吉良先輩は笑わない

花町 シュガー

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「おーおっはよー幸生!久しぶりだなぁ!!」

「幸生、写真はどうよっ!」

「ふっふっふっ、見て驚くなよ。
じゃじゃん!!」

「「っ、嘘、まじ!?!?」」

「はっはっはー!僕を侮ることなかれ!幸福印の福丸幸生だ!」

「やっば、先輩超絶イケメンじゃん…ってか何でこれ服濡れてんの?」

「幸生くれ!」

「いーやーでーす」

「嘘だろっ、おい!」

忙しなく始まった始業式。
パタパタ廊下を走り回っていると、相変わらず女の子に囲まれてる先輩を見つけた。

「ぁ、先輩だ!おーい!!」

「ぇ、幸生おま、やめろって!」

「いくらなんでも馴れ馴れしすぎんだrーー」

ザワリと、その場の雰囲気が一気に変わる。


「クスッ。さっちゃん、やっほー」


僕の方を見て、ふわりと笑って先輩が手を振り返してくれた。

「ぇ、ちょっと!」

「なに今の!!
吉良くんもう一回!もう一回やって!?」

「ぇ、無理。俺の笑顔はさっちゃん限定だから」


「……おい幸生、どうなってんだこれ」

「はっははーその質問には答えまーせん!」

「ぁ、おい逃げんな!」

あと数日しないうちに、吉良先輩が僕の家に住んでることも知れ渡るんだろうな。

〝死神〟呼ばわりされてた先輩を、先輩が〝神様〟と呼んでくれた僕が引き取るなんて、変な話だ。

でも、

吉良先輩には、これから先ずぅっとずっと、笑ってて欲しいから。

(まぁ、僕の家って凄い幸福効果半端ないし。
息子さんは責任持って幸せにしますね、吉良先輩のお母さん、お父さん)

初めは罰ゲームで、なんて運のない奴だ!と思ったけれど、逆だった。
やっぱり僕って運がいい。

だって、先輩を笑顔にできたんだから。


走り去る僕を楽しそうに見つめる先輩の笑顔は、本当にキラキラしていて。


やっぱりひまわりみたいだなと、思ったーー













(側にいたいよ。君のためにできる事が、僕にあるかな?)

(いつも君に、ずっと君に、笑っていて欲しくて)


***
気まぐれ美形先輩×天然平凡
〈吉良先輩(吉良 葵) × さっちゃん(福丸 幸生)〉



fin.

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