5 / 7
5
しおりを挟むクリスマスプレゼントも買って、クリスマスケーキも買って。
もう、準備なんてそれくらいじゃね?
いっぱいぐるぐるいろんな場所を回ったせいか、もう辺りは暗くなっていた。
そろそろ、こいつも待ち合わせあんだろ。
「リッキー、終わりか? 俺もう帰るzーー」
「まだだ。ほら、最後はこっち」
「え?」
プレゼントを持ってない方の手でグイッと腕を取られ、また歩き出す。
「ぇ、ちょっ、待ってリッキー何処にっ」
「ほら、黙ってついて来いよ」
ズンズン ズンズン歩かれて、もう着いて行くしかなくて。
そうして、たどり着いた先はーー
「っ、わぁ………」
待ち合わせ場所に使った、大きな大きなクリスマスツリー。
綺麗にイルミネーションが灯され、とてもキラキラしていた。
思わず、声もなく見上げる。
「なぁ、ショウ」
「ん、なに?」
「もし、好きな奴から告白されるなら、お前は何て言われたい?」
「…………は?」
一瞬、何を言われてるのかわからなくて。
やっと理解した瞬間、カッ!と一気に頭へ血が上った。
お前……何考えてんだ!?
そんなもん自分で考えやがれ!
自分が好きになった相手だろうが!!
何でそんなのっ、俺に聞くんだよ!?
血が上って、どうしようもなく泣きそうになって。
でも、スゥッと引いていく。
多分…今日のクリスマスは、神様が俺にくれた時間だったんだ。
行事なのにリッキーと一緒に出かけれて。
プレゼントやケーキを選んで、綺麗なイルミネーションまで見れて。
はは、まるで恋人みたいじゃん。
そんな、最後の最後の時間だった。
これから、リッキーはこのツリーの下で好きになった子に告白するんだろう。
そして、その子と晴れて恋人同士になる。
っ、くそ……っ。
女の子なんか、大概このイケメン顔に「愛してる」やら「好きだ」やら言われれば、直ぐに落ちるだろう。
でも…でも、そうだなぁ……
もしも、もしも俺が
リッキーに告白されると、したらーー
「名前を、呼んでくれて……
ひと言〝好きだ〟って言ってくれたら、もう最高かなぁ……っ」
発した声が震えてしまって、慌てて口を閉じる。
自分の言葉を自分で聞いて、じんわりと涙が溢れてきて。
……っ、くそ。
こんなの痛すぎる、最悪じゃん。
「そうか。分かった」
「っ、うん……」
俺の意見を参考にして、これから告白するのだろうか?
あぁ本当、何て残酷。
クリスマスツリーも、チョコレートケーキも、プレゼントも、全部全部嫌いになってしまいそう。
「っ、じゃぁ、俺もう行くから。 頑張れよリッキー」
もう直ぐ此処へ来るであろうリッキーの好きな人を、見たくない。
涙を隠しながら足早に去ろうとする俺の腕を、また知ってる体温にグイッと取られる。
「ちょ、なんだよ!!
こっからは自分で頑張れy」
「ーー翔太(ショウタ)。 好きだ」
「ーーーーっ、ぇ………?」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
繋ぐ
花町 シュガー
BL
『どうか、君の未来を守らせて。』
俺はここ最近、不思議なおっさんにストーカーされている。
まったく意味がわからないけど、なにか理由がありそうで……
----------------------------------------------------
※「それは、キラキラ光る宝箱」とは?
花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。
お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。
その、魔法の味は
花町 シュガー
BL
『僕の身体は、あなたが作る〝魔法〟で出来ている』
優しい大人 × 健気学生
〈堤 輝 × 栗山 柚紀〉
α一族の元に生まれたΩと、とあるケーキ屋さんの話。
---------------------------------------------
※「それは、キラキラ光る宝箱」とは?
花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。
お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。
ロンドンの足長おじさん
花町 シュガー
BL
『これが僕らの〝出会い〟、僕らの運命。
ーーでも、こんな形があってもいいと思うんだ。』
シルクハットの似合う長身のおじさんが、僕の運命の番でした。
運命の番との出会いを断る大人の、長い長い言い訳の物語。
〈おじさん × 高校生〉オメガバース
この作品は、Blove様主催【第一回短編小説コンテスト】にてグランプリをいただきました。
-------------------------------------------------
※「それは、キラキラ光る宝箱」とは?
花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。
お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
ネモフィラの花冠
花町 シュガー
BL
『わたしは、あなたを許します』
一途 × 一途健気
〈明 × 唐草 瑠璃〉
ネモフィラの花言葉=可憐・あなたを許す
表紙に使わせていただいている【うむぎさん(@xxxxksm)】の綺麗なネモフィラのお写真から話を膨らませました。
-----------------------------------------------
※「それは、キラキラ光る宝箱」とは?
花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。
お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。
前世の記憶がありまして。
花町 シュガー
BL
『ただ、真っ直ぐに貴方のことを愛してる。
それだけ……知っててほしいだけ。』
人魚姫だったことを覚えている子と、王子様だったことを覚えていない医者の話。
優しい大人 × 一途子ども
〈篠塚先生(シルウィズ) × 凛(リーシア)〉
-------------------------------------------
※「それは、キラキラ光る宝箱」とは?
花町が書いた短編をまとめるタグです。
よろしければお手すきの際に覗いてみてください。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
推し変なんて絶対しない!
toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。
それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。
太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。
➤➤➤
読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。
推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる