ハルとアキ

期末テスト編

sideレイヤ: 様子がおかしい 1

「………？」

(なんだ？)

今日は、あいつの様子がおかしい。

「今日も頑張りましょうねっ」と言う笑顔に、何処となく違和感を感じた。

表情が硬い…ような……？
あと、今日はいつもに増して業務をするスピードが早い。
この後なんか用事でもあんのか？

(まぁ、この雨だしなぁ…俺も帰りてぇー……)

夏らしいゲリラ豪雨のような土砂降りの雨。
生徒会室にもザァァッという音が響いている。

今日は早めに切り上げたい……が、
もう日が無い今、1日も無駄にはできなくて。

「はぁぁぁ………」

(こればっかしは、しょうがねぇなぁ……)


「会長」


「ん？」


「書類、終わったのでチェックお願いしていいですか？」

「おう」

(早えぇな)

さっき任せたばっかのやつだぞ。

パタパタと、小鳥遊が書類を持って俺の机まで来る。

「……お前、今日なんかあんのか？」

「っ、え？」

「いや、なんか急いでんなぁ…とーー」


(ん？)


「寒いのか？」

「ぇ……？」

「手、震えてんぞ」

書類を持つ手が、微かだが小刻みに震えていた。
それに、何か青ざめてね？
近くでよく見ると何処と無く顔色も悪い。

「小鳥遊。 ………おい、小鳥遊？」

ビクッ
「っ、大丈夫です、なんでもありません……」

「……？ それならいいが…」

「それより書類、早くチェックしてください」

「おう、ちょっと待っとけ」

書類を受け取って、パラパラとチェックする。


ゴロ…ゴロゴロ……


(雷か……)

まぁ、あんだけ雲が黒かったらそりゃ鳴り始めるだろうな。

「……ん、いいんじゃね」

ミスもねぇし問題ねぇな。
自分の書類に目を向けながら「ほら」と書類をあいつに返す。

(…………ん？)

いつまで経っても、受け取る手が伸びて来ない。

「？ 何やってんだ、ほらーー」


(どうしたんだ一体………は？)


書類からスイッとあいつの方に目を向けると、


「…………っ」


窓の外を凝視したまま、カタカタ震えている小鳥遊がいた。