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第3章 王子
第3話
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日曜日がやってきた。
お母さんの説明は、本当に、色々足りてない。
お見合いならお見合いって言ってくれないと困るんだけど!?
指定されたホテルのレストランへ行き、「香原です」と名乗ると、一番広い個室へ案内された。待っていたのは、お母さんと金髪の美青年。私を見て立ち上がる様は、優美を絵に描いたよう。白いスーツは髪の色と相まって眩しくて、周りの全てを、自分を輝かせるために自然と従えている。それは彼の傲慢さから来るものではなく、周りが喜んでそうしている。
「王子様……?」
礼儀も忘れて、呟いていた。部屋の入口で立ち止まっているのも、案内のおじさんが困っちゃってる。
彼が歩み寄ってきた。ああ、目の色が左右で違うんだ。青だけど、左の方は緑に近い。大きな瞳には、強い意志が表れている。私の呟きには眉一つ動かさず、胸に手を当てて一礼した。
「香原衣純さんですね。お目にかかれて光栄です。ノア・マサル・ライトナーと申します。お近付きの印にこれを」
彼の手に、どこから取り出したのか一輪の薔薇の花。濃いピンク色。
「綺麗……」
「今日のあなたの装いにはぴったりかと。僕たちは気が合いそうですね」
棘を抜いてある薔薇を差し出され、思わず受け取った。彼はそのまま私の左手を取って、席へと連れて行く。案内のおじさんは、ホッとした様子で後から来て、椅子を引いてくれた。薔薇は、水に挿してくれるということで、いったんおじさんに渡した。夢のような数分間。
お母さんの説明は、本当に、色々足りてない。
お見合いならお見合いって言ってくれないと困るんだけど!?
指定されたホテルのレストランへ行き、「香原です」と名乗ると、一番広い個室へ案内された。待っていたのは、お母さんと金髪の美青年。私を見て立ち上がる様は、優美を絵に描いたよう。白いスーツは髪の色と相まって眩しくて、周りの全てを、自分を輝かせるために自然と従えている。それは彼の傲慢さから来るものではなく、周りが喜んでそうしている。
「王子様……?」
礼儀も忘れて、呟いていた。部屋の入口で立ち止まっているのも、案内のおじさんが困っちゃってる。
彼が歩み寄ってきた。ああ、目の色が左右で違うんだ。青だけど、左の方は緑に近い。大きな瞳には、強い意志が表れている。私の呟きには眉一つ動かさず、胸に手を当てて一礼した。
「香原衣純さんですね。お目にかかれて光栄です。ノア・マサル・ライトナーと申します。お近付きの印にこれを」
彼の手に、どこから取り出したのか一輪の薔薇の花。濃いピンク色。
「綺麗……」
「今日のあなたの装いにはぴったりかと。僕たちは気が合いそうですね」
棘を抜いてある薔薇を差し出され、思わず受け取った。彼はそのまま私の左手を取って、席へと連れて行く。案内のおじさんは、ホッとした様子で後から来て、椅子を引いてくれた。薔薇は、水に挿してくれるということで、いったんおじさんに渡した。夢のような数分間。
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