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文化祭編
sideイロハ: 1年A組の出し物は……
しおりを挟む「それでは、これからA組の文化祭出し物について話し合いますっ!」
みんなの前に立ち、大きく息を吸って言葉を放った。
『来期の生徒会役員になりたいだと?
それなら実行委員を勤めろ』
夏休みが明けてから、おれたちは梅ちゃん先生の所へ生徒会への推薦の件で相談しに行った。
で、返ってきた返答はこれ。
生徒会に入る条件は、学力と行動力と先生からの推薦の3つ。
今回の実行委員は、その中の〝行動力〟の部分に該当するらしい。
そして勿論文化祭が成功に終われば〝先生からの評価〟を貰うことができ、それが推薦される理由へと繋がっていく。
実行委員とは、それぞれのクラスから2名が選出され生徒会と連携して文化祭の準備をしていく文化祭限定の委員会のことだ。
『ま、精々頑張れよ。………って、なんだその顔は』
『だ、だって…まさか梅ちゃん先生が応援してくれるなんて……』
『あぁ?お前ら俺を何だと思ってんだ。いいか? 俺はこれでもお前らの担任だからな、た・ん・に・ん。自分が受け持つクラスの生徒の夢には極力協力するぞ』
『っ、梅ちゃん先生が先生してる……!!』
『何言ってんだ丸雛。はぁぁ…まぁ、じゃぁお前らがA組の実行委員でいいな? これで提出すっから。丸雛も矢野元も頑張れよ』
『有難ございます!』『はい』
実行委員になる事をハルへ報告したら、ハルからも『一緒に頑張ろうねっ!』と言ってもらえて。
(頑張ろう!絶対成功だ!!)
思いっきり楽しい文化祭にしよう!と強く心に決めた。
「それじゃぁ、先ずはやりたい物から決めたいと思いますので、何か意見がある人は発表してくださいっ」
カズマはカツカツと後ろで黒板を書いてくれていて。
緊張のあまりパッとハルと見ると笑って手を振ってくれて、ちょっとだけ安心する。
「はーい、カフェはどうですか?」
「お化け屋敷も楽しそうだと思う!」
「俺は迷路とか作ってみたいな……」
「それか、思い切って劇に挑戦とか…!」
案外スムーズにそれぞれ意見を言ってくれて、ホッと息を吐く。
(流石A組だなぁ……みんなどんどん質問に答えてくれてありがたいや)
頭のいいクラスな分、その人に自分は何を求められているのか・自分は今何をしなくてはならないのか等を察する能力がかなり高い。
どんどん上がる意見を全て黒板に書き上げ、各自その案へ票を入れてもらい人気のある上位5つを選んだ。
その5つへ、また各々票を入れてもらい
最終的に、残ったものはーー
「〝大正ロマン喫茶店〟が残りましたっ!」
「実行委員のお2人がお茶と和菓子屋さんなので、和風の喫茶店はどうですか?」というひとつの意見に「それだったら和風っぽく昔の格好しよう!例えば袴とか軍服とか着物とか…」とかいう案が飛んできて、
〝大正浪漫っぽい感じのレトロな雰囲気の喫茶店にしよう〟とまとまっていたもの。
「この出し物に賛成の人、拍手をお願いします」
パチパチ!!とすぐにみんなが拍手をしてくれた。
「それじゃぁ、1年A組の出し物は大正ロマン喫茶店にします!
では、次に準備物とかに関してなのですが……」
ちらりと後ろにいるカズマを見ると、コクッと小さく頷かれた。
「お茶に関しては矢野元が、お菓子に関しては丸雛が協力する。その他衣装に関してだが……」
「ぁ、衣装は僕します!」
「髪型とかのセットやメイクは俺が担当しよっか?」
「喫茶店で使う食器類は俺が」
「エプロンに関しては僕の家が専門なので準備します」
直ぐに次々と協力の声が上がっていく。
(何か、やっぱみんなそれぞれの家の子だなぁ)
この出し物についてのやるべき事を、それぞれ理解している。
こうしてかなりスムーズに話し合いが終わって
生徒会へ提出する資料作りに励んだ。
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