あなたの世界で、僕は。

花町 シュガー

文字の大きさ
上 下
14 / 49
本編

2

しおりを挟む




「落ち着いてきたか?」

抱きかかえられたまま着いた部屋……恐らく陛下の自室。
ソファーに座った陛下の膝の上で、大きな身体に包まれながらポンポン背中を叩かれる。

「は、はぃ……す、いませ」

「謝ることはない。お前は何も悪くない」

顔を上げるとスルリと頬を撫でられ、申し訳なさそうに笑われた。

「あの者は、私の父の代からずっとこの城で務めていてな。なんとかこの国を良くしたいという思いが人一倍強いのだ。
だが、それにしても先程の発言は無礼にも程があった。
傷つけてすまない」

「いえっ、そんな、」

「名はなんと言う?
私はラーゲルクヴェスト。ラーゲルでよい」

「ロカです」

「ロカか、良い響きだ。ロカと呼んでも?」

「ぁ、はい!」

「敬語はなくて良い。私たちは運命の番なのだから」

「っ、」


〝運命の番〟


「…あの、本当に僕で良かったんですか……?」


確かにこれは運命。
けど、相手はこの国の国王陛下だ。
冷静になってみれば、僕なんかよりあの子の方が確かにお似合いなのかもしれない。

でも、どうしよう。
どうしても……この温もりを譲るなんてことはーー


「何を言っている?」


「わっ」


背中に回されてた腕に引き寄せられ、コツンとおでこが合わさった。

「私の代となり早十数年、今日ほど嬉しかった事はない。
漸くΩが現れ、更に片方は私の運命の番。
こんな奇跡、起こす方が難しいだろう。
きっと私はお前と出会う為、これまで生きてきたのだ。
お前をひと目見ただけでそう思えてしまった。

ロカ、お前は私の運命の番だ。
他の誰が言おうとも、私はお前を離す気はない」


「~~っ、陛、下」


「違う、ラーゲルだ。ほら、言ってみろ」


「ラーゲル、様」


「ふむ。〝様〟はいらないが……まぁ、追々だな。

ーーさて、」


「へ……あっ」


座っていた膝で後孔を押され、ビクリと身体が震えた。

「悪いがもう我慢の限界だ。
待ち焦がれたΩ、それも私の運命。
その身体を愛してもよいか?」

「ぁ…ひぅ……っ」

ブワッと強くなる匂いに、さっきの出来事で何処かいっていた熱が一気に戻ってきて。

(ど、しよ…後ろ、また濡れて……っ)

「既に蜜が溢れ出てきているな。
愛おしい奴だ」

「そん、な…言わない、で……ひゃあっ」

再び横抱きにされ陛下が立ち上がる。

「初めての交りはベッドの上が良いだろう。
私の理性があるうちは甘く抱いてやる。
だが、後のことは諦めろ。私も我慢が効かん」

チュッと頬に口づけをもらい、至近距離から笑われて。


「ぁ、あぁ、ゃ、~~~っ!」


それだけでおかしいくらい身体が跳ねて、達してしまって。

そのまま、強く抱かれた。







しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない

天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。 ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。 運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった―――― ※他サイトにも掲載中 ★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★  「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」  が、レジーナブックスさまより発売中です。  どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。 1日2話ずつ投稿します。

ふしだらオメガ王子の嫁入り

金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか? お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

平凡顔のΩですが、何かご用でしょうか。

無糸
BL
Ωなのに顔は平凡、しかも表情の変化が乏しい俺。 そんな俺に番などできるわけ無いとそうそう諦めていたのだが、なんと超絶美系でお優しい旦那様と結婚できる事になった。 でも愛しては貰えて無いようなので、俺はこの気持ちを心に閉じ込めて置こうと思います。 ___________________ 異世界オメガバース、受け視点では異世界感ほとんど出ません(多分) 些細なお気持ちでも嬉しいので、感想沢山お待ちしてます。 現在体調不良により休止中 2021/9月20日 最新話更新 2022/12月27日

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

王冠にかける恋【完結】番外編更新中

毬谷
BL
完結済み・番外編更新中 ◆ 国立天風学園にはこんな噂があった。 『この学園に在籍する生徒は全員オメガである』 もちろん、根も歯もない噂だったが、学園になんら関わりのない国民たちはその噂を疑うことはなかった。 何故そんな噂が出回ったかというと、出入りの業者がこんなことを漏らしたからである。 『生徒たちは、全員首輪をしている』 ◆ 王制がある現代のとある国。 次期国王である第一王子・五鳳院景(ごおういんけい)も通う超エリート校・国立天風学園。 そこの生徒である笠間真加(かさままなか)は、ある日「ハル」という名前しかわからない謎の生徒と出会って…… ◆ オメガバース学園もの 超ロイヤルアルファ×(比較的)普通の男子高校生オメガです。

処理中です...