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婚約者編
sideアキ: 黙っててごめんなさい 1
しおりを挟むドン!!
「おい、小鳥遊………」
「は、はぃ…」
食堂から慌ただしく教室に戻って午後の授業を受け終わって、帰る直前に梅谷先生から「寮帰ったら寮監室行っとけ」って小声で言われて。
それで、いま寮監室なんだけど……
(え、なんでまた壁ドンされてるの!? 梅谷先生壁ドン好きなの!?)
「てめぇ……この前放課後話した時俺言ったよなぁ?
『実は…』が無いように全部言えって」
「は、はい」
「はいじゃねぇよ! なんでお前〝龍ヶ崎の婚約者〟だって言わなかったんだ!!」
「だ、だってそれは僕の体には関係のない事だったので……っ」
「体じゃなくてもお前自身に大いに関係あんだろうが!! ったく…なんだこのクソだるい設定は……パーフェクトじゃねぇか………」
「まぁまぁ、落ち着いてください」
壁から手を離して「はぁぁ……」と深くため息を吐く先生に、櫻さんが声をかける。
「お、おれたちもビックリしたよハル……」
「まさか、会長がハルの婚約者だったとは…」
「イロハ、カズマ……
みんな、驚かせてしまって本当にごめんなさい」
シュンっとなって謝った。
「言おう言おうと思って、でもどう切り出せばいいのか分からなくて…伝えるのが、怖くて……」
結局、事後報告になってしまった。
「ハル、そんなに落ち込まなくてもいい。驚きはしたが、俺もイロハも変わらずハルとは友だちだ。関係は何も変わらない」
「そうだよ!佐古くんだってきっとそうだと思うから、大丈夫だよ!!」
「っ、ありがと……」
あの生徒会長の龍ヶ崎 レイヤの婚約者となれば、きっと友だちだろうと関係は変わってしまうと思って怖かったのに。
そんな俺の考えを先回りしてクギを刺してくれる2人に、胸がキュゥゥっとなる。
「それにしても小鳥遊くん。本日の食堂での出来事は私の耳にも入ってきましたが、そもそも今回の婚約はどのようにして決まられたのですか?」
差し支えなければ、お伺いしても?
お茶を出しながら優しく櫻さんに訊ねられた。
「はい、勿論です。お話ししますーー」
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