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(………寝れない……)

昼間あんな事があったからか、頭が冴えてしまってどうしようもない。

はぁぁ……まぁ、しょうがないか。
だって、出会って4年ずっと先生だけを想ってきたのだ。
そんな一瞬でどうにかできる程、能天気な頭はしてない。

(しばらくは、痛いままなんだろうな)

あの頃みたく痛みだした胸に、布団の中でぎゅぅっと体を丸める。
そんな僕の耳に、「ヒュー、ヒュー」という苦しそうな寝息が聞こえた。

(ぇ?)

バッ!と起き上がって隣を見ると、汗だくで苦しげな表情のまま目を閉じている、今日泣いてた女の子。

(っ、うそ)

素早くナースコールを押して、先生たちがくるのを待つ。

(遅い…遅いよ……シルウィズ様っ!)

耐えきれずにガラッ!と病室の扉を勢いよく開けて、先生を呼びに行こうと走りだした。

ーーと、


「っと、凛くんか」


〝先生っ!〟


廊下の角を曲がったところで先生たちとぶつかる。

「悪いな、今から行く。どの子なんだ?」

〝となりの…、となりの子なんですっ〟

「ん? 隣か……? 分かった、もう大丈夫だからな」

ジェスチャーで何とか伝える僕の髪をクシャッとかき混ぜてくれ、「行くぞ」と他の医者たちを引き連れて行くシルウィズ様。

その背中を、震えながら祈るように見守るしかなかった。





***





「凛くん、まだここに居たのか」

〝っ、先生……〟

さっきぶつかった廊下の椅子に腰掛けていると、苦笑気味に先生が歩いて来た。

〝先生、あの子は……?〟

「もう大丈夫。今はゆっくり眠ってるよ」

何が知りたいのか察知して教えてくれるあたり、流石だと思う。

(そっか…良かった……)

「それよりも」

〝?〟

座ってる僕に合わせ片膝を床についてくれた先生に、両手を取られる。

「まだ震えてるね」

〝ぁ…その……〟

「クスッ。これだと眠れないね。
よし、落ち着くまでみんなには内緒で、ちょっと先生とお話しようか。ほら、おいで」

優しく手を取られ、おずおずとその後をついて行った。




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