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第四章 革命
第四十二話
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フロアが静まり返る中、警備兵に押さえられているユンを見ると、総帥へ激しい怒りの感情をぶつけるように、睨み付けていた。ユンがこれほど怒っているのを見るのは、これが初めてだった。
「……さあ、エイクと言ったか? お前がこれで晴れて女王だ」
「何が女王だ……女王なんて、女なんて居やしない。こんな茶番に付き合ってられるか」
「そう言うな。不満なら、特別に私の番にしてやろう。お前が孕むまで他のΩは抱かないでいよう」
総帥は俺の身体を起こし、俺の肩を撫でた。七十を超えて未だ衰えないとは恐れ入る。
「残念ながら、もう俺はそこに居るお前の息子と番関係を結んだんだ。あんたの出る幕は無い」
そう俺が口にした時、総帥は初めてユンの方を見た。今までそこに居たことさえ知らなかったというくらいの反応だった。
「……そうか。ならば殺そう」
そう、総統が言った次の瞬間には、総統はユンの髪を掴み、顔面目掛けて膝を蹴り上げていた。
「ッ……!」
更に倒れ込んだユンの腹を蹴り付け仰向けにすると、喉を踏みつけにした。
「やめろッ! それ以上ユンに手を出すな! 俺がお前の言うとおりにすればいいんだろうがッ!」
総帥は俺の言葉にほくそ笑むと、ユンの首を圧迫していた足を退ける。息を止められていたために、ユンは咳き込みながら、ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返す。
「そうだ。殺されたくなければ、女王となって私の従順な妻になれ。なに、私は寛大だからな。私が相手をしない時は、好きにそれと交合えばいい。それぐらいの自由は与えてやろう」
そう言うと総帥は俺を縛っていた縄を解き、壇上の椅子に腰掛けた。この機にユンを助けようと思うが、警備兵が電流棒を持っていて、ユンに突き付けている。丸腰の俺では対抗できない。
「服を脱いでここに来い。お前の夫への忠誠心がいかばかりか、見てやろうじゃないか」
何て悪趣味な爺さんなんだ、と舌打ちして、一枚一枚服を脱いでいく。
「エイク、僕のことはいい! そんなことしないでくれ……! 君だけでも逃げて――」
「馬鹿なことを言うな。言っただろ、お前のことは俺が絶対守るって」
――どうか、この言葉遊びで平静さを取り戻してくれ。
合図を出すことはできない。αで総帥ともなる人間であれば、俺が少しでも可笑しな行動を取れば間違いなく気付くだろう。しかし、ユンならばきっと、起死回生の一手を思い付く。
下着を脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿で真っ直ぐに総帥の居る壇上へ階段を上った。そして椅子に座る、総帥の正面に立つ。
総帥の手が俺の肢の間に滑り込み、指先が女性器に触れた。
「ああ、良い形だ。そんなところまでソフィアに似るとは」
「っ……!」
指が挿入され、指先が壁に突き当たる。
「ここに肉棒を咥えたことはあるか? ソフィアにはいつも私の肉棒を半分ほど咥え込ませていたよ。私に憎悪の眼を向けて、苦痛に泣き叫ぶ彼女が愛おしかった。しかし、普段私を憎んでいても、発情期の時は挿入れて欲しいと泣いて縋るのだ。その醜い姿がまた愛おしくて愛おしくて……死ぬまで後ろの孔は使ってやらなかった」
「……さあ、エイクと言ったか? お前がこれで晴れて女王だ」
「何が女王だ……女王なんて、女なんて居やしない。こんな茶番に付き合ってられるか」
「そう言うな。不満なら、特別に私の番にしてやろう。お前が孕むまで他のΩは抱かないでいよう」
総帥は俺の身体を起こし、俺の肩を撫でた。七十を超えて未だ衰えないとは恐れ入る。
「残念ながら、もう俺はそこに居るお前の息子と番関係を結んだんだ。あんたの出る幕は無い」
そう俺が口にした時、総帥は初めてユンの方を見た。今までそこに居たことさえ知らなかったというくらいの反応だった。
「……そうか。ならば殺そう」
そう、総統が言った次の瞬間には、総統はユンの髪を掴み、顔面目掛けて膝を蹴り上げていた。
「ッ……!」
更に倒れ込んだユンの腹を蹴り付け仰向けにすると、喉を踏みつけにした。
「やめろッ! それ以上ユンに手を出すな! 俺がお前の言うとおりにすればいいんだろうがッ!」
総帥は俺の言葉にほくそ笑むと、ユンの首を圧迫していた足を退ける。息を止められていたために、ユンは咳き込みながら、ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返す。
「そうだ。殺されたくなければ、女王となって私の従順な妻になれ。なに、私は寛大だからな。私が相手をしない時は、好きにそれと交合えばいい。それぐらいの自由は与えてやろう」
そう言うと総帥は俺を縛っていた縄を解き、壇上の椅子に腰掛けた。この機にユンを助けようと思うが、警備兵が電流棒を持っていて、ユンに突き付けている。丸腰の俺では対抗できない。
「服を脱いでここに来い。お前の夫への忠誠心がいかばかりか、見てやろうじゃないか」
何て悪趣味な爺さんなんだ、と舌打ちして、一枚一枚服を脱いでいく。
「エイク、僕のことはいい! そんなことしないでくれ……! 君だけでも逃げて――」
「馬鹿なことを言うな。言っただろ、お前のことは俺が絶対守るって」
――どうか、この言葉遊びで平静さを取り戻してくれ。
合図を出すことはできない。αで総帥ともなる人間であれば、俺が少しでも可笑しな行動を取れば間違いなく気付くだろう。しかし、ユンならばきっと、起死回生の一手を思い付く。
下着を脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿で真っ直ぐに総帥の居る壇上へ階段を上った。そして椅子に座る、総帥の正面に立つ。
総帥の手が俺の肢の間に滑り込み、指先が女性器に触れた。
「ああ、良い形だ。そんなところまでソフィアに似るとは」
「っ……!」
指が挿入され、指先が壁に突き当たる。
「ここに肉棒を咥えたことはあるか? ソフィアにはいつも私の肉棒を半分ほど咥え込ませていたよ。私に憎悪の眼を向けて、苦痛に泣き叫ぶ彼女が愛おしかった。しかし、普段私を憎んでいても、発情期の時は挿入れて欲しいと泣いて縋るのだ。その醜い姿がまた愛おしくて愛おしくて……死ぬまで後ろの孔は使ってやらなかった」
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