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番外編 1
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しおりを挟む「………ん……?」
きつく閉じていた目を開けると、何故か外。
空は暗く、恐らく夜の時間帯の筈だ。
雪がふわりふわりと舞っていて、目の前には大きな建物があって。
ここは一体……?
(どっかの屋敷の、庭…か……?)
なんか見覚えがある屋敷のような建物、でも俺の家ではない。
ってか俺さっきまで室内にいたよな? 今は外って…しかも朝じゃなくて夜だし……
「ったく、どうなってやがる……」
取り敢えず寒い。
誰か人を探して屋敷に入ろうと足を踏み出して
「ーーは?」
不思議な服の感触に、思考が停止した。
(赤……?)
赤いズボン、赤い服、大きなベルト、分厚いブーツ。
下を向くとズレ落ちてきた頭の上の真っ赤な三角帽子。
ふわふわの白い綿がモコモコしてて、今まで着てた部屋着とは違う感覚。
これは……
「サンタクロース…だと……?」
俗に言うサンタクロースの格好そのもの。
は、え? なんで俺サンタになってんだ?
ついに頭が逝ったか? 現実??
今日がクリスマスイブだからとか?んなわけーー
「あっ! サンタさんだー!!」
「っ!」
幼い、元気な可愛らしい声。
振り返ると、屋敷1階の窓から顔を出してる子どもがいた。
その顔を見て
(は……?)
脳で考えるより先に、体が動き出した。
「わぁ……っ!ほんとにサンタさんだった!!」
窓の外に立つ俺をキラキラしながら「ほわぁ…!」と見つめてくる子ども。
(間違いねぇ……アキだ)
幼かろうが何だろうがすぐに分かる。
この一生懸命俺を見てるこいつは、アキだ。
見た目からして4、5歳程か……?
(ってことは、ここは小鳥遊の屋敷か)
どうりで見た事あるわけだ。
にしても、なんでこいつはこんなに幼い……?
「…おい」
「?」
「お前、俺が誰だかわかんねぇのか?」
「えっ? サンタさんだよね?」
わからねぇ……か。
成る程、少しずつ頭の中で現状を整理していく。
ーー要するに
ポソッ
「俺は、タイムスリップ的なやつでこの時代に来てんのか……?」
「………?」
にわかに信じがたい、いや信じれねぇ…が、多分そうなんだと思う。
まじか……やべぇな遂に時飛べるようになったか。それかさっきまでベッドに居たし、都合のいい夢でも見てんのかも。
はーもうなんか真面目に考えんのも馬鹿らしくなってきた……辞めよう。
「ねぇねぇサンタさんっ、なんでサンタさんにはおひげがないの?」
「あ?」
「モコモコのおひげ!忘れちゃったの…? あ、分かった!サンタさんまだおにいさんだから見習いさんなの? おじいさんじゃないからないんだっ!!」
「あー……あぁ、そういうことにしとけ」
「わぁいあたりー!」
(可愛い)
高校生のアキも、これくらいの年のアキもどっちも可愛い。
いや同一人物だから当たり前なんだが、今も手を叩きながら「きゃー!」と笑ってるし本当なんだこの生き物は……
「あれ? でも」
「ん?」
頭を撫でようと手を伸ばした瞬間、不思議そうな目が口を開いた。
「なんでサンタさん、おれのとこにいるの……?」
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