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しおりを挟む『私は大変欲張りな性格でね。私の運命である君にも幸せになってもらわないと、気が済まない』
『ぇ……』
『時代とともに文化も変わる。きっとこれまで私が目にししてきた以上の素晴らしいものに、これから先出会えるはずだ』
君は、私よりずっとずっと遠くへ行ける。
そこで沢山の景色や、物や、人と出会い…自分だけの幸せを見つけなさい。
『こんな老いぼれに人生を捧げるのではなく、自分のことを1番に考えてくれ、心を通わせて挨拶ができるような……そんな人と出会いなさい。
大丈夫。君はきっと出会える。
ーーだって、私の〝運命の番〟なんだから』
『ーーっ、』
〝運命〟とは、
運命とは、なんだろうか。
「ははっ、」
(あーぁ、なんだかなぁ)
やっと正解に出会えたはずなのに、この人は僕をバッサリ切り捨てて『もっとたくさんの幸せを見つけなさい』と言ってくる。
嗚呼 本当……なんてーー
『酷い人、ですね』
『だろう? 大人はね、誰でも皆んな酷くてずるいんだ。これから先注意するといい』
『っ、ふふふ、あなたが言うんですかそれ?』
……もしかしたら、僕らの運命の形はこうなのかもしれない。
(この人は、確実に僕より先に死ぬ)
それくらいに年の離れた人。
だから、もしかしたら神様が僕を悲しませないようこんな形にしたのかもしれない。
『君は、これからなにをするんだい?』
『国へ帰って大学に行きます』
『そうか。ということは此処へ来たのも旅行かなにかか。ひとりかい?』
『いいえ、友人と。あなたはおひとりで此処を歩いてたんですか?』
『あぁ。いつもは誰かしらと一緒なんだが、今日はたまたまひとりなんだよ』
『そうなんですね』
観光地でもなんでもない、ただの路地の片隅。
そこですれ違うように出会い、互いに運命だと知った。
ここまでの所要時間は何分?
何人くらいの人が僕らを見た?
わからない……けれど、
『なんだか僕たちにはこれくらいが丁度いいね』と、小さく笑いあったーー
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