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花町 シュガー

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「お前ら、ちゃんと勉強してるか?もうすぐ受験だぞ!!気を抜かず、しっかりやれよ」


そう言って、先生は授業を始めた。






もうすぐ受験――


僕は、家から通える、県内有数の進学校を受験することに決めている。


夢とかは、特に無い。
ただ近いし、先生も両親もそこにしなさいって言うから、それだけ。


だから、電車に乗るのは中学まで。
高校からは徒歩だ。




(あの人は、どうするんだろうなぁ)


授業中なのに、思い出すのはあの人のことで。


(きっと、僕のこと知らないよね…当たり前だけど)


たった1回ぶつかって、ここまで思ってる僕のほうがおかしい。



…あの人は、どこの高校に行くんだろう。


部活してるから、スポーツ推薦かな。
それとも、どこか遠くの学校に行くのかな。
いや、もしかして留学とかしたりして。
いやいやっ、無いか…
…でも、もししちゃったら……
でもなぁー




悶々と考えながらも、結局1番に思うことは


(…もう、会えないのかなぁ……)



名前も知らないあの人。
あっちは、きっと自分のことすら知らないだろう。


僕が一方的に知っていて…でも、向こうは知らなくて……


何回も話し掛けようと思った。


でも、いざ話そうとしても緊張して、結局辞めてしまうのだ。



(せめて、少しでも話してみたいなぁー)


僕は、女の子みたいに話は上手くないし、寧ろ下手な方だけど。



…でも、『おはよう』って言ってみたいなぁ……


(…いやいや、知らない人から『おはよう』って声かけられるのも変か……)




受験が終わると、すぐ卒業。


あの人を見れなくなるときは、すぐそこまで来ている。



(せめて、どこ受験するかぐらい分かったらなぁ……)




「おいっ、お前当たってるって!!」


後ろの友だちから小声で言われて、慌てて前を向けば



恐ろしい形相で笑ってらっしゃる先生。


「ほーう。俺の話が聞こえないくらい真剣に考えていたのかぁ?そうかそうか」


(やばっ!!考えすぎてて全然聞いてなかった!!)




そしてこの後、僕はみっちりしごかれたのである。







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