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第三章 反乱因子
第二十三話
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「でも、離れないと……また君を襲ってしまう」
「……いいぜ、それでも。ユンがちゃんと優しく抱いてくれるなら、だけど」
まだ抱き締めていて欲しかった。ユンが愛してるって言ってくれるなら、俺は何回だって応じたっていいと思う。
「お願いだからこれ以上煽らないでくれ。このままじゃ抱き潰してしまう」
抱き潰されてもいい、と言いたいけれど、ユンは俺が発情期で昂っているからだと思っているのか実際ほとんどはそのせいではあるが――、その力を借りてセックスするのは嫌なのだろう。
それにまた発情期の影響が収まってきた感覚があって、このまま刺激しなければ緩やかに元に戻りそうな気がした。
「ユンは俺とするの、本当はヤなんだ?」
でもちょっとだけ意地悪がしたくなった。散々ユンに好きにされたから、ちょっとくらい虐めても許されるはず。
「そんなことあるわけないじゃないか! でもエイクの甘い匂いを嗅いでたら、加減が出来ない、から……」
ユンはそう言って服を着直し、少し離れたソファに腰を下ろした。
「まあ……そうだな。二回も中出しされたし」
身体を起こすと、足の間からどろりとした液体が太腿を伝い落ちる。俺の腹に収まりきらないくらいの量だったのだ。
「ごめん、その……気持ち良くて」
「へえ……優秀なフォルスター士官は、何の取り柄もない凡人のケツの具合が悦過ぎて、中で二回もイっちゃうんだぁ。そんな清廉潔白な男です、みたいな顔してさぁ」
太腿を伝い落ちる白濁を、近くにあった布で拭い取りながら言う。それにしても、もし本当に俺がΩだったら、この二回のセックスで妊娠しても可笑しくない量だ。少し力を入れただけで孔から溢れてくるのだから。
しかし、そろそろユンを虐めるのはやめにしよう。ユンはどんなに煽っても怒らないから――と思ったけれど、急に真剣な表情になって俺を見るのでドキッとする。
「エイクは凡人なんかじゃないし、誰よりも賢くて強くて美しい、僕にとっては最愛の人だよ。それに、身体の相性が良いのは悪いことじゃないだろ。エイクだって気持ちいいって言っていたし、僕の陰茎を締め付けて放さなかった」
いや、そういうことを真剣に言うなよ、と突っ込みたかったが、よがり声を上げて腰を振って醜態を曝しまくっていた自分を思い起こして、更に一緒に放り込まれた歯の浮くような台詞に、一気に恥ずかしくなり何も言えなくなる。
俺は俯いた拍子に目に入った、脱ぎ捨てられた自分の下着を取って穿いた。きっと尻の辺りが冷たいのは、下着に付着した俺の粘液のせいだけれど、濡れているのを知られるのは嫌なので、再びベッドの縁に座った。
「僕は君が本当にΩだというのなら、番にしたいくらいだ」
「え……いや、お前は城のΩと――」
「エイク以外なんて、もう無理だ」
ぴしゃりと頬を打つように、はっきりと言い切ったユンの言葉に心臓がどくんと脈を打った。番になれば、互いに他の人間とのセックスがしづらくなる。つまり、ユンは俺を独占したいと思っているのだ。
「エイクがβだったから、子を生すことを最優先事項にしている国の方針のために一度は諦めようと思ったけれど、君がΩなら僕と番になるのに何の障壁もない。そうでしょう?」
いつからこの男は俺のことをこれほど好きだったのだろう。親友として過ごしていて、俺だけが一方的に好きだと思っていたのに。
「……いいぜ、それでも。ユンがちゃんと優しく抱いてくれるなら、だけど」
まだ抱き締めていて欲しかった。ユンが愛してるって言ってくれるなら、俺は何回だって応じたっていいと思う。
「お願いだからこれ以上煽らないでくれ。このままじゃ抱き潰してしまう」
抱き潰されてもいい、と言いたいけれど、ユンは俺が発情期で昂っているからだと思っているのか実際ほとんどはそのせいではあるが――、その力を借りてセックスするのは嫌なのだろう。
それにまた発情期の影響が収まってきた感覚があって、このまま刺激しなければ緩やかに元に戻りそうな気がした。
「ユンは俺とするの、本当はヤなんだ?」
でもちょっとだけ意地悪がしたくなった。散々ユンに好きにされたから、ちょっとくらい虐めても許されるはず。
「そんなことあるわけないじゃないか! でもエイクの甘い匂いを嗅いでたら、加減が出来ない、から……」
ユンはそう言って服を着直し、少し離れたソファに腰を下ろした。
「まあ……そうだな。二回も中出しされたし」
身体を起こすと、足の間からどろりとした液体が太腿を伝い落ちる。俺の腹に収まりきらないくらいの量だったのだ。
「ごめん、その……気持ち良くて」
「へえ……優秀なフォルスター士官は、何の取り柄もない凡人のケツの具合が悦過ぎて、中で二回もイっちゃうんだぁ。そんな清廉潔白な男です、みたいな顔してさぁ」
太腿を伝い落ちる白濁を、近くにあった布で拭い取りながら言う。それにしても、もし本当に俺がΩだったら、この二回のセックスで妊娠しても可笑しくない量だ。少し力を入れただけで孔から溢れてくるのだから。
しかし、そろそろユンを虐めるのはやめにしよう。ユンはどんなに煽っても怒らないから――と思ったけれど、急に真剣な表情になって俺を見るのでドキッとする。
「エイクは凡人なんかじゃないし、誰よりも賢くて強くて美しい、僕にとっては最愛の人だよ。それに、身体の相性が良いのは悪いことじゃないだろ。エイクだって気持ちいいって言っていたし、僕の陰茎を締め付けて放さなかった」
いや、そういうことを真剣に言うなよ、と突っ込みたかったが、よがり声を上げて腰を振って醜態を曝しまくっていた自分を思い起こして、更に一緒に放り込まれた歯の浮くような台詞に、一気に恥ずかしくなり何も言えなくなる。
俺は俯いた拍子に目に入った、脱ぎ捨てられた自分の下着を取って穿いた。きっと尻の辺りが冷たいのは、下着に付着した俺の粘液のせいだけれど、濡れているのを知られるのは嫌なので、再びベッドの縁に座った。
「僕は君が本当にΩだというのなら、番にしたいくらいだ」
「え……いや、お前は城のΩと――」
「エイク以外なんて、もう無理だ」
ぴしゃりと頬を打つように、はっきりと言い切ったユンの言葉に心臓がどくんと脈を打った。番になれば、互いに他の人間とのセックスがしづらくなる。つまり、ユンは俺を独占したいと思っているのだ。
「エイクがβだったから、子を生すことを最優先事項にしている国の方針のために一度は諦めようと思ったけれど、君がΩなら僕と番になるのに何の障壁もない。そうでしょう?」
いつからこの男は俺のことをこれほど好きだったのだろう。親友として過ごしていて、俺だけが一方的に好きだと思っていたのに。
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