5 / 50
第1章 大罪人と救世主
第5話*
しおりを挟む
浴室は、温泉旅館の大浴場みたいに広い。構造は、僕が馴染んできた世界のものと同じだ。ここだけ見れば、元の世界にいるんじゃないかと錯覚する。外に面した大きな窓は、下半分は曇りガラス。上の部分から、空がよく見える。夜は綺麗だろうな。洗い場には、椅子が二つ。
「レオ、洗ってやるからそこへ座りなさい」
「え。それも必要ですか」
「さっぱりしてから入りたいだろう?」
「それはそうなんですけど」
言われるままに腰かけたものの、優しい手つきが恥ずかしい。何で異世界で王様に洗ってもらってるんだろう。多分、こうしてると触れ合っていられるからだよな。そこに、昨日からの彼の行動の意味がある気がする。クスッと笑ったのが聞こえた。
「おもしろい子だ」
「子って。一応、僕のいた世界では成人してます」
「いくつだ」
「十九」
「それなら、ここでも大人だ」
僕の肩はもう泡だらけだ。背中もすごいことになっているだろう。お腹の方に彼の手がまわってきた。びくっと震えてしまう。
「おとなしくしていなさい」
「無茶言わないでくださ、い……んっ」
胸の突起を指が掠める。たった一晩で、そこは気持ちいいんだと覚えてしまった。彼は僕を後ろから抱きしめ、密着してきた。きっとお腹が泡だらけになっている。
「朝からこんなにして」
「誰の、せいですか……」
前に伸びてきた手が、待ち焦がれるようにむっくりと起きたものを包み込む。泡をまとわせているだけなのに、彼の言葉と色っぽい声でどんどん硬くなる。慈しむような仕草に、心が彼に向って傾いていく。僕って単純だったんだなあ……気持ちいい……。
「足も洗おうな。立てるか?」
「力、抜けてきてますけど」
「では、座る場所を変えようか」
彼は僕の泡を綺麗に流し、自分にたくさんついたのも流した。お尻を泡が流れていく感触にドキッとした。滑らないように支えてもらって浴槽まで行き、縁に腰かけた。彼は「ちょうどいい」と呟きながら、そばのボディソープのボトルを引き寄せ、たっぷりと手に取った。足の指を、一本一本ほぐすように泡で包まれて、ますます力が抜けていく。ふくらはぎから、膝の裏、太腿の内側へと、僕の反応を見ながら泡を広げていく。恥ずかしいやら気持ちいいやらで、頭がボーっとしてくる。だって、彼の目の前に僕のアレが! おねだりするように涙を流している。
「我ながら呆れているが……こうも我慢が利かなくなるとはな」
「え? あ、あっ……」
足の付け根を指でなぞっていたと思ったら、パクッと僕のモノを口におさめた。な、に……熱い……。舌が這い回って……指より容赦がない。攻め立てられて、背を反らせた。このままじゃ……。
「ラトゥリオさ、ま……」
促すように太腿を撫でられ、強く吸われて、生まれて初めて人の口の中に出した。
「はぁ……はぁ」
肩で息をして、ハッと気付いた。眼下に白いものが散った様子はなく、あるのは唇をぺろりと舐めている美しい彼の顔のみ。
「あの……まさか」
「そんなに困った顔をするな。お前の言葉で言うなら、これも『必要』なことだ」
「全然意味が分からないです……」
生気が増したかのように輝くばかりの王様が、僕を見上げている。アレが体にいいなんて聞いたことないぞ。
「のぼせないように、ほら、水を飲んで」
至れり尽くせりの風呂場には、水飲み用のコップまで用意されている。きりっと冷えた水は、火照った体に心地いい。彼も飲んだ。喉仏が動いてる。セクシーだなあ……。
「ん?」
「あ、いや、水がおいしいなって」
見とれていたのはバレバレだろうけど。水がおいしいのも本当。僕はミネラルウォーターでなくても喉が渇けば普通に水を飲む方だけど、これは特においしく感じられた。小学校の林間学校で、朝、外の水のあまりの冷たさに驚いたのを思い出す。景色からみて、ここは高い所にあるようだしなあ。
ひと口、もうひと口、と味わう僕を、彼は嬉しそうに見ている。単に役目だから王様をやっているんじゃなくて、いろんなものをとても大事に思っている人なんだな、と感じた。
その後、ラトゥリオ様に後ろから抱えられる格好で湯舟に浸かった。ゆったりと、体を預ける。人の心も自然も豊かで、見るからに有能な王様がいて、水がおいしい国。何不自由なく、という言葉がぴったりなのに、何かの危機にさらされ、彼は必死で対処しようとしている。僕はそれをお手伝いしているらしい。役に立っているのかどうか今いち分からないけど、昨日のような地震はない。
ちゃぷ、とお湯が揺れる。お腹の上で組まれた彼の手に、僕の手を重ねてみた。抱きしめる力が強まった。もっと、僕から触れてみてもいいのかな。
「ラトゥリオ様、あの」
「何だ」
「体の向き、変えてもいいですか」
「ああ」
体を反転させ、長い足に挟まれる形で向き合った。
「俺の足をまたいで……そうだ」
遠慮と、好奇心のようなものと……単なる欲なのか、それともほかのものなのか。迷う僕の背中を押すように、密着させる。触れること、求めることを許されていると思えた。唇を寄せると、目を閉じて迎えてくれた。甘い疼きが体中に広がっていく。大きな手が背を撫でる。自然と触れ合うそれぞれの中心を擦り合わせ、口づけを深めていく。
彼の手が、背中から腰へと降りてきた。双丘を丸く愛撫され、それから……間に、指が入ってきた。
「んっ……」
まだ教えてもらっていない場所。周囲を、円を描くように指が動いて、鼓動が速くなっていく。きゅっと窄まったところをやんわりと押され、お腹の奥がキュンとなった。
「ラトゥリオ様……」
唇を離して彼を見つめる僕の目は、潤んでいるだろう。
「ここは、どんな感じがする?」
「もっとあなたに教えてほしい、って……感じます」
正直に答えた。
「いい子だ」
お湯で弛緩した体。おまけに、僕は彼の手にとろかされることを学習してしまった。何もかも初めてだけど、彼ならいい。彼がいい。
「いい子だ、レオ……」
王の声が震えている。指先も、少し。やわやわとほぐされていく感覚。異世界に来た理由があるとしたら、この人と出会うため。そう思っても、いいですか……。
「レオ、洗ってやるからそこへ座りなさい」
「え。それも必要ですか」
「さっぱりしてから入りたいだろう?」
「それはそうなんですけど」
言われるままに腰かけたものの、優しい手つきが恥ずかしい。何で異世界で王様に洗ってもらってるんだろう。多分、こうしてると触れ合っていられるからだよな。そこに、昨日からの彼の行動の意味がある気がする。クスッと笑ったのが聞こえた。
「おもしろい子だ」
「子って。一応、僕のいた世界では成人してます」
「いくつだ」
「十九」
「それなら、ここでも大人だ」
僕の肩はもう泡だらけだ。背中もすごいことになっているだろう。お腹の方に彼の手がまわってきた。びくっと震えてしまう。
「おとなしくしていなさい」
「無茶言わないでくださ、い……んっ」
胸の突起を指が掠める。たった一晩で、そこは気持ちいいんだと覚えてしまった。彼は僕を後ろから抱きしめ、密着してきた。きっとお腹が泡だらけになっている。
「朝からこんなにして」
「誰の、せいですか……」
前に伸びてきた手が、待ち焦がれるようにむっくりと起きたものを包み込む。泡をまとわせているだけなのに、彼の言葉と色っぽい声でどんどん硬くなる。慈しむような仕草に、心が彼に向って傾いていく。僕って単純だったんだなあ……気持ちいい……。
「足も洗おうな。立てるか?」
「力、抜けてきてますけど」
「では、座る場所を変えようか」
彼は僕の泡を綺麗に流し、自分にたくさんついたのも流した。お尻を泡が流れていく感触にドキッとした。滑らないように支えてもらって浴槽まで行き、縁に腰かけた。彼は「ちょうどいい」と呟きながら、そばのボディソープのボトルを引き寄せ、たっぷりと手に取った。足の指を、一本一本ほぐすように泡で包まれて、ますます力が抜けていく。ふくらはぎから、膝の裏、太腿の内側へと、僕の反応を見ながら泡を広げていく。恥ずかしいやら気持ちいいやらで、頭がボーっとしてくる。だって、彼の目の前に僕のアレが! おねだりするように涙を流している。
「我ながら呆れているが……こうも我慢が利かなくなるとはな」
「え? あ、あっ……」
足の付け根を指でなぞっていたと思ったら、パクッと僕のモノを口におさめた。な、に……熱い……。舌が這い回って……指より容赦がない。攻め立てられて、背を反らせた。このままじゃ……。
「ラトゥリオさ、ま……」
促すように太腿を撫でられ、強く吸われて、生まれて初めて人の口の中に出した。
「はぁ……はぁ」
肩で息をして、ハッと気付いた。眼下に白いものが散った様子はなく、あるのは唇をぺろりと舐めている美しい彼の顔のみ。
「あの……まさか」
「そんなに困った顔をするな。お前の言葉で言うなら、これも『必要』なことだ」
「全然意味が分からないです……」
生気が増したかのように輝くばかりの王様が、僕を見上げている。アレが体にいいなんて聞いたことないぞ。
「のぼせないように、ほら、水を飲んで」
至れり尽くせりの風呂場には、水飲み用のコップまで用意されている。きりっと冷えた水は、火照った体に心地いい。彼も飲んだ。喉仏が動いてる。セクシーだなあ……。
「ん?」
「あ、いや、水がおいしいなって」
見とれていたのはバレバレだろうけど。水がおいしいのも本当。僕はミネラルウォーターでなくても喉が渇けば普通に水を飲む方だけど、これは特においしく感じられた。小学校の林間学校で、朝、外の水のあまりの冷たさに驚いたのを思い出す。景色からみて、ここは高い所にあるようだしなあ。
ひと口、もうひと口、と味わう僕を、彼は嬉しそうに見ている。単に役目だから王様をやっているんじゃなくて、いろんなものをとても大事に思っている人なんだな、と感じた。
その後、ラトゥリオ様に後ろから抱えられる格好で湯舟に浸かった。ゆったりと、体を預ける。人の心も自然も豊かで、見るからに有能な王様がいて、水がおいしい国。何不自由なく、という言葉がぴったりなのに、何かの危機にさらされ、彼は必死で対処しようとしている。僕はそれをお手伝いしているらしい。役に立っているのかどうか今いち分からないけど、昨日のような地震はない。
ちゃぷ、とお湯が揺れる。お腹の上で組まれた彼の手に、僕の手を重ねてみた。抱きしめる力が強まった。もっと、僕から触れてみてもいいのかな。
「ラトゥリオ様、あの」
「何だ」
「体の向き、変えてもいいですか」
「ああ」
体を反転させ、長い足に挟まれる形で向き合った。
「俺の足をまたいで……そうだ」
遠慮と、好奇心のようなものと……単なる欲なのか、それともほかのものなのか。迷う僕の背中を押すように、密着させる。触れること、求めることを許されていると思えた。唇を寄せると、目を閉じて迎えてくれた。甘い疼きが体中に広がっていく。大きな手が背を撫でる。自然と触れ合うそれぞれの中心を擦り合わせ、口づけを深めていく。
彼の手が、背中から腰へと降りてきた。双丘を丸く愛撫され、それから……間に、指が入ってきた。
「んっ……」
まだ教えてもらっていない場所。周囲を、円を描くように指が動いて、鼓動が速くなっていく。きゅっと窄まったところをやんわりと押され、お腹の奥がキュンとなった。
「ラトゥリオ様……」
唇を離して彼を見つめる僕の目は、潤んでいるだろう。
「ここは、どんな感じがする?」
「もっとあなたに教えてほしい、って……感じます」
正直に答えた。
「いい子だ」
お湯で弛緩した体。おまけに、僕は彼の手にとろかされることを学習してしまった。何もかも初めてだけど、彼ならいい。彼がいい。
「いい子だ、レオ……」
王の声が震えている。指先も、少し。やわやわとほぐされていく感覚。異世界に来た理由があるとしたら、この人と出会うため。そう思っても、いいですか……。
60
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である


花屋の息子
きの
BL
ひょんなことから異世界転移してしまった、至って普通の男子高校生、橘伊織。
森の中を一人彷徨っていると運良く優しい夫婦に出会い、ひとまずその世界で過ごしていくことにするが___?
瞳を見て相手の感情がわかる能力を持つ、普段は冷静沈着無愛想だけど受けにだけ甘くて溺愛な攻め×至って普通の男子高校生な受け
の、お話です。
不定期更新。大体一週間間隔のつもりです。
攻めが出てくるまでちょっとかかります。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります
かとらり。
BL
前世でやっていたRPGの中ボスの大魔法使いに生まれ変わった僕。
勇者に倒されるのは嫌なので、大人しくアイテムを渡して帰ってもらい、塔に引きこもってセカンドライフを楽しむことにした。
風の噂で勇者が魔王を倒したことを聞いて安心していたら、森の中に小さな男の子が転がり込んでくる。
どうやらその子どもは勇者の子供らしく…
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる