7 / 12
7
しおりを挟む「せーんせー!」「きゃはははっ」
わいわいした声がいつも通り響く、病院の庭。
ナースコールで呼んだ子も、もうすっかり元気になって先生たちと遊んでいる。
あの日落ちてた短剣は、直ぐにベッド横の引き出しへ入れた。
不思議と誰もそこを開けることはなく、バレてない。
どうして…この時代にあれがあるんだ……?
あの短剣があるということは、恐らく使うべきタイムリミットは次の満月の夜まで。
もし、使わなかったらーー
(僕っ……また、泡になっちゃうの………?)
ヒヤリと心臓が冷えて、カタカタ震えだす体を自分で思いっきり抱きしめた。
「凛くん、どうしたの? 体調悪い?」
すぐに異変に気付き、先生が近づいて来てくる。
〝ぁ……せ、んせ………っ〟
大きな手がゆっくりと伸びて来て、それにビクリと体が震えた。
「ぇ、凛…くん?」
〝ぁ、あのっ、ぼく先に部屋かえってます!〟
ジェスチャーで伝え、逃げるようにその場を去る。
(無理…無理だよっ)
先生を刺すことなんか…そんなのできっこない。
でも…もし刺さなかったら、僕はーーーー
〝~~っ、〟
答えの出ない堂々巡りを、延々と繰り返した。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした
月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。
人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。
高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。
一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。
はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。
次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。
――僕は、敦貴が好きなんだ。
自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。
エブリスタ様にも掲載しています(完結済)
エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位
◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。
応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。
『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

その、魔法の味は
花町 シュガー
BL
『僕の身体は、あなたが作る〝魔法〟で出来ている』
優しい大人 × 健気学生
〈堤 輝 × 栗山 柚紀〉
α一族の元に生まれたΩと、とあるケーキ屋さんの話。
---------------------------------------------
※「それは、キラキラ光る宝箱」とは?
花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。
お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ネモフィラの花冠
花町 シュガー
BL
『わたしは、あなたを許します』
一途 × 一途健気
〈明 × 唐草 瑠璃〉
ネモフィラの花言葉=可憐・あなたを許す
表紙に使わせていただいている【うむぎさん(@xxxxksm)】の綺麗なネモフィラのお写真から話を膨らませました。
-----------------------------------------------
※「それは、キラキラ光る宝箱」とは?
花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。
お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。
その、梔子の匂ひは
花町 シュガー
BL
『貴方だけを、好いております。』
一途 × 一途健気
〈和孝 × 伊都(梔子)〉
幼き日の約束をずっと憶えている者同士の話。
梔子の花言葉=喜びを運ぶ・とても幸せです
---------------------------------------------
※「それは、キラキラ光る宝箱」とは?
花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。
お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。

記憶の代償
槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」
ーダウト。
彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。
そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。
だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。
昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。
いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。
こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる