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第四話 流星
第四話 流星⑤
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そうしているうちに後ろが切なくなって、フローリングの上にコートを敷き、その上に四つん這いになる。妄想の中で兄ちゃんが「自分で拡げてみせてごらん」と冷たく囁く。
俺の妄想の中の兄ちゃんは、現実の兄ちゃんと違ってドSだ。それくらい人格を歪めないと兄ちゃんが俺を抱くなんて考えられない。
俺は下着を下ろし、指先に唾液を絡ませて、尻の狭間に指先を押し込んだ。しょっちゅう弄り回しているから、すんなりと指を受け入れる。
「っ……あ……」
後ろにいる兄ちゃんに見られているのを想像すると、思わず興奮して声が漏れた。
「そんなんじゃ兄ちゃんのは挿入らないだろう?」──そう言って兄ちゃんの太くごつごつした指が挿入ってきて、俺の前立腺を執拗に責め始める。
「あっ……あぁっ、兄ちゃん……」
言うまでもなく、実際には二本目の指を入れて刺激しているだけだが、ここまでくると兄ちゃんの匂いを嗅ぎながらの自慰行為に陶酔しているので、現実がどうかなどどうでもよくなっている。
「あっ、んっ……兄ちゃんっ……兄ちゃぁんっ」
指だけで気持ちよくなっている俺を見下ろしながら、兄ちゃんが「淫乱な弟だ。こうやって誰にでも股を開いてるんだろう」と嘲りの言葉を投げつける。それができたら、今こうして自慰なんかしてない、と理性がツッコミを入れるが、それも一瞬で消え失せた。
びりびりと指の腹で中を押し上げる度に快感が押し寄せ、絶頂に近づいているのがわかる。ぐちゅぐちゅと淫らな水音が響き、中が収縮して指を締め付けた。
「んッ、あっあぁッ……!」
雷に打たれたかのように一瞬目の前が明滅し、びくびくと腰が激しく痙攣する。同時に快感が突き抜けていった。
息を整え、ようやく正気に戻り始めると、尻穴から指を引き抜き、身体を起こす。そして兄ちゃんのコートとその上に撒き散らされた白濁を見て、自分がしたことながら、引いてしまった。
テーブルの上のティッシュボックスを手に取り、ティッシュで尻と指、そしてコートにこびりついた精液を拭う。しかし染みは取れそうにない。明日クリーニングに出すしかない。
──兄ちゃんに貰ったものをこんなことに使って、汚して、最低だ。
自分の浅ましさに、醜さに、泣きたくなった。兄ちゃんが好きだという気持ちも不純で下劣なものに思えて、胸が苦しい。
溜息をつき、ズボンを穿いてコートを部屋の端に置いてベッドに潜り込んだ。昔兄ちゃんが背中を優しく叩いて寝かしつけてくれていたことをぼんやりと思い出しながら、身体を丸くして眠りについた。
「りゅーせー、起きてるかー?」
聞き慣れた男の声。決して飛び起きるようなことはない。うつ伏せになって、もう一度寝直そうとすると、力づくで布団を引き剥がされた。
「いい加減起きろよ! もう昼だぞ!」
「……うるせー……」
しかめっ面で身体を起こすと、窓の外から明るい光が差し込んでいた。賢太が溜息を吐きながらベッド脇の照明を消す。
「あ、兄貴のコート」
その言葉に慌ててベッドを降り、賢太の手からコートをひったくった。
「さ、触んなッ! 兄ちゃんが俺にくれたんだよッ!」
賢太は俺、近くに置かれたティッシュボックス、ゴミ箱と順に見る。
「お前……やったな?」
「な、何をだよ⁉︎」
俺の妄想の中の兄ちゃんは、現実の兄ちゃんと違ってドSだ。それくらい人格を歪めないと兄ちゃんが俺を抱くなんて考えられない。
俺は下着を下ろし、指先に唾液を絡ませて、尻の狭間に指先を押し込んだ。しょっちゅう弄り回しているから、すんなりと指を受け入れる。
「っ……あ……」
後ろにいる兄ちゃんに見られているのを想像すると、思わず興奮して声が漏れた。
「そんなんじゃ兄ちゃんのは挿入らないだろう?」──そう言って兄ちゃんの太くごつごつした指が挿入ってきて、俺の前立腺を執拗に責め始める。
「あっ……あぁっ、兄ちゃん……」
言うまでもなく、実際には二本目の指を入れて刺激しているだけだが、ここまでくると兄ちゃんの匂いを嗅ぎながらの自慰行為に陶酔しているので、現実がどうかなどどうでもよくなっている。
「あっ、んっ……兄ちゃんっ……兄ちゃぁんっ」
指だけで気持ちよくなっている俺を見下ろしながら、兄ちゃんが「淫乱な弟だ。こうやって誰にでも股を開いてるんだろう」と嘲りの言葉を投げつける。それができたら、今こうして自慰なんかしてない、と理性がツッコミを入れるが、それも一瞬で消え失せた。
びりびりと指の腹で中を押し上げる度に快感が押し寄せ、絶頂に近づいているのがわかる。ぐちゅぐちゅと淫らな水音が響き、中が収縮して指を締め付けた。
「んッ、あっあぁッ……!」
雷に打たれたかのように一瞬目の前が明滅し、びくびくと腰が激しく痙攣する。同時に快感が突き抜けていった。
息を整え、ようやく正気に戻り始めると、尻穴から指を引き抜き、身体を起こす。そして兄ちゃんのコートとその上に撒き散らされた白濁を見て、自分がしたことながら、引いてしまった。
テーブルの上のティッシュボックスを手に取り、ティッシュで尻と指、そしてコートにこびりついた精液を拭う。しかし染みは取れそうにない。明日クリーニングに出すしかない。
──兄ちゃんに貰ったものをこんなことに使って、汚して、最低だ。
自分の浅ましさに、醜さに、泣きたくなった。兄ちゃんが好きだという気持ちも不純で下劣なものに思えて、胸が苦しい。
溜息をつき、ズボンを穿いてコートを部屋の端に置いてベッドに潜り込んだ。昔兄ちゃんが背中を優しく叩いて寝かしつけてくれていたことをぼんやりと思い出しながら、身体を丸くして眠りについた。
「りゅーせー、起きてるかー?」
聞き慣れた男の声。決して飛び起きるようなことはない。うつ伏せになって、もう一度寝直そうとすると、力づくで布団を引き剥がされた。
「いい加減起きろよ! もう昼だぞ!」
「……うるせー……」
しかめっ面で身体を起こすと、窓の外から明るい光が差し込んでいた。賢太が溜息を吐きながらベッド脇の照明を消す。
「あ、兄貴のコート」
その言葉に慌ててベッドを降り、賢太の手からコートをひったくった。
「さ、触んなッ! 兄ちゃんが俺にくれたんだよッ!」
賢太は俺、近くに置かれたティッシュボックス、ゴミ箱と順に見る。
「お前……やったな?」
「な、何をだよ⁉︎」
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