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濃紅薔薇の場合
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しおりを挟む[◯月◯日◻︎曜日 本日の天気 くもりのちはれ]
「なに聴いてんのこーや」
「んー? 虹組の歌」
「あ~ね」と片方イヤホンを取られ一が耳に付ける。
虹組の曲まじでいいんだよね~なんか心の傷に染み渡るというか。
先日の文化祭ステージで見つけ合ったのドラマじゃない?芸能人すごすぎ。
これからも曲出すみたいでもうファン決定だ、良すぎる。
ああー!俺も早く2人みたいになりてー!!
(しかし…なぁ……)
ここ最近、まともに動けてない。
何故ならそう、忙しいから。文化祭後は期末テストと決まってる。
だから日々勉強で未紅ちゃんをほったらかしなのである。
ごめんね未紅ちゃん!俺がもっと頭良ければこんなのしゅぱぱっと……!
「あ、そうだこーや」
「ん?」
「十たちが『一緒に勉強会しよ』って」
「まじ!?!?」
勢いよく立ちすぎたせいで残ってたイヤホンが飛んでいってしまった。けどそんなの今は関係なくて。
「勉強会!? 俺参加していいの?」
「うんもちろん。ってかこの学園来るまでずっと3人でしてたじゃん俺ら。だから参加可否は寧ろ未紅ちゃんのほうだと思うけど。
でも、ま、いんじゃない? 4人でやろうよ」
「やる!うわ、嬉しい!!」
「んふふ~よかったね~これでこーやの英語も点数上がるといいね」
「うぐ……あ、上がる、いや上げてみせる!」
「未紅ちゃん小学生の頃まるっと海外いたし教えてもらいなよ。発音も完璧だし」
「え、6年も!? 待て…それは帰国子女とかいうやつでは……?」
「こーやは生まれてこのかた日本出てないもんね~〝いつも〟俺らと一緒だから」
「いやそうなんだけど…え、帰国子女……??」
すげぇぞ俺の薔薇まじか、スペック高すぎる!
超オシャレじゃん!!
やば、俺こんなんだけど横並んで大丈夫かな、嫌がられるだろうか。
今のうちに英語勉強してたほうがいいな…ぐあぁ、いっぱい教えてもらわなきゃ。
いっぱい…いっぱい……
頭の中で妄想が止まらない俺に「じゃ~OKって連絡しとくから~」と鼻歌混じりにスマホを弄る一。
…そういえば、なんで一は未紅ちゃんが帰国子女なのを知ってるんだ?
十ちゃんに聞いた? この双子仲良いしな、そんな話もするか。
(けど未紅ちゃんの好きな物とか明日の予定とかも、聞いたら全部答えてくれるな)
サポートが手厚すぎて逆に怖い。
こんなにイケメンなのに俺や十ちゃんのことばっか手伝ってて、自分の恋はどうなってんだろ。後回し?
こいつに好きな奴できたら全力で手伝わなきゃ。今までの恩返しを兼ねて。
(…にしても、こいつにそんな影できたことあったかな……)
小学校・中学校・グラウンド・校舎・昼休み・体育・移動教室・行事・夏休み・冬休み・家・旅行・お出かけ……
ーーあれ? 俺、一と離れたこと あったっけ?
そういえばもう、ずっと一緒にいる気が……
(あれ? 最後に1人になったのっていつだっけ)
えーっと、んーーっと
「…………」
ま、いいか。
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