ハルとアキ

花町 シュガー

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期末テスト編

sideアキ: ごめんねと、頑張れと、無理するなと

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「ーーというわけで、ちょっとこれから放課後は生徒会の業務が入ることになっちゃって……」

「えぇぇ…それ本当……?」

「うん………」

しょんぼり謝ると「いいよいいよ、大変だったね」とイロハが頭を撫でてくれた。

「しかし前々からとは……ハルたちが気づかなかったら大変な事になってたな」

「うん。今回は風紀が教えてくれたらしくて本当に助かったよ」

「ハル様、ご無理だけはされないでくださいね」

「タイラありがとう。みんなも、僕から勉強会しようなんて誘ってこんなことになって、ごめんね……」

「もー!ハル謝っちゃだめっ!!」

撫でられてた手で頭をポカッと軽く叩かれる。

「今回のは不可抗力だろう。しょうがない」

「うんうんそうだよ!ハル関係ないじゃん!!」

ってか嘘の報告書ってやばくない!? その人たちこれから会社入ったらどうするの!?

そうだな。そんな奴らと一緒に仕事なんか絶対したくないな。

本当それですよ!あり得ません!!

(やっぱ、みんな考える事は一緒なんだな……)

だよなぁ……俺もそんな奴らと将来一緒の会社に入るとか考えらんねぇもん。


「………放課後、か」


「? どうしたの佐古くん」


「放課後に生徒会の業務やるのはいいが、帰りはどうすんだ?」

「ぁ、そうだよ帰り! ハル1人で遅くに帰ってくるの?」

「確かにそうだ……恐らく下校時刻までするんだろう?」

「おれたち迎えに行こっか?」

「何なら親衛隊が迎えに行きますよっ!」

「あぁー……その件なんだけどね」

「「「「??」」」」


「なんか、会長が送ってくれるみたいで……」


「………ぇ」

「あの会長が……」

「送る…だと……?」

「それ、本当…なんですか………?」

「あはは~。うんうん、本当」


昨日業務の計画を練ってる時、会長に言われた。

『下校時刻ギリギリまでやる事になるだろうから、帰りは送ってやるよ』

『……ぇ』

『だいぶ日は長くなってきたが、暗いもんは暗いだろ』

(こいつの口から〝送る〟なんて言葉が出るのか……)

意外すぎる。
でも、ここは乗っておいた方がいいなぁ。

これからハルに何かあった時も、送ってくれるようになるかもしれない。

『よろしくお願いします、会長』

『ん』


「………そんなこんなだから、帰りは会長と一緒に帰ってくるねっ」

「そ、そっかぁ!それなら安心だねっ!」

「そうだな」

「会長様が、自ら仰ってくださるなんて……っ」

ほわぁぁっと感動してるタイラのほっぺたを、なんとなーく両手でビヨーンと引っ張る。

「ふぁ、ふぁふぃふふんふぇふは!(なにするんですか!)」

「っ、あはははっ」

「ふぁふははっ(ハル様っ)」

「ハールーやめてあげなよー」

「本当タイラいじめるの好きだな、ハルは」

「えへへーごめんなさい」とイロハとカズマに謝ると、横からこっそりと佐古に呼ばれた。


ヒソヒソ……

「……ハル、大丈夫なのか?」

「…? なにが?」

「会長。信じていいのか?」

「……? 信じて………?」

(ーーあぁなるほど、そういうことか)

佐古は、まだ俺が体育大会で会長にされた事を気にかけてくれてるんだ。

「ふふっ、大丈夫だよ佐古くん。あの件は本当に解決してて今はもう本当になにもないから」

「だから大丈夫だよ」と微笑むと、心配そうな顔が少し和らぐ。

「そうか……わかった。でも、またなんかあったら直ぐに言えよ」

「うんっ。ありがと、そうするね」


「こらーそこ!何を2人で秘密話してるのっ!? おれも仲間にいーれーてー!」

「クスクスッ、イロハにはひーみーつー」

「えぇーそんなぁ!佐古くん教えてっ!」

「うっせぇなぁ、誰が教えるかよ」

「うわっ、ひどいよー!!」

「ふふふふっ」


「ハル」


「……? なにカズマ?」

「無理はするなよ」

「そうだよハル。無理しない程度に頑張るんだよっ!」

「ハル様が倒れたら元も子もないですからねっ。万が一大変な時は、親衛隊をお使いくださいっ!」

「…気をつけろよ、ハル」

「っ、みんな…… 

ぅんっ、ありがと」


俺から言い始めた勉強会だったのに、結局俺が抜けても残りの4人でしっかり続けるみたいで。

(よかった)

俺も、テスト勉強頑張ろう。
1人でする事になっちゃったけど、でもみんなと一緒のクラスにハルをさせてあげたいし。

(おしっ!
生徒会もテスト勉強も、どっちもやりきってやるぞ!!)



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