22 / 50
第四話 流星
第四話 流星⑤
しおりを挟む
そうしているうちに後ろが切なくなって、フローリングの上にコートを敷き、その上に四つん這いになる。妄想の中で兄ちゃんが「自分で拡げてみせてごらん」と冷たく囁く。
俺の妄想の中の兄ちゃんは、現実の兄ちゃんと違ってドSだ。それくらい人格を歪めないと兄ちゃんが俺を抱くなんて考えられない。
俺は下着を下ろし、指先に唾液を絡ませて、尻の狭間に指先を押し込んだ。しょっちゅう弄り回しているから、すんなりと指を受け入れる。
「っ……あ……」
後ろにいる兄ちゃんに見られているのを想像すると、思わず興奮して声が漏れた。
「そんなんじゃ兄ちゃんのは挿入らないだろう?」──そう言って兄ちゃんの太くごつごつした指が挿入ってきて、俺の前立腺を執拗に責め始める。
「あっ……あぁっ、兄ちゃん……」
言うまでもなく、実際には二本目の指を入れて刺激しているだけだが、ここまでくると兄ちゃんの匂いを嗅ぎながらの自慰行為に陶酔しているので、現実がどうかなどどうでもよくなっている。
「あっ、んっ……兄ちゃんっ……兄ちゃぁんっ」
指だけで気持ちよくなっている俺を見下ろしながら、兄ちゃんが「淫乱な弟だ。こうやって誰にでも股を開いてるんだろう」と嘲りの言葉を投げつける。それができたら、今こうして自慰なんかしてない、と理性がツッコミを入れるが、それも一瞬で消え失せた。
びりびりと指の腹で中を押し上げる度に快感が押し寄せ、絶頂に近づいているのがわかる。ぐちゅぐちゅと淫らな水音が響き、中が収縮して指を締め付けた。
「んッ、あっあぁッ……!」
雷に打たれたかのように一瞬目の前が明滅し、びくびくと腰が激しく痙攣する。同時に快感が突き抜けていった。
息を整え、ようやく正気に戻り始めると、尻穴から指を引き抜き、身体を起こす。そして兄ちゃんのコートとその上に撒き散らされた白濁を見て、自分がしたことながら、引いてしまった。
テーブルの上のティッシュボックスを手に取り、ティッシュで尻と指、そしてコートにこびりついた精液を拭う。しかし染みは取れそうにない。明日クリーニングに出すしかない。
──兄ちゃんに貰ったものをこんなことに使って、汚して、最低だ。
自分の浅ましさに、醜さに、泣きたくなった。兄ちゃんが好きだという気持ちも不純で下劣なものに思えて、胸が苦しい。
溜息をつき、ズボンを穿いてコートを部屋の端に置いてベッドに潜り込んだ。昔兄ちゃんが背中を優しく叩いて寝かしつけてくれていたことをぼんやりと思い出しながら、身体を丸くして眠りについた。
「りゅーせー、起きてるかー?」
聞き慣れた男の声。決して飛び起きるようなことはない。うつ伏せになって、もう一度寝直そうとすると、力づくで布団を引き剥がされた。
「いい加減起きろよ! もう昼だぞ!」
「……うるせー……」
しかめっ面で身体を起こすと、窓の外から明るい光が差し込んでいた。賢太が溜息を吐きながらベッド脇の照明を消す。
「あ、兄貴のコート」
その言葉に慌ててベッドを降り、賢太の手からコートをひったくった。
「さ、触んなッ! 兄ちゃんが俺にくれたんだよッ!」
賢太は俺、近くに置かれたティッシュボックス、ゴミ箱と順に見る。
「お前……やったな?」
「な、何をだよ⁉︎」
俺の妄想の中の兄ちゃんは、現実の兄ちゃんと違ってドSだ。それくらい人格を歪めないと兄ちゃんが俺を抱くなんて考えられない。
俺は下着を下ろし、指先に唾液を絡ませて、尻の狭間に指先を押し込んだ。しょっちゅう弄り回しているから、すんなりと指を受け入れる。
「っ……あ……」
後ろにいる兄ちゃんに見られているのを想像すると、思わず興奮して声が漏れた。
「そんなんじゃ兄ちゃんのは挿入らないだろう?」──そう言って兄ちゃんの太くごつごつした指が挿入ってきて、俺の前立腺を執拗に責め始める。
「あっ……あぁっ、兄ちゃん……」
言うまでもなく、実際には二本目の指を入れて刺激しているだけだが、ここまでくると兄ちゃんの匂いを嗅ぎながらの自慰行為に陶酔しているので、現実がどうかなどどうでもよくなっている。
「あっ、んっ……兄ちゃんっ……兄ちゃぁんっ」
指だけで気持ちよくなっている俺を見下ろしながら、兄ちゃんが「淫乱な弟だ。こうやって誰にでも股を開いてるんだろう」と嘲りの言葉を投げつける。それができたら、今こうして自慰なんかしてない、と理性がツッコミを入れるが、それも一瞬で消え失せた。
びりびりと指の腹で中を押し上げる度に快感が押し寄せ、絶頂に近づいているのがわかる。ぐちゅぐちゅと淫らな水音が響き、中が収縮して指を締め付けた。
「んッ、あっあぁッ……!」
雷に打たれたかのように一瞬目の前が明滅し、びくびくと腰が激しく痙攣する。同時に快感が突き抜けていった。
息を整え、ようやく正気に戻り始めると、尻穴から指を引き抜き、身体を起こす。そして兄ちゃんのコートとその上に撒き散らされた白濁を見て、自分がしたことながら、引いてしまった。
テーブルの上のティッシュボックスを手に取り、ティッシュで尻と指、そしてコートにこびりついた精液を拭う。しかし染みは取れそうにない。明日クリーニングに出すしかない。
──兄ちゃんに貰ったものをこんなことに使って、汚して、最低だ。
自分の浅ましさに、醜さに、泣きたくなった。兄ちゃんが好きだという気持ちも不純で下劣なものに思えて、胸が苦しい。
溜息をつき、ズボンを穿いてコートを部屋の端に置いてベッドに潜り込んだ。昔兄ちゃんが背中を優しく叩いて寝かしつけてくれていたことをぼんやりと思い出しながら、身体を丸くして眠りについた。
「りゅーせー、起きてるかー?」
聞き慣れた男の声。決して飛び起きるようなことはない。うつ伏せになって、もう一度寝直そうとすると、力づくで布団を引き剥がされた。
「いい加減起きろよ! もう昼だぞ!」
「……うるせー……」
しかめっ面で身体を起こすと、窓の外から明るい光が差し込んでいた。賢太が溜息を吐きながらベッド脇の照明を消す。
「あ、兄貴のコート」
その言葉に慌ててベッドを降り、賢太の手からコートをひったくった。
「さ、触んなッ! 兄ちゃんが俺にくれたんだよッ!」
賢太は俺、近くに置かれたティッシュボックス、ゴミ箱と順に見る。
「お前……やったな?」
「な、何をだよ⁉︎」
1
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる