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リクエスト番外編
リクエスト5: ラーゲルクヴェストとアーヴィングの会話の話 1
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ラーゲルクヴェストとアーヴィングの会話の話
※後日談2後の時間軸です。
【side: アーヴィング】
「乾杯」
煌びやかな部屋ではなく、落ち着いたバルコニーのテーブル。
暗くなった外の景色を眺めながら、酒の入ったグラスがカチンと音を立てた。
夕食後、陛下に呼ばれ訪ねてみれば「一杯付き合え」と誘われた。
テーブルには既につまみも用意されていて、緊張気味に席へ座る。
「兵士はどうだ。ちゃんと仕事をしているか?」
「はっ。日々訓練と城内城外の警備を滞りなく。
遠征へ行っていた組も無事戻り、現在次の指示を待っている状態です」
「そうか」
「また、遠征をお考えですか?」
「……いや、どちらかというと視察を頼みたいな。
気になる動きをしている国がある。暗殺まではいかないが、良からぬことをしているようであれば早めに手を打っておきたい。
詳しいことは後日宰相から話をさせよう」
「承知しました」
「部隊の編成はお前に任せる。
だが、お前は城へ残るように。よいな」
「はっ」
話を伺いながら、頭の中でメンバーを組み立てていく。
「……陛下。自分はもう、今後城を離れることはないのでしょうか」
「そうだな。戦争や、何か大きな出来事がない限りは留まってもらう」
「それは、番のため…ですか?」
「そうだ。もっと言えば〝Ωのため〟というところだな」
今の国王……ラーゲルクヴェスト様が君臨されてから、全く現れなくなったΩ。
2~3年に1人2人は現れていたのに、パタリと十数年も消えてしまっていた。
そんな中ようやく現れた2人のΩ。しかも、共に運命の番を見つけるという正に奇跡のような出来事を起こした。
「セグラドルがここまで持ち堪えたのは女がいたからだ。情けないが、女性が子どもを産んでくれたおかげでなんとか国を保ててきた。
だが、その大半はβ。稀にαが見つかっても、αの人口は圧倒的に減った」
αが減るということは、王族や強い者たちが減るということ。
それだけ国が弱くなり、攻め入られやすくなるということ。
ーー確実にαを産み落とすのは……やはりΩだけ。
「ロカとリシェは、この国の宝…希望だ。
これからセグラドルを引っ張っていく象徴になる。
それを確実に守ることができ、そして子を成していくには私たちが必要だ。
これは、どんな戦いよりも重要事項だ」
「……はっ」
Ωを孕ませ、αを産ませる。
簡潔に言ってしまえばそう。それが国の繁栄に繋がる。
(ーーっ、)
言葉にするには難しい葛藤が、腹の中で渦巻く。
無いとは思うが……もし、リシェが「子を成したくない」と言った時、俺はどうすればいいのだろうか。
その身体を組み敷いて、無理やり孕ませるのが正解なのだろうか。
国にとってはそれが正しいこと…なのか。だが人間としては、夫婦としてはどうだろう。
いや、最早そんなことは言ってられないのだろうか。
子を成さなければ、王族からリシェを奪い取った意味がない。
いくら運命の番だからといっても、子を成さないのであればそれはなんの効果も示さない。
きっとどんなに俺とリシェが嫌がろうと、リシェの身体を無理やり開き子種を植えつけΩとして扱うのだろう。
心ではない、身体を望まれるのがΩ。
Ωは、確実にαを産む道具。
(だが、)
『アーヴィング様っ』
だが…俺は……
「ーーさて」
「……?」
薄くため息を吐いた陛下が、酒を飲みながら夜の空を見上げた。
「まぁ、ここまでは国王としての私の言葉だ。頭に入れておけとは思うが、そんな話がしたくて呼んだのではない。
……たまには、昔のように語り合いたくてな」
※後日談2後の時間軸です。
【side: アーヴィング】
「乾杯」
煌びやかな部屋ではなく、落ち着いたバルコニーのテーブル。
暗くなった外の景色を眺めながら、酒の入ったグラスがカチンと音を立てた。
夕食後、陛下に呼ばれ訪ねてみれば「一杯付き合え」と誘われた。
テーブルには既につまみも用意されていて、緊張気味に席へ座る。
「兵士はどうだ。ちゃんと仕事をしているか?」
「はっ。日々訓練と城内城外の警備を滞りなく。
遠征へ行っていた組も無事戻り、現在次の指示を待っている状態です」
「そうか」
「また、遠征をお考えですか?」
「……いや、どちらかというと視察を頼みたいな。
気になる動きをしている国がある。暗殺まではいかないが、良からぬことをしているようであれば早めに手を打っておきたい。
詳しいことは後日宰相から話をさせよう」
「承知しました」
「部隊の編成はお前に任せる。
だが、お前は城へ残るように。よいな」
「はっ」
話を伺いながら、頭の中でメンバーを組み立てていく。
「……陛下。自分はもう、今後城を離れることはないのでしょうか」
「そうだな。戦争や、何か大きな出来事がない限りは留まってもらう」
「それは、番のため…ですか?」
「そうだ。もっと言えば〝Ωのため〟というところだな」
今の国王……ラーゲルクヴェスト様が君臨されてから、全く現れなくなったΩ。
2~3年に1人2人は現れていたのに、パタリと十数年も消えてしまっていた。
そんな中ようやく現れた2人のΩ。しかも、共に運命の番を見つけるという正に奇跡のような出来事を起こした。
「セグラドルがここまで持ち堪えたのは女がいたからだ。情けないが、女性が子どもを産んでくれたおかげでなんとか国を保ててきた。
だが、その大半はβ。稀にαが見つかっても、αの人口は圧倒的に減った」
αが減るということは、王族や強い者たちが減るということ。
それだけ国が弱くなり、攻め入られやすくなるということ。
ーー確実にαを産み落とすのは……やはりΩだけ。
「ロカとリシェは、この国の宝…希望だ。
これからセグラドルを引っ張っていく象徴になる。
それを確実に守ることができ、そして子を成していくには私たちが必要だ。
これは、どんな戦いよりも重要事項だ」
「……はっ」
Ωを孕ませ、αを産ませる。
簡潔に言ってしまえばそう。それが国の繁栄に繋がる。
(ーーっ、)
言葉にするには難しい葛藤が、腹の中で渦巻く。
無いとは思うが……もし、リシェが「子を成したくない」と言った時、俺はどうすればいいのだろうか。
その身体を組み敷いて、無理やり孕ませるのが正解なのだろうか。
国にとってはそれが正しいこと…なのか。だが人間としては、夫婦としてはどうだろう。
いや、最早そんなことは言ってられないのだろうか。
子を成さなければ、王族からリシェを奪い取った意味がない。
いくら運命の番だからといっても、子を成さないのであればそれはなんの効果も示さない。
きっとどんなに俺とリシェが嫌がろうと、リシェの身体を無理やり開き子種を植えつけΩとして扱うのだろう。
心ではない、身体を望まれるのがΩ。
Ωは、確実にαを産む道具。
(だが、)
『アーヴィング様っ』
だが…俺は……
「ーーさて」
「……?」
薄くため息を吐いた陛下が、酒を飲みながら夜の空を見上げた。
「まぁ、ここまでは国王としての私の言葉だ。頭に入れておけとは思うが、そんな話がしたくて呼んだのではない。
……たまには、昔のように語り合いたくてな」
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