車を降りた。そして助手席のドアを開ける。
「あんまり煽るな。手加減できなくなる」
流星は俺を見上げた後、唇をきつく閉じて車から降りた。衝動を抑えるのに必死でつい険しい顔をしていたようで、流星を萎縮させてしまった。
俺は流星の先を行き、フロントのタッチパネルで適当な部屋を選ぶ。奥にあるエレベーターで選んだ部屋の階数ボタンを押した。
エレベーターを降りて一番奥の部屋だった。流星を先に通してから中に入ると、左手に浴室、正面にベッドルームがあった。
「手加減、しなくていい」
ベッドの前で俺を振り返り、強請るような視線を向ける。
「兄ちゃんになら、何されてもいい」
「ふっ……ん……」
身体がびくっと震える。逃げられないように腰を引き寄せ、舌を絡ませて唇を塞ぐと、俺の背にしがみつくようにコートを両手で掴んだ。
唇を離すと、唾液が絡み合って艶めかしい音が響いた。流星は腰が砕けそうなのを俺の腕を掴んで耐える。そして恍惚として俺を見上げた。
口端から唾液が垂れ落ち、俺がそれを舐め取ると流星は顔を真っ赤にして俺から身体を離した。その時、ようやく流星の下半身が反応しているのに気付いた。
「悪い、やり過ぎた」
流星の初々しい反応を見て、こういうことの経験が浅いのだろうかと思う。夜の街に歌手活動のためとはいえ出入りしていれば、大なり小なり誘惑がありそうなものだが。
「冷えてきただろう。車に戻ろう」
流星は少し間を置いて頷く。俺が先に歩き出すと、後ろから黙ったままついてきた。助手席のドアを開けて先に座らせてから、車に乗り込む。
エンジンを掛け、バックミラーを確認する時に、流星の方をちらりと確認する。膝の上に手を置いたまま俯いている。流星に触れたい衝動が高まって、自分本位なことをしてしまった。
およそ恋愛などしたことがなく、今まで性欲処理のための相手しかいなかった上、皆経験豊富な夜職の女だ。経験の少ない流星にはあまりに性急過ぎた。心の準備ができるまでは、直接的な接触は控えよう。
「……家まで、我慢できない」
車を近くにあったコンビニでUターンさせて、来た道を戻り始めた時だった。黙っていた流星が、ぼそりと呟く。
「抱いて、欲しい」
その言葉に、見詰める視線に、俺は思わず正面を向いたまま喉を鳴らした。
街道沿いに派手な照明の建物が見える。ウインカーを出してその建物の駐車場に入った。
「ここがどこか分かるか?」
「わか、る……」
流星の緊張感が伝わってきて、心音が早くなる。煙草が吸いたい。落ち着かない。唇を触って湧き上がる衝動に戸惑う。
「もし嫌なら、殴ってでも止めてくれ。さっきみたいに、お前の嫌がることしちまいそうだ」
「ち、違う! さっきは嫌じゃなくて……兄ちゃんに、引かれたくなくて……」
「引く? わけねえだろ」
流星の方を向くと、頬を赤く染め、吐息を零して俯いた。
「……キスだけで、イった、から……」
内股になって、居心地悪そうに膝を合わせるのを見て、大きな溜息を吐いて車を降りた。そして助手席のドアを開ける。
「あんまり煽るな。手加減できなくなる」
流星は俺を見上げた後、唇をきつく閉じて車から降りた。衝動を抑えるのに必死でつい険しい顔をしていたようで、流星を萎縮させてしまった。
俺は流星の先を行き、フロントのタッチパネルで適当な部屋を選ぶ。奥にあるエレベーターで選んだ部屋の階数ボタンを押した。
エレベーターを降りて一番奥の部屋だった。流星を先に通してから中に入ると、左手に浴室、正面にベッドルームがあった。
「手加減、しなくていい」
ベッドの前で俺を振り返り、強請るような視線を向ける。
「兄ちゃんになら、何されてもいい」
13
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
[R18]エリート一家の長兄が落ちこぼれ弟を(性的に)再教育する話
空き缶太郎
BL
(※R18・完結済)エリート一家・皇家に生まれた兄と弟。
兄は歴代の当主達を遥かに上回る才能の持ち主であったが、弟は対象的に優れた才能を持たない凡人であった。
徹底的に兄と比較され続けた結果グレてしまった弟。
そんな愚弟に現当主となった兄は…
(今回試験的にタイトルを長文系というか内容そのまま系のやつにしてみました)
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
とろけてなくなる
瀬楽英津子
BL
ヤクザの車を傷を付けた櫻井雅(さくらいみやび)十八歳は、多額の借金を背負わされ、ゲイ風俗で働かされることになってしまった。
連れて行かれたのは教育係の逢坂英二(おうさかえいじ)の自宅マンション。
雅はそこで、逢坂英二(おうさかえいじ)に性技を教わることになるが、逢坂英二(おうさかえいじ)は、ガサツで乱暴な男だった。
無骨なヤクザ×ドライな少年。
歳の差。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる