ネモフィラの花冠

花町 シュガー

文字の大きさ
上 下
3 / 11

3

しおりを挟む


「文化祭…実行委員?」

昼休み。
職員室に呼ばれて、担任から手渡されたプリント。

「そう。俺のクラスからはお前を出すことにしたから、よろしくな」

「ぇ、な、なんで僕なんですか!? 他にもやりたい人いますよねっ?」

「このクラス成績やべぇの多くて立候補されても任せられないんだ。それで任せられるの何人か選んでいろいろ考慮した結果、お前にした。他の奴は部活だったり、何処かしらでそういう役回りしてくれてんだよな。
だから、今回はお前にお願いしたい」

確かに僕のクラスは特進でもない普通のとこで、赤点者も周りにゴロゴロいる。

(けど、まさかここでそれが回ってくるとは……)

目立つのは絶対に嫌だ。
部活にだって入りたくない、最低限の人とだけ関わっときたい。
波音立てず平凡に、穏やかに生活したい。
地元にいた時みたいには…なりたく、ない。

けど……

(こ、今回だけ…だよね? 今回だけ、今回だけ……)

期間限定だし、忙しくてきっとすぐ時間は過ぎるだろうし、確かに他の人たちはクラスにちゃんと貢献してくれてるし、だから僕も何かやらなきゃとは思ってた…からーー

「……っ、わ、かりました…」

「本当か!悪い助かった。じゃあ早速今日の放課後ある委員会出席してくれ。
後の指示はそこであるから」

「はい……」

ギュっとプリントを握りしめながら、憂鬱になる気持ちをなんとか保った。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ロンドンの足長おじさん

花町 シュガー
BL
『これが僕らの〝出会い〟、僕らの運命。 ーーでも、こんな形があってもいいと思うんだ。』 シルクハットの似合う長身のおじさんが、僕の運命の番でした。 運命の番との出会いを断る大人の、長い長い言い訳の物語。 〈おじさん × 高校生〉オメガバース この作品は、Blove様主催【第一回短編小説コンテスト】にてグランプリをいただきました。 ------------------------------------------------- ※「それは、キラキラ光る宝箱」とは? 花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。 お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

その、梔子の匂ひは

花町 シュガー
BL
『貴方だけを、好いております。』 一途 × 一途健気 〈和孝 × 伊都(梔子)〉 幼き日の約束をずっと憶えている者同士の話。 梔子の花言葉=喜びを運ぶ・とても幸せです --------------------------------------------- ※「それは、キラキラ光る宝箱」とは? 花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。 お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。

前世の記憶がありまして。

花町 シュガー
BL
『ただ、真っ直ぐに貴方のことを愛してる。 それだけ……知っててほしいだけ。』 人魚姫だったことを覚えている子と、王子様だったことを覚えていない医者の話。 優しい大人 × 一途子ども 〈篠塚先生(シルウィズ) × 凛(リーシア)〉 ------------------------------------------- ※「それは、キラキラ光る宝箱」とは? 花町が書いた短編をまとめるタグです。 よろしければお手すきの際に覗いてみてください。

エリアージュの夕焼け色は、

花町 シュガー
BL
『貴方は、生きてくださいーー』 戦争の真っただ中。 小さな小さな とある村の病室での、ひと時の話。 お兄さん系 × 一目惚れ健気 〈アルド × エアーシュ〉 ---------------------------------------------------------------- ※「それは、キラキラ光る宝箱」とは? 花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。 お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。

繋ぐ

花町 シュガー
BL
『どうか、君の未来を守らせて。』 俺はここ最近、不思議なおっさんにストーカーされている。 まったく意味がわからないけど、なにか理由がありそうで…… ---------------------------------------------------- ※「それは、キラキラ光る宝箱」とは? 花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。 お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。

その、魔法の味は

花町 シュガー
BL
『僕の身体は、あなたが作る〝魔法〟で出来ている』 優しい大人 × 健気学生 〈堤 輝 × 栗山 柚紀〉 α一族の元に生まれたΩと、とあるケーキ屋さんの話。 --------------------------------------------- ※「それは、キラキラ光る宝箱」とは? 花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。 お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。

林檎を並べても、

ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。 二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。 ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。 彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。

処理中です...