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第十七話 約束の夜⑤
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「安理、も……やめ、んっはぁ……!」
「指でイっちゃいそう。感じてる伊涼さんかわいい」
そう笑みを浮かべると、安理は唐突に指を引き抜いた。やめて欲しいと口では言ったが、身体はその刺激を求めていて、強請るような視線を彼に送る。と、私から離れ立ち上がった彼は、棚の上の小さな袋を取り口に咥えて、ズボンを下着ごと下ろした。
一糸纏わぬ姿で私の目の前に立つ安理の美しい姿に思わず吐息を漏らす。鍛えられ無駄が削ぎ落とされた肉体──猛り立つ彼の欲望さえ、造形美のひとつのようだった。
びり、と袋が破られる。そして取り出したゴムを硬く勃ち上がった茎に装着した。
「伊涼さん……俺が欲しい?」
私の両脚を抱えて上に覆い被さり、真っ直ぐに私を見る。
「俺はね、伊涼さんが欲しくて堪らないよ……言って? 俺が、欲しいって」
濡れそぼった搾まりに宛てがわれる硬いその感触に腹の下の辺りに疼きを覚える。甘える様な彼の声色に誘われるように、私は口を開いた。
「安理……君が、欲しい」
安理が嬉しそうに笑みを浮かべて、小さく息を吐いた──瞬間。
「ッは、あぁッ……!」
一気に奥まで太く長い杭が身体を貫いて、身体ががくがくと痙攣する。突き抜けていった快感に視界が一瞬明滅した。
「すごい……挿入れただけでイっちゃうなんて」
達したばかりで感じやすくなっていたのは確かにあるが、挿入だけで、など記憶に無い。それも射精に依るものじゃない──中イキだ。
「すごくえっちだね、伊涼さん……もっと俺に感じてるとこ見せて……?」
「あァッ……! まっ……あッ、んり……!」
安理は何度も私の中に杭を最奥まで突き立てた。制止しようと伸ばした手を、寄せては返す波の様に何度も襲い来る快感に溺れそうになって、堪らず彼の首に回した。
「伊涼さんの中……うねって、ぎゅって締め付けて、すごく気持ちいいよ……」
「は、ぁっ……あっ……!」
何度も激しく、奥深くまで穿つように腰を打ち付けられ、喘ぎ声が止まらない。その上ずっと腰が痙攣し続けていて、絶頂に達した状態が継続しているのだ。
気を抜くと意識を失いそうなほどの快感に、安理にしがみつく。また大きな波が襲い掛かった。
「ッ、んぁ……また、クるっ……!」
「俺も、イきそう……一緒に、イこっ……?」
「あッ、ァあ……!」
がくがくと激しく腰が痙攣し、身体を快感が突き抜けていった。一瞬意識が飛び、頭が真っ白になる。
「ッ……伊涼、さん……っ……!」
恍惚として見上げた先で、安理がびくっと身体を震わせ、最奥の肉壁に深く杭を突き立てて絶頂に達した。
「……伊涼さん好き、好きだよ」
安理が私の上に覆い被さる様にして抱きつく。
「ずっと一緒に居て、ねぇ……本当に、好き、大好きだから」
「安理……?」
声が、微かに震えている。
「お願いだから、どこにも行かないで」
まるでしがみつくように、縋るように私を抱きしめる。
なぜこんなことを言うのか、とようやく思考回路が回り始めて、思い出す。
安理は幼い頃に両親を亡くしている。両親を失ったことに、何も感じていないわけがない。
「指でイっちゃいそう。感じてる伊涼さんかわいい」
そう笑みを浮かべると、安理は唐突に指を引き抜いた。やめて欲しいと口では言ったが、身体はその刺激を求めていて、強請るような視線を彼に送る。と、私から離れ立ち上がった彼は、棚の上の小さな袋を取り口に咥えて、ズボンを下着ごと下ろした。
一糸纏わぬ姿で私の目の前に立つ安理の美しい姿に思わず吐息を漏らす。鍛えられ無駄が削ぎ落とされた肉体──猛り立つ彼の欲望さえ、造形美のひとつのようだった。
びり、と袋が破られる。そして取り出したゴムを硬く勃ち上がった茎に装着した。
「伊涼さん……俺が欲しい?」
私の両脚を抱えて上に覆い被さり、真っ直ぐに私を見る。
「俺はね、伊涼さんが欲しくて堪らないよ……言って? 俺が、欲しいって」
濡れそぼった搾まりに宛てがわれる硬いその感触に腹の下の辺りに疼きを覚える。甘える様な彼の声色に誘われるように、私は口を開いた。
「安理……君が、欲しい」
安理が嬉しそうに笑みを浮かべて、小さく息を吐いた──瞬間。
「ッは、あぁッ……!」
一気に奥まで太く長い杭が身体を貫いて、身体ががくがくと痙攣する。突き抜けていった快感に視界が一瞬明滅した。
「すごい……挿入れただけでイっちゃうなんて」
達したばかりで感じやすくなっていたのは確かにあるが、挿入だけで、など記憶に無い。それも射精に依るものじゃない──中イキだ。
「すごくえっちだね、伊涼さん……もっと俺に感じてるとこ見せて……?」
「あァッ……! まっ……あッ、んり……!」
安理は何度も私の中に杭を最奥まで突き立てた。制止しようと伸ばした手を、寄せては返す波の様に何度も襲い来る快感に溺れそうになって、堪らず彼の首に回した。
「伊涼さんの中……うねって、ぎゅって締め付けて、すごく気持ちいいよ……」
「は、ぁっ……あっ……!」
何度も激しく、奥深くまで穿つように腰を打ち付けられ、喘ぎ声が止まらない。その上ずっと腰が痙攣し続けていて、絶頂に達した状態が継続しているのだ。
気を抜くと意識を失いそうなほどの快感に、安理にしがみつく。また大きな波が襲い掛かった。
「ッ、んぁ……また、クるっ……!」
「俺も、イきそう……一緒に、イこっ……?」
「あッ、ァあ……!」
がくがくと激しく腰が痙攣し、身体を快感が突き抜けていった。一瞬意識が飛び、頭が真っ白になる。
「ッ……伊涼、さん……っ……!」
恍惚として見上げた先で、安理がびくっと身体を震わせ、最奥の肉壁に深く杭を突き立てて絶頂に達した。
「……伊涼さん好き、好きだよ」
安理が私の上に覆い被さる様にして抱きつく。
「ずっと一緒に居て、ねぇ……本当に、好き、大好きだから」
「安理……?」
声が、微かに震えている。
「お願いだから、どこにも行かないで」
まるでしがみつくように、縋るように私を抱きしめる。
なぜこんなことを言うのか、とようやく思考回路が回り始めて、思い出す。
安理は幼い頃に両親を亡くしている。両親を失ったことに、何も感じていないわけがない。
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