元カレに囲まれて

花宮守

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第3章 王子

第2話

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『衣純。今度の日曜、何か予定ある?』
「ううん、何にも」
 お母さんから電話がかかってきたのは、木曜日の夜だった。
『お昼一緒に食べない? もう一人の人もいるんだけど。仕事の知り合いに紹介されてね。衣純の専攻のことを話したら是非会いたいって。まあ気楽に考えて、気晴らしだと思って会ってみたら?』
「ふうん。いいよー。じゃあ、失礼のない格好で行かないとね」
『畏まらなくていいの。かわいくしてきて』
「そっちの方が考えちゃうよ」
 笑って詳しい予定を聞きながら、服をあれこれ出して考えてみた。
「その人って、男の人? 女の人?」
『男の人』
 それなら、明るめの服装の方がいいかな。
「おじさん? 若い?」
『若い。衣純より下かも』
「え!? 大学生? まさか高校生じゃないよね」
『大学生なのは確実』
「ふーん……起業家とか?」
『そんなとこ』
 じゃあ、まあこんな感じでいくか、と服装が決まったところで、電話もちょうど終わりになった。あとは持ち物。私はただの大学生だから、お話しできることなんてそんなにないけど……勉強させてもらおう、と考えることにした。

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