ハルとアキ

花町 シュガー

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番外編 2

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【side レイヤ】


(………?)

お世話になってる会社へ挨拶に回り話していると、ポケットのスマホが震えた。
「失礼します」と謝りながら画面を見ると、〝龍ヶ崎ヨウダイ〟の文字。

ヨウダイ?
珍しい相手に驚きながら、通話ボタンをタップする。
此処に来てることはハルから聞いているはず。
ハルのことが気になるのか、それともーー


「もしもし、どうしt」


『アキくんのところに行って』


普段のあいつとはかけ離れた、抑揚のない無機質な声。

『ハルちゃんがドリンクに何か盛られた。
症状を聞く限り恐らく媚薬の類い。
警察に架けたからもう間もなく着く。
アキくんどう?』

「ーーあぁ、見事に囲まれてんなぁ」

今日は月森もハルも来てるし安心して任せられると仕事に集中していた。
素早く目を向けた先は、団子のよう。
月森が対応しており、周りがイラついてるように見える。

「ハルは」

『問題ない、僕が回収した。
今から此処を出る』

「早えぇな」

『トイレの1番奥の個室にグラスがある。
証拠になるから持っていって。
それと、奴らの特徴だけどーー』

「ハンカチ、な?」

『ん。それじゃあ伝えたから』

遠慮なく切れる電話。
ハルに架けるよう言われたのだろうか、声に心がこもってなさすぎて笑える。


ーーさて。


人の合間を縫いながら、一目散に向かう足。
アキが怯えているのが分かる。
盛られたのは媚薬。奴らがナニしたいのかは一目瞭然。


ポソッ

「クソが」


誰の物に手ぇ出してると思ってんだ。

(舐められたものだな)

どうせ小鳥遊がパーティー慣れしてないとか月森が高校生とか、そういうとこ見られたんだろう。
が、その月森に会話でコロコロ転がされてんのはどちらさんだよ。
大体、龍ヶ崎を潰したいからってまだ龍ヶ崎じゃねぇ奴を潰しにかかるのがクソだ。それもこんな大人数で。
まじで頭悪りぃ奴ら、どこのどいつだ。

涼しい顔で対応する月森と、一瞬目が合う。
スマホ片手だし同じようにヨウダイから連絡もらったんだろう。
余裕そうに微笑まれ、こちらも笑い返す。

どうせもうすぐ警察が突入し、パーティーどころじゃなくなる。

ーーその前に、俺も挨拶しておこうか。


「すみません。

そのお話、私も混ぜていただいてよろしいですか」






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